子宮筋腫の手術をして一安心のはずが
高齢の女性の方の子宮を見ていると、結構手術で切除されている方が多いです。
ところが、数十年経ってみると、そこに子宮をとった周りに腸が巻き付いて命の危険にさらされることがあります。
お腹の痛みで病院を受診される方が多いです。
その中にはいろいろ危険な病気もたくさんありますが、
僕が個人的に最も注意しているのは、腸が破けてうんこがお腹の中にばら撒かれることです。これは死亡率が高いです。
なぜ、死亡率が高いかというと、うんこは大腸菌の塊みたいなもので、それがお腹の中にばら撒かれるとあっという間に感染が広がってしまうからです。(腸管破裂と言います)
一方、判断が難しいのもあります。起きてからすぐに受診すると血液を始め、ほとんどの検査で異常が分かりません。
もう一つ僕がとても気をつけているのが、腸が絡まって締め付けられている病気です。
腸が絡まると、血流が途絶えるので、腸が腐ってしまいます。これを放置すると、腐った腸が破裂したり、腐ったことそのものによって、全身の状態が悪化していきます。
自然と起こる場合もありますが、原因がある場合もあります。
それは手術です。外科の先生なら当たり前だと思います。
手術をすると何年もかかって、手術で切ったところの炎症でお腹の中が部分的にひっついてきます。癒着と呼ばれるバンドが至る所にできます。
そのバンドの中に腸がたまたま入り込んでしまうと、何かの拍子に絡まって巻き付いてしまったりします。
これにより腸の絡まりが起きて、前述のような重篤な状態になります。(絡まるという意味で、絞扼性腸閉塞と呼ばれています)
ある外科医が、子宮の手術をしているケースだと、バンドがたくさんできることをよく経験すると言っていました。
高齢女性のお腹の中を除くと、意外と子宮をとっている人が多いです。
もちろん子宮頸癌などの悪性腫瘍でとっているケースもありますが、
子宮筋腫でとっていることも多いです。
素人目線の話かもしれませんが、
子宮筋腫などで子宮を摘出する手術の場合は、腹腔内といって腸がある側からアプローチしますが、子宮を摘出した後は切除面の膜が広く(断面が長い)バンドができやすいかったりするのでしょうか。また、過去の子宮摘出術は、内視鏡ではなく、お腹を広く開けてやることが多く、バンドができやすいのでしょうか。
今は内視鏡で行われているので今後は頻度が減りそうですが、
訴訟になっている例もありますね。
https://healthnet.jp/paper/2020-2/paper-29361/paper-29214/
腸が絡まる病気は判断が難しいので、子宮をとっているという状況で、注意のスイッチを入れることで、間違いにくくなるかもしれません。
手術を盛んに行なっている外科医がぽろっと教えてくれたことでした。