見出し画像

[特定社労士試験]第1問(事例)小問(2)(3)の解き方 後編

こんにちは。ににです。(自己紹介はこちら

前回に引き続き、第1問(事例)の小問(2)・(3)の解法についてお話しします。
※第15回(令和元年度)~第19回(令和5年度)がすべて同じ問題構成・形式のため、その形式に沿っての解説です。今後の試験において、形式が変わる可能性があることをご承知おきください。

なお、試験全体の問題の構成は、以下の記事でご確認くださいませ。

具体的な手順

手順①フレームワークの作成、解答要素の抜き出し

手順②解答要素の絞り込み

については、前回の記事をご覧くださいませ。

手順③解答用紙に記入する

手順②までで、解答用紙に記入する要素を決定できました。
ここから、具体的に「どう書くか」のお話です。

どう書くか

「どう書くか」といえば「」ですが、小問(2)・(3)ではあまり出番がありません。
というのも、小問(2)と(3)では、基本的には両者の言い分から抜き出して書くことが有効だからです。

私が、令和5年度第19回の試験で実際に解答用紙に書いた、小問(2)の解答を公開します。(全体は、後日改めて公開予定です)

①X が、支店長の、懲戒解雇となる可能性が高い、懲戒解雇になった者には再就職をあっせんすることはできなくなってしまう、などの話を信じて退職願を提出したこと。 
②X が提出した退職願は Y 社の定型のものであり、X が真意から作成したものではないこと。 
③X が、退職願を提出した際、「懲戒解雇になるのでしたら退職します。」と支店長に対し述べたこと。 
④X のパワハラの態様では、懲戒解雇処分になるほどではなかったこと。 
⑤X が、退職の意思表示の取り消しを、承諾の意思表示が X に到達する前に口頭で支店長に対し伝えていること。 

ににの再現答案 第1問(事例)小問(2)

たとえば①の「X が、支店長の、懲戒解雇となる可能性が高い、懲戒解雇になった者には再就職をあっせんすることはできなくなってしまう、などの話を信じて退職願を提出したこと。 」は、Xの言い分の7段落目後半~8段落目から抜き出しています
ひとかたまりの箇所を抜き出しているわけではなく、複数の箇所の語句を、文として不自然にならないようにつなげていますが、語彙はできる限りそのまま使っています。

これは、設問文に、

それを法的に根拠づける主張事実の項目を簡潔に箇条書きで5項目以内にまとめて

とあることから、「主張事実」であることを示すためです。
抜き出しではなく要約・言い換えのような形にしてしまうと、「主張事実」からずれてしまうおそれがあります。

主張を正しく理解できていればそれでも良いかもしれませんが、短い試験時間の中で、言い分を完全に理解し、それをかみ砕いて表現する、というのはなかなか難易度が高いと思います。
言い換えるということは、手間や時間がかかるうえに、主張事実からずれるというリスクを背負うことにもなります。
あまりいいことがないので、できるかぎり抜き出して書くのが良いと言えます。

どこまで書くか

フレームワークで論点を設定して、それに対応する要素を言い分から抜き出して書く、という場合に、だれしもが通る悩みがあります。
それが、「どこまで書くか」です。具体的には、「抜き出した事実だけでいいのか、それともそこから判断できることまで書くのか」ということです。

上記私の再現答案の①のように「退職届を提出した」(事実)までで留めるのか、それともその後ろに「判断の基礎とした事情についての認識が真実に反していた」(事実から判断できる内容)などと続けるか、どっちが良いのでしょう?

これについては、結論から言うと「どっちでもいい」と思います。
実際、私の再現答案でも、①③⑤は事実まで、②は事実から判断したことまで書いています。

私が受験生だったとき、やはりここで悩んでいて、ゼミナールの講師の弁護士に「どこまで書くべきか」と聞いてみました。
そのとき答えてもらったのが「ちゃんと理解できていることが伝われば、どっちでもいいと思うよ」ということです。

上記のことを聞いてから、私もここにこだわることをやめました。
試験の結果を見ると、その判断は間違ってはいなかったようです。
(弁護士先生は、試験そのもののことは知らなかったにもかかわらず、法的判断の表し方ということで的確にアドバイスをくださいました)

なので、どこまで書くかは、採点者に理解していることが伝わると思うところまで、とするのが良いです。
あと、次でお話しする解答欄のスペースによっても変わってくるところです。

どれくらい書くか

最後に、「どれくらい書くか」です。
抜き出しでも、書こうと思えばものすごく長く書くこともできますし、最小限だけ書くこともできるでしょう。

書く量をどれくらいにするかに、正解はないかもしれません。
ここでは、私が考えていたことをお伝えしますので、参考にしてみてください。

・解答用紙のスペース
小問(2)・(3)には文字数制限はありませんが、解答用紙のスペースには限りがあります。
割り当てられたスペースは、A3の解答用紙の横幅で、小問(2)・小問(3)それぞれ12行ずつです。
つまり、5項目だとすると、1項目あたり2~3行です。
これが、書く分量のひとつの目安となります。
もちろん、1行の項目があっても良いです。

・項目を2文以上にしない
これは、もしかしたらそれほどこだわらなくていいかもしれませんが、私は2文以上にせず、1文になるようにしていました。それは、設問文中の

それを法的に根拠づける主張事実の項目を簡潔に箇条書きで5項目以内にまとめて

の、「簡潔に」という記述を根拠としています。
2文以上になると、簡潔とは言えないんじゃないかという思いから、1文でまとめるようにしていました。

まとめ

2回にわたって、第1問(事例)の小問(2)と小問(3)の解き方を解説しました。
ここの解答が、試験全体の解答の流れを決めるので、もっとも重要な設問といえます。
フレームワークの作り方・使い方をマスターして、安定して解けるようにしてください。

#受験
#社労士
#社会保険労務士
#特定社労士
#特定社会保険労務士
#特定社労士試験
#紛争解決手続代理業務試験
#まなび
#資格
#しごと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?