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【読んだ】明日の子供たち

おすすめ度 ★★★☆☆

noteでどなたかがおすすめしてたので読んだ小説。
有川浩さん初めて読んだけど、2回泣いてしまった。

ライトな文章で、ドラマのようなわかりやすいキャラクター、マンガのような台詞、キレイな落とし所。
決して好みの文章ではなく、序盤は冷ややかに読み進めていたのだけど、徐々に引き込まれてまんまと感動した。

舞台は児童養護施設で、そこで育つ子どもと職員の話。
メインキャラは16歳、優等生で「問題のない子ども」奏子。
奏子の幼馴染で、どこか達観した男子、久志。
転職したてで熱血だけど空回りしがちな男性職員、三田村。
その教育係で、クールだけど実はツンデレ女性職員、和泉。

こう書いただけで、漫画やドラマにありそう。
キャラが立っている。立ちすぎている。
他にも、見た目は陰気だけど実は色々ある職員、派手で反抗的な奏子の親友など、ドラマにしやすそうなキャラが続々出てくる。
こういう一面的なキャラ付けは、リアルさがなくてあまり好きじゃない。
人ってもっと多面的だし、こんなわかりやすいキャラいないでしょ、みたいなひねくれた目で見てしまう。

でも、それを越えて素晴らしいものが、この作品にはあった。

まず、児童養護施設の取材が徹底されている。
予算の問題や、世間からの目、進学の難しさ、施設を出た後のことなど、私もなんとなく知っていたつもりだったけど、その何倍も詳しい描写がされている。
社会問題にあまり興味がない読者にも知ってもらえるという意味で、とても意義があると思う。
こういうライトな小説で、ここまで詳しく書いている理由は、最後に明かされるのだが、それは読んでのお楽しみ。

そして、子どもたちの成長に感動する。
陳腐な感想になるが、やっぱり子どもの成長モノには涙腺が緩む。
わかりやすいキャラだけど、そうなった経緯や周りとの関わりで変化していく姿に、「うぅ、よがっだ、よがっだねぇえ」とウルウルしてしまう。
一見嫌なヤツにも過去がある的なサイドストーリーにも弱い。こ、こいつただのヤなやつじゃなかったんか、うぅ。ズビズビ。
休日に読んでいたので、隣りにいた息子に怪訝な顔をされた。

小説としては長編の部類だと思うが、文章がライトなのであっという間に読める。ドラマティックな構成なので、一度読み始めると止まらない。
中高生が好きそうな小説だけど、情報として知っておくべきは大人なんじゃないかな。


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