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【読書記録】いじめない力・いじめられない力

おすすめ度 ★★☆☆☆

我が子には、いじめの加害者にも被害者にもならないでほしい、と思って読んでみたけど、モヤモヤが残った。

事例はたくさん載っていて、それぞれに簡単に解決するものじゃないということがよく分かる。
ただ、じゃあどうしたらいじめない、いじめられない力がつくのかの具体性が乏しい。

テーマとしては、いじめない、いじめられても立ち上がる「レジリエンス(心の弾力性)」が大切!というのが書かれてる。
レジリエンスって最近よく聞くし、大切な力だと思うけど、どうにも本質を離れて都合のいい使われ方をしている気がする。「いじめられてる方が強くなるべき」ってみたいな。


いじめられてる方に原因があるという考えは嫌いだ。
だけど、実際のケースを読んでいると、本当に判断が難しい。

一つ挙げると、
被害者がLINEを無視されることをいじめだと訴えてきた。加害者とされる子に話を聞くと、元々嫌なLINEばかり送ってくる、女の子の体に触るなど、被害者がやっていた行為も結構酷い。
「でも自分たちは加害者だと思われているから、先生に何を言っても無駄」
「どんな嫌なLINEにも強制的に返信しないといけないということ?」
「お父さんも使えない同僚の愚痴を言ってるし、お母さんだってあの人がみんなに迷惑かけてるって悪口言ったりしてる。なんで子どもだけ絶対ダメ、許さないみたいに言われるの」
納得がいかない子どもの話も、よくわかる。難しい。

子どもの世界だって、一つの社会だ。しかも大人より同質性が高くて閉鎖的だから、集団暴力や排除が起こりやすい。標語やポスター書いてりゃ「みんな仲良く」できるほど単純な訳がない。
じゃあどうやって解決すれば良いのか?

色々話を聞いて、じゃあどっちが悪いですね、ハイ謝って、「ごーめーんなさい」よし、これで仲直り!もう謝ったからあなたも許してあげようね?いい?ハイ握手して!解決!

こういう大人の都合による強制解決もどきは、令和の今でも行われている。
こんなので納得できないことくらい、大人だってわかっているのに。

とはいえ、じゃあどういう対応を取ればいいのか?
このアイデアが欲しくて本を読んだんだけど、全然具体例がない。
自分の力で考えさせる、自己決定力をつける、分析力をつける、などいじめ関係なく大事そうなことは書かれているけれど、もっと、もっと具体的に知りたいんだよ!!!
こういうケースがあった時にこういう声かけをしたらダメですよ(もしくは良いですよ)的アイデアが決定的に少ない。

先程のLINEの事例も、聞いた話を書いてあるだけで、結局どうアドバイスしたのか、どう解決したのか書いてない!アカン!多分この人、解決させてないぞ!

事例はとてもリアルでよかったけど、結局のところ「こりゃ根深いなぁ」で終わってしまい、沈んで終わる。レジリエンスしていない。
それだけ一筋縄ではいかないし、銀の弾はないということなんだろうけど…やっぱり欲しい、ギブミー解決策!!!

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