持続可能なデジタル・ミュージアムとは(第3回):「高精細」という逃げ水
伝統的な日本の文化財を社会的に認知してもらうための課題の一つとして、その脆弱性に由来する公開条件の制約があります。たとえば絵画作品は直感的な理解がしやすい分野なので、展覧会など鑑賞機会の提供を多く求められます。しかし公開して光や空気にあたった分だけ確実に劣化が進みますから、公開期間に強い制限がかかるのが一般的です。文化財や美術品に対してデジタル情報を活用しよう、といった際、最初に思い当たったのが原品の代替、というのは自然のなりゆきです。
しかし、デジタル・ミュージアムが原品