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【読んだ】告白 町田康

おすすめ度 ★★★★☆

最初に見た時、国語辞典のような分厚さに引いた。

これも高校の友人が教えてくれた本。彼女の夫が大好きな本らしい。
「告白」といえば湊かなえさんのが有名なので、そんなイメージで読んだら、まっっっっっったく違った。

なんだろう、この話。なんなんだ、この主人公。なんだこの展開。どういうこと?どういうこと?で、一気に読んでしまった。
国語辞典ぐらい分厚いのに!

話は、明治時代に実際にあった大阪河内地方の事件をモデルにしている。つまり時代小説なのだけど、文体がぶっ飛んでいる。
時代小説らしい文章の中に唐突に現れる、平成の例え話や作者の「あかんではないか」という突っ込み。コテコテの河内弁。主人公の脳内ダダ漏れ独白。
小説のセオリーぶっ壊してるのに、文体のスピード感に乗せられてどんどん読んでしまう、なんなんだこれは。


主人公の熊太郎はとにかくダメ人間で、ろくでなし。虚勢を張って、見栄を張って、しかもそれが結構みんなにバレていて、とても情けない。
働かないで博打ばっかりして、しかも負けてばかりで、勝ったらそこでやめればいいのにやめられない、結局負ける。
あかんではないか。

別に、親心もわかない、母性本能もくすぐらない、「あかんではないか」と突っ込みながら、熊太郎の人生を眺めていく。どうせ次もダメなことをするに違いないのに、続きが気になる。
で、案の定ずるいやつに騙されたり、けちょんけちょんにされてしまう。
あーーもう、なにしてんの。あかんあかん。
ちょいちょいでてくる摩訶不思議な事件や超自然現象みたいなのも気になる。何なのこれ?SFなん?

何が面白いのか全然わからんのにめちゃくちゃ面白い。
ここまで来たら、熊太郎の人生を見届けにゃあかんのや、とエセ関西弁になるくらいには感情移入してしまう。

「鎌倉殿の13人」にも通じるものがあったな。
応援したくなるような主人公ではないけど、なんで彼がこんな事件を起こしたのかは、理解できる。小さい頃からずっと見てきたから。
共感とはちょっと違う、熊太郎を熊太郎として理解する感覚。これがエンパシーか。


土曜の朝から読んで、日曜の夜に読み終わった。
決して読みやすいとは言えない。
でも文章の疾走感がすごい。なんちゅう文章を書くんや、この人。

と思ったらnoteにいた。

え?御本人?とおもって記事を読んだら、多分きっと、いや絶対御本人である。
最近更新されてないけど、これ無料で読めんの?すごいなnote。どういうことなの。

Webだとアクの強さが一層引き立つけど、この疾走感に興味を持てた人はぜひ読んでほしい。

は、これシェアしちゃったら御本人に通知がいっちゃったりするんだろうか。こんな好き放題書いてて怒られたりしないかな。

気づかれませんように…

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