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浅草の鰻屋

 2012年7月の普通の日常日記です。
 
 先々週、次男一家が米国シャーロットから一時帰国し、
我日本橋人形町のマンションに滞在した。
次男は一足早く戻ったが、嫁と孫娘は
松山で更に一週間過ごし、先週金曜日に我が家に舞い戻って、
翌土曜日の朝、成田から米国に飛び立った。
人形町は成田にも、羽田にも電車で一本、
乗り換え無しの直通だから、格好の中継基地だ。
 
 娘孫は勿論かわいいのだが、
平穏な生活を心身ともに振り回され、今思うと些か疲れた。
兎も角、グランパの2週間は無事に終了した。
 
 成田まで見送りをした帰り、
監視人どのが、浅草評判の鰻屋「色川」で鰻を食べに行きたい
とのことなので、直ぐにiフォンで場所を調べて行ってみると、
開店30分前だというのに、既に15人ほど並んでいる。
店の前に張ってある案内によると、全部で23席だから、
時間になれば直ぐに入れるだろう、
と考えていたら次々と人が並び、
開店前には30人を優に超えてしまった。
 
 11時半丁度に店が開き、順番に案内される。
外見に違わず、中も狭く、我々は、奥の座敷の左奥に行けと言われるが、
手前のカウンターとテーブルの間が狭く、
座っている人の肩に触れんばかり、否実際に擦れながら奥に向かう。
 
 メニューは座卓においてある、
あまり綺麗とは言えない団扇に下手な字で書いてある。
全てが雑然として誰かの色紙だかお祭りの写真などが、
所狭し、と壁にかけてある。
 
 隣のテーブルでは英語を話す女性が注文しているが、
店の女性は慣れたもので、
片言に手振り身振りを交えて意思疎通に問題はなさそうだ。
注文をとる小太りの女性も鰻を焼く親父さんも
如何にも下町浅草人で、飾り気も愛想もないが、
気軽に話が出来、肩が凝らない。
 
 値段は、鰻重大(普通の大きさ)で2500円だから
昨今の鰻から考えれば、安いと思うが、
ふっくらとした焼き具合は適度にこしもあり、
一口で美味いと納得する。
確かに、人気を呼ぶだけのことはある。
酒は白鶴一緒類だが、元々酒には期待していない。
 
 外にはまだ人が並んでいるだろうと気にもかかり、
小一時間で店を出て雷門方面に向かう。
仲見世商店街に出ると、スカイツリー効果もあるのか、
まっすぐに歩けないほどの喧騒で、
老若男女に加えて、英語、中国語、韓国語なども飛び交い、
日本が不景気などとは信じられない。
 
 筆の専門店を見つけたので、
パソコンのキーボードの清掃用にと腰の強い筆を一本買い、
レトロ感たっぷりの喫茶店「アンジェラス」で
コーヒーを飲み、なんとなく満足して帰宅した。

アンジェラス店内(既に閉店している)

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