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生き抜け!みんなのサバイバル術@にじまゆプロジェクト

 最近LGBTQ+やジェンダー界隈では、残念なニュースが続いている気がします。自民党のLGBT法案にまつわるニュースとか、夫婦別姓が違憲にならないとか。

 みんなに優しい世の中を目指して声を挙げるのは、もちろん大切だと思うのですが、ここまで変わらないと、疲れてしまう現実もありますね💦
 みんなが生きやすい世の中が叶えば、もちろんそれに越したことはないのですが、現状そうなっていない毎日をどう生き抜くか考えたり、傷を舐め合ったりする場所も必要だよね、って思います。

 そんなわけで先日、にじまゆプロジェクトにて「みんなのサバイバル術」というテーマのオンライン交流会を行いました。

 このイベントの開催のきっかけには、LGBT法連合会が公開している「困難リスト」というものがありました。LGBTQ+の方がぶつかる困難を一覧にしたものなのですが、数が多くて驚かされる上に、一つ一つ考えさせられます。

 今回のイベントは、かなやんとやっている「ゼロラジ」の取材も兼ねていたため、当日話し合った内容の一部はYouTubeでも紹介しております!
 ぜひご覧くださいませ!

就労や医療にまつわる困難

 就労については、トランスジェンダーの方の話題がメインで、現在公開している動画も、こちらの内容が中心です。
 お話しを聞いていて思ったのが、就労するまでの仕組みさえも困難になり得ること!
 LGBであれば、カミングアウトするかどうか、就労してから様子を見て考えることもできるのかなぁと思います。でも、トランスジェンダーの方だと戸籍にもかかわってくるので、カミングアウトしないで就労してしまうと後々大変な思いをしやすいです。
 ……ということは、ハローワークとか使おうと思った時点で、事情を説明しておいた方が良いわけですが、どう受け止められるか分からない中でカミングアウトするのは勇気がいりますよね。さらに、仕事を早く見つけなきゃいけないという焦りもあったら、かなりきついと思います。

 サバイバル術としては、信頼できるスタッフにだけ相談すること、また、相談時に個人情報を開示する範囲を自分から指定すること、など出てきました。
 スタッフが対応に慣れていればよいですが、どうしたらいいか戸惑ってしまうケースもあると思うので、自分からこうしたいと伝えることも大切なのかもしれません。大抵の場合、スタッフの方に悪意はないのですから。

 また、切迫感で言えば、医療も同じです。体調が悪いから病院に駆け込みたいのに、保険証と実際に生活している性や名前が違うとなると、気軽に行けない事情もあります。

 この問題に絡んでくる通称名と戸籍名について、動画2本目3本目で、かなやんが詳しく説明してくれています。良かったら覗いてみてくださいね!

刑事手続きにまつわる困難

 次に話題になったのが、刑事手続き、主に性犯罪にまつわる困難です。
 性犯罪、と聞くと、大抵の方は男性から女性への性犯罪をイメージしますよね。実際に、件数が一番多いのも事実だと思います。
 でも、実際には、同性同士だったり、女性から男性だったり、多くの人がイメージするのとは違う状況での性犯罪もあるでしょう。そんな時に、声を上げにくいという話題でした。
 まずは警察に、と思っても、カミングアウトしなければいけないというところから、躊躇う人もいます。また、警察に駆け込んでみたけれど、理解を得られず、いわゆるセカンドレイプに遭ってしまう人がいるのも現実です。
 犯罪に遭った上に、誰が助けてくれるか分からない、というのは心理的にもかなりつらい状況です。

 サバイバル術としては、LGBTQ+当事者の相談を受け付けている団体にアクセスすることや、LGBTフレンドリーな弁護士をあたってみる、という意見が出ました。実際、Google検索でも何件かヒットしましたよ!

旅行にまつわる困難

 宿泊を伴う旅行って躊躇うよね、という話題もありました。特にお風呂が共同のところだと、トランスジェンダーの方には本当に難しい問題だと思います。また、宿側では宿泊者の名簿(宿帳)を管理しなければならない法律もあるので、ここでも通称名と戸籍名問題が浮上しました。

 多くはないと思いますが、同性カップルでは、ダブルの部屋を予約していると断られたり、ツインに振り替えられてしまうケースがあるというお困りごともあるようです。中には善意だと思ってやってくれているホテルスタッフもいると思うので、難しいところです。

 お風呂関連では、貸切風呂があるところを選んだり、湯あみ着OKの宿を探すという意見が出ました。乳がんの手術跡のある方に配慮した宿のネットワークもありますので、そういったところからもアプローチできます。
 そういったところでは、LGBTフレンドリーと宣言していなくても、多様なお客様に対応してくれそうなイメージは持てますね。

 ちなみにお風呂については、にじまゆにも遊びに来てくれるYouTuberのゆなちゃんが動画をアップしていましたので、紹介しておきますね!

冠婚葬祭にまつわる困難

 LGBTQ+にとって、家族とカミングアウトは永遠のテーマじゃないかと思うのですが、冠婚葬祭ってまさにその問題が顕在化する機会ですよね。普段会っていない親族が集まる上に、フォーマルな格好もしなければならないので、トランスジェンダーの方にとっては頭の痛い問題です。

 また、主にLGB視点になると思いますが、同性婚NGの日本では、結婚式って、自分が祝われる対象にはなれない虚しさを感じたり、「次はあなたの番だね!」なんて余計なことを言われたりしてしまう機会でもあると思います。(私も言われました)
 私自身、自分がカミングアウトしていない人の結婚式には、極力顔を出していなかったりします💦
 もちろん、気にせずに祝える方もいるかもしれませんが、私はちょっと余計なこと考えて、きつくなっちゃいますね。(これはセクシュアリティ全体ではなく自分の問題も大きいと思いますが)

 サバイバル術としては、無理に出席するよりも、どうにか理由をつけて欠席するという意見が出ました。コロナ禍を逆手にとれば、今は比較的断りやすいご時世です^^;

 また、サバイバル術と言っておきながら、死後の話題も
 具体的には、亡くなった後の「戒名」についての話だったのですが、これも性別があるそうです。(知らなかった!)
 つまり、トランスの方がカミングアウトせずに亡くなったら、自分の望まない性の戒名をつけられてしまうということですね。自分の死後のことなので、生前になんとかしておかないと、どうにもできない話になってきます。
 家族に言えない場合は、信頼できるお寺に相談しておく、というサバイバル術が出ました。

みんな大体善意でやってる

 いろいろな困難とサバイバル術が出てきたのですが、繰り返し出てきたポイントとして、悪意があってLGBTQ+を生きづらくしている人はあまりいないだろうということが挙げられます。

 大抵のケースは、正しい知識を身に着ける機会がなかったり、その人自身の人生には直接影響がなかったり、優先度が低かったりするだけなのだと思います。
 私だって、LGBTQ+以外のことで、人類一人一人が抱えている生きづらさに向き合って、毎日そういった人たちに配慮して過ごせているかというと、絶対にできていません。

 だから、「こうしろ! こうしてくれないお前は悪だ!」と激しい声を挙げるのではなくて、「こうしてくれるともっと楽になるんです」と伝えるような、ソフトなアプローチの方が良いんじゃないかと思います。相手に悪意がないと分かっている上で不当な扱いを受けたのであれば、それでは困ると説明した上で、相手にされてしまったことに対しては寛大になる、という歩み寄りの姿勢も必要になってくるでしょう。
 変に噛みついてしまうと、「LGBTQ+の人怖い・うるさい」なんて嫌なイメージが生まれかねません。それよりは、その場は自分が譲歩する形になっても、気付きを得てもらった方が良いと思っています。
 とはいえ、私自身、感情的になるとついきつく言ってしまったりするので、ここは自分でもまだまだ反省が必要ですね💦

 今回は2時間枠でやった会でしたが、全然時間が足らず、困難リストの中にあった教育の話などには触れられませんでした。また開催するかもしれません。
 生きづらいLGBTQ+の皆様、仲間はいっぱいいます。生き延びましょう!

 次回、2022年1月16日(日)15:00~17:00に、「みんなのサバイバル術」開催します!


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