#67 手楽来家が行っている「就労支援」
ろう難聴者の困りごと
音声言語が中心の現代社会の中で、日本語は避けて通れない言語なのでどうしても目に触れる機会が出てきます。
ろう難聴者の場合は、耳で聞くよりも目に入る感覚の方が多く、電車に乗る時も、街を歩いている時も必ず日本語に遭遇します。
スマホやSNSの普及で、日本語はより身近な言語になっています。
しかしながら世代を超えて共通している課題点の一つとして、日本語で書かれたものが理解できないというのがあります。
単語一つであれば理解できることもあるけれど、文章単位になると表面的な意味を理解するのに時間がかる上、相手の意図を汲み取ることが困難になり、コミュニケーションがなかなか成立しません。
とはいえ、ろう難聴者のコミュニティで自らのアイデンティティを見出した人は、手話でのコミュニケーションが流暢ですので、自分の主張を表現して相手の主張を理解する手段を持っています。
ただ、ろう難聴者の中にはダブルリミテッド(セミリンガル)の状態にある人がいるのも事実です。日本語にしても手話にしても簡単なことしか話せず、それが対人関係のトラブルを招くこともあります。
手楽来家で行っていること
にいまーるが運営している就労継続支援B型手楽来家では、ろう難聴者が作業を行ったり地域の人たちと交流したりしています。
作業に関しては、手先が器用でコツコツと進められる人がほとんどです。
ただ、取引先が求めていることやチームとして一つの作業に取り組むことについては理解が難しく、段取りを整理しておかないと個人プレーになりがちです。
職員が手話を中心に、視覚的に理解できるようにイラストや写真、文字を使いながら、個々の特性に応じて情報共有や説明を行っていますが、ここ最近は「耳が聞こえない」以外にも発達障害の傾向にある方もいらっしゃるので試行錯誤の連続です。
とはいえ、毎日顔を合わせて同じ空間を共に過ごしているからなのか、日々少しずつ変化が見られているのも確かです。仮に、音声言語としての日本語だけで過ごしていたら・・・本人にとって「分からない」環境が続き、社会生活にも影響があるのでは?と思っています。
今後に向けて
先日、外部から講師を招いて発達障害に関する学習会を開きました。「聴覚障害」と「発達障害」の重複についてそれぞれの特性を見ていきながら最終的には「その人」を見て支援していくことが大事、ということを再認識しました。
障害の名前に引っ張られず、本人が「わかる」環境に身を置きながら他者・社会との関係を身体で知り、「できる」ことを見つけていけるようアプローチし続けていけたらと。
そして、支援者も一人の人間。人として利用者の皆様と向き合いながら、地域とのつながりを維持していけるようなコミュニティでありたいと思っています。
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