見出し画像

#52 手話と映像ーー手話を記録すること

 にいまーるの理事の細野です。人間工学やユニバーサルデザインの研究をしています。日本聴覚障害者建築協会(AAJD)とSOSハンドブックを制作しました。日本トイレ協会や国際標準化機構(ISO)の委員もしています。

手話のドラマとして、30年くらい前に豊川悦司(略称:豊悦)と常盤貴子の「愛しているといってくれ」というTBS「金曜ドラマ」がありました。聴覚障害者の画家と女優の卵が、障害を乗り越えながら愛を深めるというストーリーで、1995年7月から9月まで毎週金曜日のゴールデンタイムに放映されて評判でした。

撮影場所は東京の井之頭線三鷹台駅前のアパートで撮影していました。暗くなってから、そこだけ照明下の撮影現場では、豊悦が一生懸命に下駄で走っているのを、神田川の反対側から眺めました。
これがテレビ放映された後、手話ブームが起きたようです。

先日はNHKから「しずかちゃんとパパ」があり、鶴瓶が手話を使っていましたが、もともと聾者では無いので、俄(にわか)仕立てで覚えても、どうもぎこちないみたいです。

また最近の映画では、深田晃司監督による話題の「Love Life」は第79回ヴェネチア国際映画祭に出品されたそうですので見て来ました。手話だけのコミュニケーション手段しか持っていない主人公の元旦那が、なかなか日本語の社会には馴染めないという悩みを抱えていました。

もう10年以上前の2011年3月になりますが、丁度東日本大震災の日の翌日に、新潟で「新潟しゅわる映画祭」があり、そこでは聴覚障害者の監督とも会い、筆談で映画制作での苦労として、簡潔な字幕の表現とか制作費用などの話を聞きました。

手話は記録をする事が難しい言語なのですが、こういう形での記録手段を上手く活用して行くと、もっと広がるのではと思いました。

---

文:細野 直恒(工博、にいまーる理事)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?