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かごめ

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脚本 「かごめ」 第十四場

■第十四場
  前場から5日後の深夜。風が強い。美羽は珍しく熟睡。
  良玄登場。玄関のカギを静かに開けて、足音をたてないように入室。上半身肌着だけになると、美羽の布団にゆっくりすべりこむ。
美羽「誰? 」
  寝ぼける美羽。良玄は布団の中で美羽を抱きしめる
美羽「良? 」
  良玄は、布団から半身を起こし、美羽のパジャマをぬがせにかかる。
美羽「なんなの? 」
良玄「黙って。俺に任せて。」
  

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脚本 「かごめ」 第十場

■第十場
  前場から五時間後。トキオの自宅。夕食を終えたところ、父の亀井仁はテーブルでビジネス書を熱心に読んでいる。母の恵は、鼻歌を歌いながら食器を洗っている。姉の奈央は、テーブルから少し離れたところでテレビを見ている。トキオは、テーブルに座り、先ほどの出来事を考えている。
  テーブルの上は、各人の湯飲みがあるのみ、清潔。あかるい色のテーブルクロス。
トキオ「うちの家庭って、普通だ。」
仁「ん

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脚本「かごめ」第三場

■第三場
  前場と同時刻。時谷美羽が居住するワンルームアパート。狭い室内に物とゴミが散乱している。美羽は四肢の力が抜けた状態で、死骸のように布団に横たわって、目を瞑っている。立田玲奈は、散らかっているゴミを袋にいれている。
玲奈「美羽、お弁当冷蔵庫に入れておいたから。温めて食べてね。」
  美羽は寝転んだまま、目を瞑ったまま、小声で返事。
美羽「‥ありがとう。‥玲奈がいるから助かる‥。」
玲奈「

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