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わたしは英語が喋れない 〜ロンドンひとり旅日録前日譚〜

突然ですが、私は英語が話せません。

大学受験に必要最低限の英語のほかは、極力英語を使わなくても生きていける道を選んできました。

忘れもしない高校3年の春、最初の全国統一模試で私の英語の偏差値は38。
低空飛行でギリギリ受験を乗り越えて、大学の第二外国語選択は教科書持ち込み試験で落単の難をのがれ。
就職先でもほとんど英語は使わず(むしろ英語が通じないアジア中東出身の方にはお会いします)、日本にいるなら日本語ができればいいじゃんなんて思っていました。

去年の夏までは。

去年の6月のとある夜、大学4年生の寝転がってゴロゴロしていた妹が唐突にぼそっと呟きました。「私、夏休みに海外留学しようかな」と。

率直に、「は?」と思いました。
その日は6月の終わりで、妹の夏休みは翌月から始まります。今の今まで一言もそんなことを言っていなかったのに、ひと月余りで準備したところで間に合うわけがありません。
さすがに夏は無理だからせめて冬にすれば、とさんざん説得したのですが、生来頑固な妹はてんで聞かず、結局、その年の8月から4週間、短期語学留学でドバイへ出国したのです。

当時送られてきたドバイの夜の写真

まさかこの短期間で本当に妹が語学留学を実現するなんて、思ってもみませんでした。無計画はさて置くとして、本当にやり遂げてしまう胆力は、我が妹ながら尊敬します。
同時に、ふと頭をよぎりました。「もしかして、私にもできるのでは?」と。
意気揚々と成田空港の出国ゲートに向かう妹を見送りながら、私はひそかに初心者向けの海外旅行先を調べ始めました。

そうして弾丸で企画した夏の香港ひとり旅は、かなりの惨敗。
中国語が主流の上海でなく、せめて英語の通じやすい香港にしようと決めたところまでは良かったものの、その後何を調べたらよいのかもわからず。
事前準備ゼロで行った結果、到着初日は空港からホテルまで2時間半かかりました。空港から電車の乗り換え出口の行き方とか、どのバスに乗ればホテルに着くのかがわかりませんでした。
その他、メニューに書かれている食材がわからないのに曖昧に注文したり、想定していたよりホテルのアメニティが全然なくて現地で余計な出費が増えたり、前列の観光客が頼んでいた映えドリンクを注文したらデトックス目的の下剤入りでお腹が緩くなったり…
失敗を数え上げるとキリがないです。

デトックスドリンク 味は美味しい

美味しいご飯も、綺麗な夜景も、豪奢なホテルでのアフタヌーンティーも、良き思い出もたくさん持って帰ってきましたが。
だいたいのニガい経験は「英語がわからない・話せない」。これに尽きました。

(ちなみに、ドバイに向かった妹はトルコ人のルームメイトと楽しい1ヶ月を過ごしたようでした。やりおる。)

海外旅行にリベンジしたい気持ちもありつつ、どうせまたうまくいかないんじゃないか…なんて卑屈モードも入りつつ。
なかなかまとまった休みが取れない中、次の夏期休暇の計画を立てるタイミングが来ました。

そのときは、ちょうど自己紹介noteで触れたブラスバンドを一生懸命やっている時期で、ふと思いついてしまったんです。

「そうだ、ブラスバンドの本場に行こう」と。

ブラスバンド、つまり British brass band は名前のとおりイギリス発祥の演奏形態です。
日本でも数少ないプロフェッショナルの団体といくつかのアマチュア団体が活動していますが、残念ながらブラスバンドに触れる機会が多いとはいえません。どちらかといえば、吹奏楽やオーケストラはプロもアマチュアも活発ですよね。

そんなわけで、私は思いました。ブラスバンドの超一流の演奏を直接聴いてみたい
そしてあわよくば、超一流の奏者たちが使っている楽器のメーカーの種類とマウスピースと基礎練とふだんからどうやってあの圧倒的なサウンドを作り上げているのかを知りたい、と。

そのためには、私自身が英語を喋れるようになって現地に突撃するほか方法はありません

そう決意したのが、たしか今年の5月か6月。
目指すは、英国におけるブラスバンド三大コンテストのひとつ、全英ナショナル・ブラスバンド・チャンピオンシップ!!(毎年ロンドンにて10月開催)

来る日に向けて、なけなしの英語力の向上を目指し、オンライン英会話、TOEIC、カラン・メソッドなど自分なりに思いつくことに挑戦してみました。(いつかそれぞれの感想と成果を書いてみたいですね。)

どうせ海外旅行にリベンジするなら、「リベンジ」以外の目標があるほうがいいんじゃないか。そんなふうに思えたのです。

そうして実現したのが、今回の4泊6日ロンドンひとり旅です。
つらつらと、気ままに綴ってみたいと思いますので、今しばらくお付き合いいただけると嬉しいです。

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