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【スポ少ニュースレター vol.14】スポーツ少年団活動に関するアンケート調査結果報告(概要)

日本スポーツ少年団では、新型コロナウィルス感染拡大による団員数の大幅な減少や国が主導する休日の部活動の段階的な地 域移行など、子どもを取り巻く環境が変化する中で、今後のスポーツ少年団の活動を不安視する意見・要望が多数寄せられたこ とを受け、スポーツ少年団緊急対策プロジェクトを設置し、各都道府県スポーツ少年団等の意見を聴取するなど、様々な視点で 検討を進めております。

本県においてもスポーツ少年団活動の活性化に向けた方策を検討するため、アンケート調査を実施しま したので概要を報告します。 
ご回答いただきました単位団の皆様、ご協力ありがとうございました。 なお、詳細は、新潟県スポーツ協会のウェブサイトに掲載します。

(この記事は、新潟県スポーツ少年団「にいがたスポ少ニュースレター vol.14」(令和4年3月発行)の記事を再構成して掲載しています。)


調査実施概要

・調査名:スポーツ少年団活動に関するアンケート
・調査期間:令和4年1月11日(火)~1月28日(金)
・調査対象:令和3年度スポーツ少年団登録単位スポーツ少年団(以下、「単位団」という)新潟県内553単位団
・調査方法:Web調査(Web回答フォームをメールで配信)
・回答単位団数:255団(回答率46.1%) 

調査結果(一部抜粋)

スポーツ少年団の理念及び活動について

【スポーツ少年団活動の中で最も重視している点】(図表1)

スポーツ少年団の「理念」について尋ねたところ、 96.9%が「知っている」と回答しており、多くの単 位団においてスポーツ少年団の「理念」が認識され ていることが伺えました。 
また、スポーツ少年団活動の中で最も重視してい る点については、「スポーツを通した青少年の健全育 成」の回答が91.8%で最も多く、本県の単位団にお いてスポーツ少年団の「理念」に沿ったスポーツ少 年団活動が行われていることが分かりました。

スポーツ少年団に登録する理由について

【スポーツ少年団に登録する理由で最も重視している点】(図表2)

スポーツ少年団に登録する理由で「最も重視して いる点」について尋ねたところ、「スポーツ少年団 主催大会があるから」が37.7%と最も多く、次いで 20.1% 「施設使用料の減免があるから」が20.1%、「スポーツ少年団の理念に賛同しているから」が18.8%になりました。単位団の多くは、スポーツ少年団主催大会に参加することも目的にスポーツ少年団に登録していることが伺えました。なお、日本スポーツ少年団事業認知度調査(令和3年7月)でも「スポーツ少年団に登録する理由」 についての設問がありましたが、全国的にみてもほぼ同じ傾向となりました。 

中学生以上が登録する理由について

中学生以上が登録する単位団を対象に中学生以上が登録する理由について尋ねたところ、「団員が登録を希望しているから」 と「指導者が勧めている」が同率の25.0%で最も多く、次いで「部活動の実施種目にないから」が14.3%になりました。 
なお、中学生以上が継続して登録するための取組事例を尋ねたところ、「部活動以外で練習(活動)するため」や「指導者・ 初心者等のサポート」などの回答がありました。 

団員の受入が可能な学年等及び活動受入の終期について

【団員の活動終期の理由】(図表3)
※団員の受入を「小学6年生」までと回答した方を対象にした設問の回答

団員の受入が可能な学年等について尋ねたところ、 「小学校低学年(1~3年生)から」が52.5%で最 も多く、次いで「未就学児から」26.3%、「特に制 限はない」が14.9%になりました。そのことから、 本県において未就学児又は小学校低学年(1~3年 生)からスポーツ少年団に所属することができる環 境であることが伺えました。
また、団員の活動受入の終期については、「小学6年生まで」が53.7%で最も多く、次いで「特に制限はない」が28.2%にな りました。半数以上の単位団が小学6年生までの活動受入としており、その理由については、「部活動を 始めるから」が44.3%と最も多く、部活動を理由に スポーツ少年団から離れていくことが伺えました。

新潟県スポーツ少年団主催大会(県大会・地区大会)におけるスポーツ少年団独自のローカルルールを設けることについて

【スポーツ少年団独自のローカルルールを設けることについて】(図表4)

新潟県スポーツ少年団主催大会(県大会・地区大会)におけるスポーツ少年団独自のローカルルール (例:試合への全員出場など)を設けることについて尋ねたところ、「賛同する」が64.3%で最も多く、 「賛同しない」は、13.7%になりました。スポーツ少年団主催大会にスポーツ少年団独自のローカルルールを設けることについて、単位団から一定の理解が あることが伺えました。 

スポーツ少年団活動を通じたSDGsや社会貢献活動・教育活動について

【スポーツ少年団活動を通じたSDGsや社会貢献活動・教育活動について】(図表5)
【スポーツ少年団活動を通じたSDGsや社会貢献活動・教育活動の実践が難しい理由】(図表6)
※スポーツ少年団活動を通じたSDGsや社会貢献活動・教育活動について、「必要性を感じているが単位団での実践は難しい」、「実践していない」、「実践するつもりはない」と回答した方を対象にした設問の回答

スポーツ少年団活動を通じたSDGs や社会貢献活動・教育活動についての関心等について尋ねたところ、「関心がある」が52.9%で最も多く、次いで「どちらでもない」が41.2%になり、半数以上の単位団 で関心があることが伺えました。一方で、「必要性は感じているが単位団での実践は難しい」 45.1%と約半数の単位団では、関心があるものの単位団での実 践は難しいとの回答がありました。
また、その理由については、「ノウハウがないから」 26.5%、「人手 がないから」19.9%などの理由が挙げられたことから、県スポーツ少年団や市町村スポーツ少年団等で単位団がSDGs や社会貢献活動・教育活動を実践できる環境を整える取り組みが求められていると考えます。 
なお、既にSDGs や社会貢献活動・教育活動を実 践している単位団も一定数おり、その内容は、清掃 (美化)活動が最も多かったところです。 

休日の部活動の段階的な地域移行について

【休日の部活動の段階的な地域移行の理解度】(図表7)

 国が主導する「休日の部活動の段階的な地域移行」について、その内容の理解度を尋ねたところ、「ある程度は理解している」が54.5%、「理解している」が19.6%であり、約7割の単位団において一定の理解があることが伺えました。そのうちの約半数は、単位団が「部活動(中学校)の受け皿(受け入れる組織)になれる」の回答がありました。
また、「部活動と連携していきたい」と回答した単位団は、38.8%であり、本県の単位団では、休日の部活動の段階的な地域移行について、前向きな意向を持っていることが伺えました。その一方で、「受け皿になることはできない」と回答した単位団は、33.5%であり、その理由については、「指導者の人数に余裕がない」34.9%、「時間がない(合わない)から」 25.3% などであったことから、指導者に関する課題が挙げられました。 

なお、既に部活動と連携している単位団も一定数おり、部活動への指導者の派遣や部活動の時間外での指導などの例がありました。

総合型地域スポーツクラブとの連携について

総合型地域スポーツクラブ(以下、「クラブ」という。)と単位団の連携について尋ねたところ、「関わりがない」が86.3%で あり、現時点でクラブと単位団との関わりはほとんどなく、関わりがない理由としては、「クラブとの連携の仕方が分からない から」 37.9%、「クラブが近くにないから」 36.7%であり、単位団とクラブで接点が少ないことが伺えました。 
これは、本調査の回答総数の23.5%を占める新潟市において1クラブしかなく、また、クラブ設置数も30市町村のうち20市 町であることが一つの要因だと推測されます。

スポーツ少年団活動の充実に向けて

令和2年度新潟県スポーツ少年団第2回総会において、スポーツ少年団登録者の減少に伴い、財政の悪化と諸活動の不活性化が顕著になってきているため、新潟県スポーツ少年団正・副本部長に外部有識者を加え、スポーツ少年団を取り巻く諸課題を整理・検討し、経営的観点による改善策を新潟県スポーツ少年団総会に提案することを目的に「新潟県スポーツ少年団経営検討会 議」の設置について、承認されました。その後、会議を重ねた結果、スポーツ少年団の理念に即した活動をより明確化し、実践することが子どもたちの社会性・教育性を育むと同時に新潟県スポーツ少年団の持続可能な経営改善に繋がるとの結論に達し、 以下の提案内容を令和3年度新潟県スポーツ少年団総会(令和4年3月3日開催)に提案し、満場一致で承認されました。 

①スポーツ少年団の理念に基づく活動を更に強化し、競技団体や民間営利クラブとの違い、強み(特色)をアピールしていく必要がある。
②子どもたち(団員)はもとより、保護者や地域・学校・行政・企業など、スポーツ少年団を取り巻くステークホルダーへのアプローチを強化し、支援の輪を広げていく必要がある。
③SDGs、社会貢献など、スポーツ少年団と親和性の高い活動の実践を通じて、団員の社会性や教育性を育む活動を拡大する必要がある。
④日本スポーツ少年団の一員として「スポーツ少年団改革プラン2022」と連携した活動を推進する必要がある。
⑤県スポーツ協会の活動と緊密に連携し、運動・スポーツに親しむ子どもたちを増やすとともに、財政基盤の強化を図る必要がある。
⑥スポーツ・インテグリティの確立に取組み、特に指導者の資質向上を図る必要がある。
⑦スポーツ少年団独自ルールを導入し、大会・試合でより多くの子どもたちが出場できる機会を拡大するなど、新潟県スポーツ少年団としてできる新しい取組にチャレンジする必要がある。
⑧日本スポーツ協会(JSPO)が開発した子どもが発達段階に応じて身に付けておくことが望ましい動きを習得する運動プログラムである「アクティブ・チャイルド・プログラム(JSPO-ACP)」の普及に努める必要がある。
⑨これらの提案について、組織内(総会・指導者協議会・専門部・リーダー会)で検討し、取組可能なものから順次着手する 必要がある。また、社会経済情勢や子どもたちのスポーツ環境の変化などに応じ、柔軟に見直し、検討していく必要がある。 

以上の「提案」を踏まえ、組織内にて具体的な内容について更に検討を重ねるとともに市町村スポーツ少年団や競技団体等と連携を図りながら、提案内容を実行に移していきます。 

また、公益財団法人新潟県スポーツ協会においても令和4年度からパートナー企業の協賛を得て「にいがた子どものスポーツ応援プロジェクト」(以下、「プロジェクト」という。)に取り組むこととしており、プロジェクトでは、親子などを対象として、 運動遊びや様々なスポーツ体験を行う「スポーツ体験キャラバン」を県内数か所で実施するとともに、専用ウェブサイトや広報 を通じて子どものスポーツに関する啓発活動を展開する予定です。
新潟県スポーツ少年団としても子どもたちの健やかな育成と スポーツ振興を図るため、プロジェクトの実施に連携・協力し、スポーツ少年団の普及と活性化を推進するとともにプロジェク トを通じて単位団がSDGs や社会貢献などを実践できる機会・環境を構築していきたいと考えております。 


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