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学びカフェを始めよう

私は教員同士の自由参加の学び場づくりを自分の勤務校で行ってきました。行政主導の研修や参加が義務付けられている研修とは異なり、教員が自分たちで学びたいことを学び合う場です。これを「学びカフェ」と名付け、数年前から実施してきました。
今日は、私が実践してきた「学びカフェ」とはどういうものかということについてまとめたいと思います。

「学びカフェ」とは

私が前任校で始めた「学びカフェ」という取り組みの概要は次の通りです。
①テーマと日程を決め、チラシを作成する
②チラシを、全教員に配布する
③チラシを見て参加したい人が、当日参加する
 (30分〜1時間くらい)
④内容をA4 1枚程度にまとめる
これを月1回のペースで繰り返します。(④のまとめは、次のチラシと一緒に配布します。)

テーマは、その学校の先生たちが情報共有したいと思うものなら何でもOKです。学級通信、ちょっとした空き時間に行うミニレク、道徳授業の工夫など、考えてみるとテーマはたくさん浮かぶのではないでしょうか。

チラシはこんな感じです。↓

コロナ前のものですが、新学期の学びカフェのチラシです。

「学びカフェ」はOJTの延長

一般的に人材育成システムは、OJT、OFF-JT、SDの3つに分類されます。

OFF-JTは職場を離れて受ける研修を指します。(初任者研修、中堅教諭資質向上研修、都道府県主催の研修など)定められた研修の他に希望して参加する研修があります。

それに対して、OJT(On the Job Training)は職場で行われる研修です。教員の場合、OJTと普段の業務との線引きはかなり難しいものです。実務を通して学ぶ性質が強いため、どこからが研修でどこからが実務なのか区分けすることはできないかもしれません。
OJTの中には、意図的計画的に進められているものがあり、それを「OJT」と呼んでいるという実態もあります。

SD(Self-Development)は自己啓発のことです。自発的に能力を向上させるために行い、他の人から強制されるものではありません。書籍を購入して読んだり、セミナーに参加したり、自費で何かの資格を取得したり…様々な学びの形があります。

「学びカフェ」は、自由参加という点でSDの側面もありますし、校内で教員同士が学び合うという観点から言うとOJTの側面もありますね。

教員が自己決定する場が減っている

今、働き方改革が話題になっていますが、教員の多忙はなかなか改善に向かっていません。とにかくやるべきことに追われて、やりたいことができないという現状が続いています。「自分でこれを学びたい」と考える前に、「これからの時代は教員は〇〇の力がなければやっていけない。〇〇の力をつけなさい」と次から次に命じられます。

〇〇の部分には、その時代に国が推進しているものが入ります。少し前はプログラミング教育。(←ほとんど聞かなくなりましたね。) 今は、1人1台端末を利用したICT活用でしょうか。「ICTを使うことと子どもの学び」ついて消化もできない、納得もできていない状態で、否応なく実践しなくてはいけない状況なのです。

そんなとき、学びカフェは一役買ってくれます。学びカフェは誰か偉い人が何かを推進しようとして行うものではなく、教員の「学びたい」が出発点になるからです。
例えば、「ICTを使うことと子どもの学び」というテーマで学びカフェを行うと、教員の口から、ICTを使うとより学びにくくなる例や教師の葛藤が語られます。また、うまく利用できた例も挙がります。

このようなやりとりから、「どんな教育をしたいのか」に話が向かったり、私たち教員をとりまく現状を批判的に考察したりする機会が生まれます。

仕事が増え、思考停止に陥りやすい状況に追い詰められている私たち教員にとって、自ら考える場はとても大切です。考えることをしない教員が子どもたちの思考力を高められるはずがないのですから。

時間確保という壁

学びカフェを行う上で最も大きな壁となるのが、時間の確保です。業務量が膨大なので、教員同士が気軽に情報交換するような時間を確保するのがとても難しいのです。

とは言え、とにかく日程を決めて実施してみることが大切かなと思っています。意外な人が来てくれたり、話しているうちに、学び合いのきっかけが生まれたりします。教員同士が協働することが、精神的負担を減らすことや、業務の効率化に繋がる場合もあります。

私の経験から、夕方の休憩時間(3時45分〜4時半)や、5時〜6時くらいの時間枠で実施すると参加しやすいと感じています。
(勤務時間外でも、管理職や教務の先生には事前に周知した方がよいです。好意的に受け取ってくださる管理職も多く、勤務時間に重なってもよいと言ってもらえる場合もあります。)

みんな忙しいので参加者が少ないことは織り込み済みで計画する。そして、1人でも来てくれたら感謝し、楽しい時間を共有する。こういった地道な取り組みが、学校を元気にしていくのだと信じています。

それから、企画は2人以上で行うのがおすすめです。1人だとうまくいかないときに気持ちが落ち込むし、客観的な意見がないまま実施するのは難しいためです。やってみようと思ったら、まずは校内に仲間を探すところから始めてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。