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【読んだ】80歳の壁

おすすめ度 ★★★★☆

老後のことを考える機会が増えた。
と、友人に話したら「まだ30代やん!」と苦笑された。確かに。
でもめっちゃ考えるんよ。元気で楽しく生きるおばあちゃんになりたいなって。そういう気持ちを後押ししてくれるような本だった。

老人精神医療が専門の医師である著者が、健康寿命を伸ばして「高齢者」から「幸齢者」になろうと提唱する。
多くの高齢者が血圧や体調を過度に気にして、病院に通いまくったり大量に投薬したりする。
でも、80越えたら病気になるときはなるし、自覚がなくても多くの人にガンなどの病気が隠れているらしい。

歳を取ることに前向きになるのは難しいし、事実できることは減っていく。30代の自分ですらそう感じる。
だけど、老化に逆らうことができないなら、怯えずに「今やれること」に目を向けて生きよう
。これが終始テーマになっている。

今を幸せと感じるか、不幸と感じるかは、過去との差をどう考えるかによって違ってくる、というわけです。(中略)
高齢になったからできることを楽しんだり、自分の世界を深めたりすれば、毎日がもっともっと楽しくなると思うのです。

自分の病気や認知症への不安だけでなく、友人や配偶者など近しい人の死による孤独・喪失感にも言及がある。私はまだ実感はないが、その世代の人には励まされる内容になっていると思う。


気になるところは認知症への言及。
家族として経験がある自分には疑問に思うところも多かった。

認知症でも気にせず家族に世話してもらえばオッケー!そのくらいのことは家族もやるべき!というテイストなので、そこは個々の事情によるやろ…というのが正直なところだ。

それから、この人はおそらくかなりの自民党嫌いで、政治的な色がちょいちょい顔を出す。
現代医療にも疑問を呈しているところが多く、最初は投薬全否定系かな?と思った。実際は全否定ではなく、上手く付き合っていこうってスタンス。高齢者の社会保障費を考えても、とにかく病院・薬!というのが正しいとは思えないので、納得感はある。

ガンになって手術をうけると、認知含め残存機能の低下につながる、というのも父の病気で実感したところだ。

ただ医療に関することは賛否両論あるだろう。私も下手に盲信しないように読んだ。


全体として、年齢を重ねてもできるだけ楽しく前向きに生きたいと思わせてくれる良本だった。
自分の親にも楽しく前向きに歳を重ねてもらいたい。
プレゼントしようかな。









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