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大学生のインターンシップ。

今年の夏は、大学生の息子も高校生の娘も、職業経験でもありバイトでもあるインターンシップ (Internship) を経験した。

息子の大学は、たくさんの企業と連携して、このインターンシップの機会を学期中に提供する"Co-op"というプログラムで有名である。大学3年と4年の春学期か秋学期のどちらかに、つまり年の半分をインターンシップに従事する。生徒は大学に寄せられる、もしくは企業のウェブサイトの求人案内を見て、希望職種に各自申し込む。書類審査があって、面接の通知が来る。面接をして採用不採用が決まる。就職活動と変わらない。

息子は学業成績は良いが、夏のサッカーキャンプのインストラクター以外、高校生の時に働いた経験がほとんどない。友達がせっせと働いているのを横目に、いずれ働かなきゃならなくなるのだから遊べるうちに遊ぶ、という方針で、勉強とサッカーとXboxで日々過ごした。高校生が働ける職場など限られているものの、おそらく他の生徒と比べて極端に働いた経験が少ないことが明白だったのだろう、インターンシップ先がなかなか決まらなかった。大学のカウンセラーに相談すると、おそらくコロナ禍で大企業の出足が遅かったのもあるのか、「心配しなくても大丈夫」と言われていた。

「僕という人間に興味を持ってくれたと感じた」と、手応えを感じた面接の結果、ようやく決まった先は大手バイオ企業の研究所。7月半ばから働き始めたギリギリまで、何を着ていくのか何をするのかもまるでわからない状態だった。コロナ禍のせいか、そういうものなのか、さっぱりわからない。

こういうギリギリまで何がなんだかわからない、ということはアメリカにはよくあるから、仕方ない。

ムスコは普段着たこともないような襟シャツを友達と買いに行き、初出勤に備えた。夕方様子を聞くと、会社が購入したもしくは販売する器械?装置?のテストをする部署で、そこで合格しないものは使用が許可されないのだ、と鼻をひくひくとさせているのが目に浮かぶような口調のテキストがきた。面接をした上司は40代。同僚は工学部出身の20代半ばの男性6人。ムスコも入れて8人。全員超白人、らしい。

Mom, I can't wait to go to work tomorrow. 

環境も仕事内容も同僚も気に入って、お金も稼げるんだから、文句なしである。

しばらくして、様子を聞くと、またおもしろいことを言っている。倉庫のようなスペースがあり、その中にいろんなものが投げ込まれていて、足の踏み場もないというので、

Can I clean up and organize it? 

と、申し出たらしい。笑。上司は「予算はたっぷりあるから、仕分け箱とかいくらでも買ってやる」と言い、いずれやらねばと思いつつ先延ばしにしていた先輩たちも大喜び。そうだ、超白人のその職場に、効率性を求めて整理整頓のできる日本人の血をそそぎこめっ、とハッパをかける母。

ムスコは雑然とした状態が嫌いだ。ティーバッグやNespressoのpodsですら種類ごとに色ごとにきちーーーんと並べるし、勉強する机の上もそれぞれのモノが効率的に並んでいた。ムスメもそうだが、私と同じで(私が育てた通り)モノをなくすとか忘れ物をするということがまずない。その倉庫の状態を放っておけるわけがない。

何がどこにあるのかもわからず、床に足を入れる隙間もないほど雑然としていたその倉庫のスペースに、果敢に取り組んだムスコ。倉庫は変貌を遂げ、上司と同僚の称賛を浴び、そのスペースは有効に使えるようになったとか。

シカゴのあの古本屋に足を踏み込んだ時、ムスコと二人で片付けたい、片付けさせてぇ、と思ったのは、どんぴしゃりなのだ。

同僚の二人が食通らしく、美味しい日本酒の銘柄を教えてくれ、と言ってきたこともあるし、みんなで牛角に行くようにも勧めた。大学に行ってから週に一度ルームメートたちに食べさせるドライカレーをもっていって、ランチに振る舞ったりもしてるらしい。

同じ大学から10人以上のインターンが社内のあちこちの部署に散らばっているから、その仲間達で集まることもあるという。

ちなみに、インターンの時期は大学に行って授業は受けないから、授業料なし。お給料ありで実際に働くということはどういうことなのかが体験できる。いいシステムだと思う。

2年前に大学に進学して、帰省するたびに、目を見張るほどの成長ぶりに感嘆してるけれど、11月末の感謝祭に帰ってくるムスコは、きっとまたさらに大きく成長してることだろう。


ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。