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青いインクの此方側

 貴方が本物だったことはない、だからと言って幻、と一口に言い切って良いものか、それもよく分からない。貴方は私に話しかけられている訳ではないのだし。多分、きっと。貴方の世界と私は、決して交わることはない。貴方は私のペン先の澱み、私の罪悪感の成れの果て。
「もっと愛させてくれませんか」
澱みについて、貴方は言う。否、言ったように錯覚させる。脳の過剰稼働、貴方は私の世界にはいない。
 だから。
 私の切り売りしたような犠牲を、愛したいなどと言うはずがない。もしこれが本当に夢であるのなら―――それは、悪夢だった。私はこれをそうとしか呼べない、呼びたくない。貴方に愛されるようなものは此処にはない、貴方の執着を引きつけるようなものなど、此処、には。
 貴方に振り回されて良い人生など、此処、には。
「あと、ほんの少しで良いんです」
そう言って笑った貴方を、同じ空間にいない私は、否定して終わらせることも出来ずに。



作業BGM「青恋終着点」yin(アオトケイ)



▼夢日記「夢と鬼」
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