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[特定社労士試験]フレームワーク:何を書くかの考え方

こんにちは。ににです。(自己紹介はこちら

先日、「何を書くか」と「どう書くか」の重要性をお伝えしました。
今回はいよいよこのnoteでいちばんお伝えしたいこと、実際に試験を解くときに「何を書くか」についての考え方をお話しします。
(どう書くかについては、以下の別記事でご覧くださいませ。)

MECE(ミーシー)

試験においては、書くべき要素を書かなかった場合、減点される(あるいは加点されない)ということになり、他の受験生と差がつきます。

MECE(ミーシー)」という言葉があります。
MECEは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を並べたものです。直訳すると「相互に排他的、かつ集合的に網羅的」いう意味ですが、意訳として「漏れなくダブりなく」という表現の方がよく使われています。
意訳のとおり、「書くべきことを漏らさない」かつ「何度も同じことを書かない」ということを意識するための言葉です。

イメージ図としては、以下のような感じです。解答を書くときには、下段の状態になることは避け、中段のような状態を目指しましょう、ということですね。

フレームワーク

中小企業診断士試験界隈では、MECEを達成するための考え方として、「フレームワーク」と呼ばれているものがあります。(試験だけでなく、実際のコンサルティングの現場でも使われています)

フレームワークとは、日本語にすると「枠組み」という意味です。試験の解答を書くとき、何を書くかを決めるときに枠組みを使って考えましょう、ということです。
特定社労士の試験、あるいは診断士の2次筆記試験のような自由記述の試験において、何もないところから書くことを決めていくのはとても大変です。
フレームワークを使えば、「このテーマならこのフレームワーク、つまりこれとこれとこれが必要だ」と判断することが簡単になりますし、第1問(事例)の小問2・3の抜き出し問題においても、抜き出すべき要素がはっきりとわかるようになります。

フレームワークの例

診断士試験においてはフレームワークがかなり重要で、一発合格道場でもたくさんの記事が公開されています。
その中から一例として、社労士とも親和性の高い人事・組織に関する「幸の日も毛深い猫」というフレームワークの記事を紹介します。

上記記事はフレームワークの例として挙げたもので、「幸の日も毛深い猫」のフレームワーク自体を覚える必要はありません。
が、(余談ですが)この「幸の日も毛深い猫」、私が実際に社労士の3号業務(兼診断士のコンサルティング業務)として人事施策を企業に提案するときに、実際に使ったりしています。
お時間があるときに、ぜひ一度ご覧くださいませ。

特定社労士試験におけるフレームワーク

特定社労士試験におけるフレームワークは、法的判断要素です。
たとえば、整理解雇といえば「4要素」と思い浮かぶかたも多いでしょう。これがそのままフレームワークになります。

整理解雇の4要素は、以下のとおりです。

● 経営上の必要性
● 人員選定の合理性
● 解雇回避努力
● 手続の妥当性

テーマごとの法的判断要素については、勉強を進めていくうちにいろんなところで見かけていくことと思います。それらに出会うたび、フレームワークとして使いこなせるよう、しっかり身に着けていってください。

試験を解く際の使い方

フレームワークを意識すると、以下のような定型化した手順で試験を解くことができるようになります。(第1問(事例)の小問(2)・(3)を想定しています)

  1. テーマを確認する

  2. フレームワークを設定する

  3. 両者の言い分を読み、フレームワークに該当する箇所を探す

「それぞれの言い分を読んで主張の根拠となるかどうかを判断する」のではなく、先にフレームワークを設定しておいて、「それに合う内容を言い分の中から探す」という順番です。

1.のテーマは、設問を読めばわかります。小問2の問題文中に「Y社のXに対する雇止めが無効である場合」などと、Xの主張として書いてあります。

2.は、XおよびY社の言い分を読む前にやるのが重要です。先に設定することで、言い分を読むときの効率が大きく変わってきます。
具体的には、問題用紙の余白に、以下のような表を書きます。(整理解雇の場合の例)

縦軸がフレームワークとなるべき法的判断要素(以下、「論点」と呼びます)、横軸はXとY社です。
縦軸は、小問2・3の指定である「5項目」になるのが理想ですが、テーマによって増減してもかまいません。
この表ができたら、あとはXとY社それぞれの言い分の中から、その要素を主張できる根拠を探してそれぞれの欄に書き込んでいきます。

私が実際に第19回の試験を受けたとき、問題用紙にどう書いていたかを公開します。
読めるような文字ではないのでかなり恥ずかしいですが、試験中の時間が限られた中で、自分だけが理解できれば良い状況で書いたものであることをご了承ください。

ににが実際に問題用紙に書いた、フレームワークのメモ

枠線はありませんが、上の図と同じように同じように書いてあることがわかると思います。
私が受験した令和5年度第19回は、民法の錯誤がメインテーマで、それにパワハラによる懲戒意思表示の効力発生のタイミングがからんでいました。なので、縦軸の論点は「錯誤」「パワハラ」「真意」「効力」としました。

抜き出しの前の数字は、左側が解答用紙に書く5項目としてどの順番で書くか、右側(書き忘れた抜き出しもあります)が言い分にあらかじめ振ってある段落番号です。ここらへんの詳細は、小問ごとの解き方の記事で詳しく解説します。

こんな風に書くことで、言い分から抜き出した箇所が論点を漏れなく満たしているか、少数の論点に偏っていないかを判断することができます。

効果

フレームワークの表を作って抜き出した内容をまとめることで、以下の効果が期待できます。

● 漏れがないかどうか確認できる

空欄のままの箇所がある場合、見落としがある可能性があります。あるいはどうしても見つからない場合、その点が主張の弱点、とみなすことができます。

● 解答のダブりを避けることができる

解答用紙に書くことができるのは、5項目以内など、数が決まっていることが多いです。
限られた項目数で得点を最大にするには、できるだけ多くの論点を表すように解答を選ぶ必要があります。
たとえば上記の私の実例で、「パワハラ」に属するものばかり3つも4つも書いていたら、他の論点を書くことができず点数をもらうことができません。
表にまとめておくことで、どの5つを選ぶべきか、簡単に判断できるようになります。

まとめ:フレームワークを使うことのメリット

フレームワークを使うことのメリットは、

● 考えるとっかかりになる
● 解答の手順を定型化できる
● 抜け・漏れがなくなる

という点です。
また、試験勉強の方針が立てやすくなるという点もメリットとして挙げられます。

フレームワークの考え方を身につければ試験勉強の何割かは終わったも同然、というくらい重要な考え方です。
ぜひ、自分のものにしていってくださいね。
フレームワークを活用した具体的な勉強の方法は、別記事にてご紹介します。


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