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#85 手話を使う介護施設で働いて

はじめまして。
普段、にいまーるnoteの見出し画像の作成を担当している関と申します。
昨年4月から、ろう者が多く入居している老人ホームで介護職員として働いています。
今回は、私の仕事について紹介します。

きっかけ

学生時代、手話サークルでの活動やにいまーるでのアルバイトを通じてろう者と交流した経験から、「ろう者と関わる仕事をしたい」「手話を使う職場で働きたい」と思い、ろう者向けの施設を運営する法人に入職しました。
いくつかある施設の中から、私は特別養護老人ホームに配属され、介護の仕事を始めることになりました。

手話について

仕事が始まってまず大変だったことは、「手話を読み取ること」です。
職場である老人ホームは、入居者のほとんどがろう者で、職員の一部もろう者です。手話を使うすべての会話に全神経を集中させる必要があったので、それだけで毎日クタクタになっていました。

入居者の皆さんの手話は、私が勉強してきた手話とは形や表し方が違ったり、ジェスチャーに近かったり。または、独自のサインを使う入居者さんもいらっしゃいます。
読み取れるようになるまでは数ヶ月かかり、こちらが何かを伝えられるようになるまでにはさらに時間がかかったと思います。入居者さんとスムーズに会話ができたときは、それだけでとても嬉しかったです。

ろう職員との会話にも毎日一生懸命でした。
指導についてくださった3人のうち2人はろう者。入職早々、「自分、なかなかすごいところで働いているな」と思いましたが、おかげで手話はかなり鍛えられました。

手話を使いたくて就職先を選んだので、手話に浸れる環境にいられることは、入職当時から嬉しく思っています。

介護について

ろう者ならではだと思うのが、「見て」いただかないとお話ができないということ。
聞こえる人であれば、目を瞑っていても、後ろからでも会話ができますが、聞こえない人の場合、確実に視界に入り、こちらを見ていただかなければ会話ができません。見ることができない場合(入浴介助中など)は、軽く体に触れて合図をしています。

また、介助する上では「説明と同意」が必要不可欠ですが、対応している入居者さんの中には、説明が通じず、同意を得られないまま介助せざるを得ない状況になってしまう方も一部いらっしゃいます。
嫌がっているのに無理やり進めるわけにはいかない、けれど入居者さんの衛生や健康を維持するためには必要なケアで…と、板挟み状態になってしまうことも少なくありません。
そのようなときは、
・入居者さんが不快に感じる時間が短くなるよう手早く終える、または一部省略する
・他の職員に対応を代わってもらう
・どうしても難しい場合はそのケアを諦める
などの方法をとっています。
入居者さんに合わせた、伝わりやすい説明方法を身につけることは、私の今後の課題の一つです。

おわりに

最後に、日々利用者さん同士のやりとりを見ていて、おもしろいなと思うことを。
それは、私から見ると利用者さんそれぞれが独自の手話を使っているように思えるのに、入居者さんの間では通じていることです。また、ほぼ同じ単語を使っているのに、私が言うよりも他の入居者さんが言った方がスムーズにわかってもらえることがあるのも、(少し悔しいですが)おもしろいです。

入って1年やそこらの新参者よりも、何年も顔を合わせている入居者同士の方が伝わりやすいのでしょうか。
まだまだ修行の日々です。



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文:関海

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