第8章、寮(3階、1番奥の部屋、和室)ー7 「みお、じゃなくて澪木ですわ、川の中で水先案内人の役目をしますのよ。」
座卓の跡
ザワザワとみんなが伸びをしたり話をしたりしている時に、トカレフたちが私の所に来て
「さっき、マーズ様が「座卓の跡がついてないから、あまり使われてない」って指摘されたって、どういう意味で言われたんですか?」
「あーじゃ座卓と座布団を、入って来た時と同じように置いてみて。」
トカレフたちは、使った後の食器が入った箱を畳の上に置き、座卓を柱に立てかけ、座布団は重ねて隅に置く。
「うん、あの(廊下側の)ドアからこの和室まで、何か気づくことはある?」
トカレフたちだけでなく、他の部下たちや女神たちアルテミスも見回している。
アルテミスが
「あの机と椅子って、刑務所でいったら看守が座って見張っているような感じよね。」
「えー!?」と部下たちから声が上がる。
さっそく私たちは、和室を出て、あの1本足のテーブルと椅子の所に向かう。
フローラが「机と椅子の跡って、ついてまして?」
「うん。」
私は、副隊長にテーブルを、アオバに椅子を動かしてもらう。
カーペットには、くっきりと跡がつき、埃がたまっている。
「ほんとだわ。」とフローラ
「これが、あの畳にもついていないと、おかしいってことですか?」とトカレフ
「うーん、あまり使われてなかったら畳が傷むのを防ぐために、ああいう風に座卓を立てたりするんだけど・・この部屋は女神たちに使われないと思って使っていたのかなって、実際これ(テーブルと椅子)は、くっきり跡がついてるし、なぜ、この位置に置いていたんだと思う?」
「あー!」とトカレフが声を上げる。
「出入りを禁止するためだよ。」とリボルバー
ランチャーやニッカちゃん、他の部下たちからも「おー!」といった声が上がる。
「うん、たぶん、この上で監理日誌みたいなものを書いていたのかな? で、誰かがあの写真を撮ったはいいけど見せたくなくて、この裏にテープで貼ったんじゃないかなって」
私は、机の上を軽くトントンと叩く。続けて
押入れの中と座布団
「あと、あの和室でおかしな所はあったかな?」
「座卓以外にですか?」とランチャー
「うん」と私はうなずく。続けて
「押入れの中は見た?」
サイケが手を上げ
「見たけど、新聞紙が細長く破れてたのが積み重なってただけで、何もなかったですよ。なんで、こんなのがあるのかな? とは・・・。」
「ハピラキも思った。」
メロディーもうなずいている。
(押入れは、サイケたちの担当だったのか。)
バッカスが
「お前ら、イモ虫飼ったことねえのかよ。」
「そうですわ、動物の赤ちゃんとか藁を敷きますでしょ。」とフローラ
「うわー!」
サイケたちは声をあげる。
「トカレフたちは、座布団がなんであんな角に置いてあるのか思わなかった?」と私
トカレフたちがうなずく。
私はマーズちゃんに
「マーズちゃんとこって布団? ベッド?」
「あっ!!」とトカレフたちが声を上げる。
「押入れだ。」とリボルバー
「うん、すぐ使うんだったらわかるけど・・いつ使うか、わからないんだったら押入れにしまうよね。掃除に邪魔だし、埃がするし」
「うわーすみません、本当に全然見えてなかった。」とトカレフたち
「まあ、そのうち、できるようになるよ。」と私
「サンキューな。」とマーズちゃん
『澪木』の意味
横からヨシツネが
「隊長、『みお』ってどういう字を書くんですか?ボタンに教えたいんで」
「あ、あれ(マーズちゃんを見て)転入届、必要ないんだったら、いらないかなって」
「あっ、てめっ! 俺のつけた名前にケチ、つけようってのか?」
「マーズ様がつけたんですか?」とトカレフたち
オフィーリアが
「みお、じゃなくて澪木ですわ、川の中で水先案内人の役目をしますのよ。」
と言って、私のメモ用紙に鉛筆で『澪木』と書く。
副隊長とアオバが覗き込み、それをアオバが受け取り
「俺もモモタに教えよ。」とつぶやいている。
その横で藍白が
「ヨシツネくん、後でゆっくり教えてあげるよ。」
アルテミスが
「せっかくだから、寝室の方、もう1回チェックしてもらおうかな?」
「よーし!」
部下たちは、はりきって寝室の方へと歩いて行った。
次回
第8章ー寮(3階、1番奥の部屋、寝室)
8、「ベッドがないわ。」
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