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【読書記録】夜明けのすべて

おすすめ度 ★★★☆☆

友人に勧めてもらった小説。
お互いに本をオススメしたり貸し借りしたりできるお友達なので、とてもありがたい。
本を勧めるのって自分の中身を見せてるようだし、相手が気に入ってくれなかったらと思うと結構勇気がいるんだけど、「そういうのあんまり気にせずやろうや」といってくれて、好き!ってなった。

さておき、瀬尾まいこさんの小説は初めて。
「そしてバトンは渡された」など映画化してる作品が多く、女性受けしそうな感じ。

パニック障害の男性と、PMSの女性が主人公で、全体的に穏やかで優しい展開。
パニック障害は何度か本で読んだことがあるけど、症状も見解も様々で、心因性とも限らない。つまり誰でもなる可能性があるのだと知って、怖くなった。
当事者の心理に丁寧に書いてあるので、辛さが伝わってくる。急にこんなことになったら、どんだけしんどいだろう、

PMSも名前くらいしか知らなかった。こちらも症状が千差万別で、主人公の症状はかなり特殊だと思う。

きっと著者はそういうものを描きたかったんじゃないかな。
世の中には、知られていない悩ましいことがたくさんあるし、診断が同じでも、何一つ同じ症状はない。
病気でも体質でも障害でも。
そして、その捉え方も、生きづらさも、対処方法も。

だから一人ひとりを理解しなきゃってことではなく、人それぞれなんよな〜ってことをうっすら理解して、寛容になっていけたらいい。

物語に出てくる上司や同僚も、ことごとく良い人で寛容。良い人すぎて現実味がないなと思ってしまうほどだけど、こういう人になりたいし、増えたらいいなと思った。
現実感よりも、理想の具体化を大事にしてるのかな。

難点といえば、登場人物のキャラクターがあまり深掘りされてないので、「なんで?」という行動が突然あったりする。
あと最終的に恋愛展開にならないと良いな、と思って読んでたけど、最後の最後で匂わせてたのでちょっとがっかり。これは完全に好みの問題で、映画化するならまあ必要な要素なのか。私がひねくれてるだけね。

でも総じて、こういう悪い人が出てこなくて、心に優しく刺さる穏やかな物語は好き。

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