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日経電子版の読みこなしコミュニティを拡大して苦労したこと

こんにちは。日経の島田です。日経電子版のコンテンツマーケティングなどを担当しています。この記事では、日経電子版を読みこなすオンラインコミュニティ「iThink!(アイシンク)」の企画や運営をした際の様子をお伝えします。
(※この記事を公開した2022年9月時点では参加者の募集はしていません)

2021年夏に構想がスタートiThink!は、年末にβ版としてサービスを提供することができました。初めてのコミュニティ運営を何とか乗り切れた半面、ニュースへの考えをアウトプットするハードルの高さ、適切なコミュニティの規模といった課題を思い知らされることになりました。

▼前回の記事はこちら)iThink!をひらめき、β版を企画するまでの話

■β版の反省点を材料に

とはいえ、参加者から好評を頂けたため、β版ではない本番のサービスとして提供することになりました。22年4月ごろから募集を開始し、計8週間のプログラムを時期をずらしながら3期開催。β版は150人程度の参加者でしたが、結果として春のiThink!では、20~30代読者の合計約1200人に参加していただきました。外部のコミュニティの専門家の方もチームにジョインして、4人体制でサポートにあたりました。

コミュニティの規模以外で、β版からブラッシュアップしたのは、主に以下のポイントでした。

  • 気軽に投稿ができるSlackチャンネルを複数立ち上げた

  • 新聞記事の特徴、読み方の基本を伝えるセミナーを開催

  • 日経電子版のツールの活用方法などをご紹介する

例えば、新しく作成したSlackチャンネルで「積み上げ部屋」というものがあります。「今日はアウトプットを1本投稿する」「筋トレを頑張る」「英会話の勉強」といった具合に参加者の積み上げ(積み重ね)を箇条書きで共有します。「今日は記事の要約に時間をかけられない…」といった方も参加できるチャンネルです。ほかにも「どの記事を読むか迷ってしまう」という方向けに、ランダムに記事を紹介する「おみくじチャンネル」といったものも作成しました。

「おみくじ」と入力するとランダムで記事を紹介する「おみくじチャンネル」

春先は例年、日経電子版の新しい読者が増える時期でもあります。新社会人や就活を始める大学生、転職などで新しい環境にチャレンジされる方…。今まで日経のコンテンツに慣れていなかった方にも参加しやすく感じてもらえるよう意識したのもポイントでした。

細かい改善を積み上げられたのは、 チーム内で週1回「KPT」を振り返る機会をつくっていたのも理由の一つです。毎週コミュニティで感じたことを共有しながら、継続することや改善すべきことを話し合うことで、すぐに実行に移すことができました。

元々は8週間×3期を「すべて終わった後に振り返るのは無理だ」と思って実施していたのですが、コミュニティは参加者によって雰囲気や性質が変わるもの。短いスパンで振り返り、次のアクションを随時検討できたのは(結果論ですが)よかったかなと思います。

■1200人参加したのは成功だが…

最後の第3期は8月前半に終了しましたが、参加者が巻き込まれるような大きなトラブルはほぼ見当たらず。合計約1200人のコミュニティでしたが、盛り上がり方はβ版の頃より良くなったかなという手応えを感じています。

それでも反省点はいくつも出てきました。

一つは参加者へのフィードバックが不十分だという点です。記事を共有するアウトプットには絵文字のリアクションやbotによる返信をつけましたが、個別にコメントするといった細かなフィードバック、やる気を引き出す返信などまではやりきれなかった場面が多かったと認識しています。他にも参加者同士での交流を促すこともできたかもしれません。

もう一つは、苦手意識があるテーマの記事を読み、アウトプットしてもらう仕掛け作りの難しさです。運営メンバーとしては、電子版や紙面を読んでもらうなかで、ご自身の興味関心の幅を広げてもらいたいという想いを持っていました。ただ例えば経済・金融といったテーマでは「記事の内容が難しい」といった声もあがり、参加者の苦手意識が垣間見えることがありました。

そのためiThink!のコミュニティが始まってから、ベテラン記者や、Think!エキスパート(=日経電子版の記事に解説コメントを投稿してくれる専門家)をゲストに迎えたミニイベントを急遽企画して開催することもありました。

インプットとアウトプットに最適な環境づくりは奥が深く、まだまだできることはたくさんあるなと感じたのが正直なところです。「これをやったらもっと楽しんでもらえたのでは!?」と後から思い浮かぶこともあり、β版や本番コミュニティの初期の参加者に提供できなかった施策があったことには申し訳ない気持ちもあります。

iThink!3期最終日の投稿から。参加いただいた皆様、お疲れ様でした!

課題は山のようにありつつも、運営メンバーとしては「やってよかった」という気持ちが強いです。参加者の方から「アウトプットすることを意識しながらインプットする習慣が身に付いた」「日経iThink!のために有料会員に申し込み、実際に参加できてよかった」という声も頂けたことも励みになりました。

また元社会部記者だからこそ感じたことかもしれませんが、「業種や職種、住んでいる地域も様々な20~30代の読者の方々が、日ごろどんなニュースに注目して、どんな感想を持っているかを理解できた」というのはいろいろな意味で刺激になることでした。

春から夏にかけて走ってきたiThink!はいったん休憩。今後もタイミングがあればコミュニティ施策を仕掛けていきたいと考えています。iThink!は若手向けの読みこなしコミュニティでしたが、違う切り口も考えられるかもしれません。

以上、上下2回に渡り、初めてコミュニティ施策を企画・運営した際に考えたことなどを書き連ねてきました。もし今度コミュニティ施策を実施することがあれば、是非参加をご検討ください!