旅行。Tarrytown, NY. 日曜日。
ムスコは注射が嫌いである。健康診断に行くと、いまだに受付で「今日、注射ありますか?」と聞く。21歳の男が、である。そういう「子供」は多いらしく受付さんは絶対にあるとかないとか言わない。診察室に入って、まず看護婦さんが身長体重計測をして、その時に予防注射があるとかないとかやっとわかる。
私は長いこと注射の時には彼の手を握ってあげていた。中学時代は暴れたので、看護婦二人では抑えきれず、もう二人呼んできて、彼を抱え込んで注射したこともある。力めば力むほど痛い、ってのに。
だから、Covidもインフルエンザも予告して警告して気持ちの準備をさせなきゃ、と母はいまだに思う。
ムスメも注射が嫌いだ。こっちは注射した腕が筋肉痛になり泳げなくなる、というのを理由に、ミートの直前はダメだとか色々うるさい。
さて、夏休みの終わり、新学期が始まってウィルスうようよの学校に行く前にflu shot (Influenza)をさせるのだが、今年は引っ越しやら何やらでタイミングを失った。案の定ムスメは風邪をひき、私にうつった。Tarrytown旅行ギリギリまで喉が痛くて、こんなんでZiplineできるのかよ、と思ったけど、病み上がりであれだけやれた。
皆揃ってTarrytownで落ち合うのなら、Tarrytownで皆で注射すればいいか、と思いついた。
残念なことに、Omicron対応のboosterはまだ出回る直前で、flu shotしかできなかったが、注射嫌いの子供たちとのイベント、それもKatyaも一緒ってことで予約をした。事前にテキストすると、もちろんムスコの注射嫌いの話になる。ムスメと私がワイワイ言うと、Katyaが「….彼、tatooするって言ってるけど?」ムスメと私が揃って「あははははーありえないー」と一気に爆笑。注射ですら大騒ぎする奴が、刺青?どんな小さいのだって刺青だよ?
そういうワーワーというやりとりを、ムスコはちゃんと読んでいる。
”I am a big boy now!"
うーん、注射にはbig enoughだけど、刺青だよ?とさらに突っ込む。
そんな経緯あっての、flu shot。さて、どういう順序で?
ムスメ、私、Katya、ムスコの順。
ムスコは一番最初にしたかった風だけど、女3人で抑え込んだ。一番最後ってのは待ってる間ドキドキするから。笑。接種してくれる薬局のおじさんにもワーワー言って、ムスコの時は「ほら、Katyaに手握っててもらう?」「体押さえた方がいい?」などと絡みまくる。薬局のおじさんも大笑いで、ムスコにだけセサミストリートの絆創膏を用意してくれる有様。あー、楽しかった。
ラーメン屋は11:50という変な時間に開店。
「なんで12時じゃないの?」「日本人っぽい理由があるんだよ、きっと」
日本人Risaのおすすめだけあって、ラーメンは真に日本風で美味しかった。うちの近くにある「大人気のラーメン屋」は、私もムスコもムスメも一回だけ行って、話にならん、とそれっきり。
4人全員違うラーメンを注文し、ムスメのシナチクとムスコの海藻は私のところに飛んできて、ムスメのチャーシューは(脂身多すぎるからと)ムスコのところへ。Katyaからムスコへも、何かが飛んだはず。紅しょうが?
餃子と鳥の唐揚げとかの前菜も頼んだけど、なんで4人でラーメン屋で食べて$125になるんだろう。最近、なんでも驚くほど高い。
Putinのせいだ。怒。ウクライナよ、負けるな!
Tarrytownでの移動は全てムスメの車で彼女の運転だった。ボストンからKatyaの運転で来た二人に渡す予定の荷物を、どの時点で車から車へ移すかというのは、ディナーから戻ってきた時は暗いからやめようとか、Ziplineへ行く朝は時間がないとか、ムスコとムスメが二人でやいのやいのと解決していた。
Daisoでたくさん買い物して、三つ買った同じお菓子の二つはボストンで、一つはこっちだとか、今晩使うフェイスパックだとか、やっぱり$100以上買ったDaisoグッズは各種フック複数とかヘアピンとか背中洗うのとか細かいものがたくさんあったので、最後の最後に念のため私が最終チェックしたのだけれど、間違いはなく完璧だった。
長年、私がやっていたこと、やっていた方法をちゃんと見ていたのだなぁと思う。確かに、私のやり方には必ず理由がある。どのタイミングでどういう方法を取るかを決める際には、これこれこうだから、と説明してきた。今、私たち3人が見事にシンクロし、子供二人だけでもシンクロするのは、ちゃんと「なぜ」を考える人間に育ったからだろう。
ムスコは4人のルームメートと暮らしているが、春にムスメと二人で遊びに行った時、大きなTVのある共同スペースのリビングで、一つの椅子に座って携帯を充電しようとしたら、「赤じゃなくて青のを使え」とムスコに言われた。
「その椅子の位置に合わせたちょうどいい長さになってるんだ。壁寄りの椅子は短くていいから赤のほう」
と言われて「なるほど」と感心し、あまりに私と同じ思考をすると吹き出した。誰も反論できない筋道が通ったやり方だ。ムスメも「さすが。」とにやにや。
Tarrytownではどこへ行くにもムスメが運転したし、二人を見ていてもうなーんにも心配いらないなぁと思った。そして、毎年場所変えてこういう週末を過ごすことを4人で約束して、帰途についた。
次にムスコに会うのは11月末のThanksgivingに帰省する時。さて何を食べさせようか。
ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。