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第8章、寮(3階、1番奥の部屋)作戦会議後編ー6「空気が変わりましたでしょ、あれって邪悪な力がなくなったからだと思いますの。」

 前回の和室での作戦会議の続きです。

太字の()の中の文字や文章は、私(主人公)の気持ちや考えていることです。
()の中の文字や文章は、作者による注釈です。

作者より


「なんでオフィーリアたちを、 あそこ(排水溝)に案内したんだろう?」


前回と同じ、女神と部下たちが座っている場所と和室の見取り図です。


「まだ気になっていることがあって、あの偽寮母さん、なんで排水溝の死体を見て、あんなにびっくりしたのかな? なんでオフィーリアたちを、あそこ(排水溝)に案内したんだろう? 侵入者だったらヒドルの性質(詳しくは、前回を参照)とかって知らなかったってことはないだろうし・・・。」と、私が言うと
「姫の力を知らなかったのですわ。」とナナ
「そうですわね。大元おおもとの場所を案内してくだされば、後は、私たちで何とかいたしましたのにね、姫。」とミミ
「そうですわね・・私、第二都市って来るのが始めてで・・たぶん市長さん以外の方は、私を初めて見る方ばかりのようでしたわね。」とオフィーリア
 藍白、タガメと他の女神と部下たちもうなずいている。
「だから、わざわざ降魔術、使って地獄姫を呼び出すなんてことをしたんだろう? 王宮にいきゃ、知ってるやつがゴロゴロいるし、会議があれば来てるってのに・・。」とバッカス
(バッカス、酔ってんな。)


「植物が枯れたこと」、「ガイア」、「地獄」について

   
 
私はお酒を1口飲み
「ねぇフローラ、植物って土の中から水を吸い上げるんだよね。」
「ええ、その通りですわ。植物というのは土の中に根を張り巡らせておりまして、その根で土の中の水を吸い上げて、全身に行き渡らせますのよ。」
「じゃあさ、あの排水溝の水が流れただけでは、水を吸い上げられないんじゃ・・・。」
フローラが「ショック!」という顔をする。
「フローラ様!」とヒアキッソス。
 ローズ、ヒマワリも同じような顔をしている。
 私は苦笑しながら
「うん、排水溝のイメージって細長い管に水を通すって感じなんだけど、明日、行ってみたら?」
「あ、明日さっそく行ってみないと・・・。」
 フローラは真っ青な顔で震えながらつぶやき、ヒアキッソスが
「フローラ様、さっそく明日の朝、行ってみましょう。」
 ローズとヒマワリも、しっかりうなずいている。
 鶏の足の肉にかぶりついていたマーズちゃんが
「じゃあさ、あの花や草や木がしおれていたのは、何でだ?」
 フローラは考え込み
「えーと・・・私がみたところ、何か邪悪な力によるものかしら? みーちゃん(主人公)が来たら空気が変わりましたでしょ、あれって邪悪な力がなくなったからだと思いますの。お母様にたずねてみましたら、土の中で起こっていることがすべてわかりますのよ。」
「ねぇアルテミス、ガイアって第二都市で見た?昨夜ぐらいから」と私
「いいえ、避けているのかしらね。」
「そういや、「しばらくお別れ」みたいなことを言ってたぜ、あの居酒屋に来る前に、オフィーリアと、こいつ(主人公)とで会ったんだけどよ。」とマーズちゃん
 オフィーリアもうなずき
「澪ちゃんが「長いお別れになりそう?」ってきいたら、「そんなに長くはないわ。ほんの半年か1年」って言ってましてよ。」(3章-2)
「えー!? お母様が? サファロスにきいてみなくちゃ・・・。」とフローラは再び、ショックを受けている様子だ。
「きっと、ガイア様は土の中の異変に、いち早く気づかれたんですよ。」とヒアキッソス
 ヒマワリが私たちに
「ガイア様は土の中のことには、すごくおくわしいんだ。」
 ローズが
「フィリップたちは、土の中のことは何でも知っているの。」
 私は、会議の最後の方でガイアが「大地がうごめいているわ。」と言っていたのを思い出す。(「大地がうごめいている」って、どういうことだろう?)
 マーズちゃんが
「そういやさ、ガイアが会議の最後の方で「大地がうごめいている」って言ってただろう。あれって、どういう意味だよ?」(1章-5)
「あれは・・・お母様にきいておけば良かった。」
 フローラは悔しそうにする。その部下たちも、つらそうな表情で彼女を見ている。
 バッカスが
「地獄の穴が開いたんだろう? ハップルが盗んだ鏡でなんとかして」
と私を見る。
 私は考え込み
「あれは・・キングの後ろにある次元ポケットみたいなものだから、大地に直接、働いたかどうかは、ガイアにきいてみないとわからない。ただ1つ言えることは、あの萎れてた植物たちが明日、もし再び萎れていたら、地獄の穴が開いたからじゃない、地獄の穴は私が完全に閉めたから。」
 私の部下たちも、うなずいている。
「じゃ地獄は今、どうなってるの?」とアルテミス
「ドラゴンたちにまかせてる。切った亡者たちは死んだと同時に地獄に帰っていくんだけど、それを管理するものが、いなくなるから。」
「ドラゴン!? すごーい!」と女神たちと部下たち
「ハップルから鏡を取り返したら、地獄を行き来できるようになるから、地上にドラゴンを連れて来られるよ。」
と私が言うと、部下たちもうれしそうにうなずいている。


明日のA地区での作戦について


 座卓の上の食べ物は、あらかた無くなってきている。
 私はパンフレットを片付けメモ用紙を取り出し、鉛筆でA地区の見取り図を書き始めた。その横でアルテミスが
「やっと本題ね。」
「うん、ちょっと上の物を片付けてくれるかな?」と私
 部下たちが、女神たちも手伝って空いた食器やグラス、箱を片付け、アルテミスの横の方に寄せる。
 私は座卓の上に身を乗り出し、真ん中辺りにA地区の見取り図を描いたメモ用紙を置き
「えっと、明日は、A地区で暴れている亡者たちを全員地獄に送り返して、次の日は確認するぐらいで、いきたいんだけど・・・。」
  部下たちも、身を乗り出して見ている。

主人公が今、メモ用紙に描いているA地区の簡単な見取り図です。

「私たちがA地区の中に入って亡者たちを送り返すから、マーズちゃんたちは、この崖の上から援護して。」
「いいぜ!」
 トカレフたちと私の部下たちもうなずく。
「で、オフィーリアはどうするの?」
 オフィーリアは身を乗り出し
「水を流すには、私が池の中に入って水を清めないといけませんの、その間はどうしても無防備になりますから、ナナとミミ、藍白に守ってもらって、タガメにこの崖の下をハンマーで叩き割ってもらって水を流してもらいますわ。ですから、ある程度いなくなったらタガメにA地区に入ってもらいますわ。」
「了解。」と私とマーズちゃん、部下たちもうなずいている。
 藍白が
「あの考えたんですが、水が土と同じように邪悪な力で汚染されているということは?」
「藍白、それはないと思いますわ。排水溝の流れる水を見ましたけど、邪悪な力を感じませんでしたから。」とオフィーリア
「話が変わるけど、水を出すのと流すのは別じゃない? 水がもし、また出なくなるってことはありえる? 例えば、貯水槽で何か起こったとか・・」と私
「それは、ありますわね。実は、このお風呂の水も、私の力で出しましたの。明日、さっそく確認してみますわ。」
 部下たちがうなずいている。
 副隊長が
「隊長、ソウイチロウが「暇で暇で死にそうなんで来たい」って言ってんですけど・・・。」
「ハッハッハッ。」
 アオバとヨシツネ、他の部下たちも笑っている。
「いいよ、明日の朝9時ぐらいかな、ここに集まって」
 部下たちがうなずく。私は続けて
「アルテミス、さっきの写真、ソウイチロウに渡したいんだけど、もらえる?」
「いいわよ、銀河連合に見せたら渡すわ、ソウイチロウくんに調べさせるのね。」
「うん、元々そういうポジションだから・・銀河連合って明日来る?」
「そうね、見に来るかもしれないわね。」と言ってアルテミスは立ち上がる。
 私は部下たちに
「じゃ、今日はここまで、お疲れ様。」
「お疲れ様です!」
「お疲れさんです!」
 と口々に言って、全員立ち上がった。


次回

第8章ー寮(3階、1番奥の部屋の和室)
7、「みお、じゃなくて澪木ですわ、川の中で水先案内人の役目をしますのよ。」

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