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【スポ少ニュースレター Vol.13】<活動レポート>おぢや・わいわいスポーツ少年団

小千谷市スポーツ少年団に所属する「おぢや・わいわいスポーツスポーツ少年団」(以下「わいスポ」)は「運動遊び」を中心に活動する県内でもユニークな単位団の一つだ。少子化が進む中でも団員が100名を超える「わいスポ」の活動をリポートする。
(この記事は、新潟県スポーツ少年団「にいがたスポ少ニュースレター vol.13」(令和3年3月発行)の記事を再構成して掲載しています。)

にいがたスポ少ニュースレター vol.13 令和3年(2021年)発行(15.5MB)

団の紹介

わいスポは、小千谷市立小千谷小学校体育館を活動拠点に様々な運動遊びを中心に活動しているスポーツ少年団で、団員は、A(小学1年~3年生)・B(小学1年生~6年生)・S(小学4年生~6年生)の3グループから構成
されている。令和2年度は 117 名が登録し、県内一団員数が多いスポーツ少年団であり、指導者は代表指導者の遠藤さんほか2名とスタッフ1名が登録している。

代表指導者・遠藤 則子 さん

専門はバスケットボールだが、45歳から陸上競技の投擲種目を始め、
2014 年マスターズ陸上アジア大会ではやり投げ種目で優勝するなど輝
かしい実績をもつ。

子どもたちは運動遊びが大好き

 わいスポの活動を見ていると、子どもたちは終始笑顔で運動遊びを楽しんでいた。指導者が運動遊びのルールを説明するときは真剣な眼差しで指導者を見つめ、話を聞き、いざ遊びがスタートすると各々が全力で身体を動かし、活動の中にメリハリがあるのが印象的であった。
 遠藤さんは「子どもたちは仲間との運動遊びが楽しいから集中して遊ぶし、楽しみたいから指導者の説明をちゃんと聞く」と語る。
 子どもたちにとってわいスポの活動は単に「楽しい時間・空間」だけではなく、「仲間と社会性を育む場」となっている。

指導者の説明に耳を傾け、運動遊びは全力で楽しむ。
どろぼうしっぽ取り
「ラグビーボールゲットラン」は子どもたちに人気の運動遊びであり、運動量も非常に多い。

団設立の経緯

 遠藤さんは小千谷市スポーツ推進委員を務めており、小千谷市の事業で子どもたちの運動教室を年数回指導していた。子どもたちの活動の場をさらに広げるために運動教室を通年で実施できないかどうか模索していたところ、新潟アルビレックスランニングクラブと協力し、わいスポの前身である「わいわいスポーツ塾」を設立。運動教室等の活動を展開していたが、2004 年の中越地震により活動拠点であった小千谷市市民体育館が倒壊し、活動場所を失ってしまった。
 活動を継続していくために、遠藤さんは小千谷市教育委員会などの関係者に打診。スポーツ少年団での活動であれば、小千谷小学校体育館を活動拠点にすることが可能と分かり、2008 年にスポーツ少年団に登録。こうして「おぢや・わいわいスポーツスポーツ少年団」が設立された。遠藤さんは子どもたちが笑顔で楽しく元気に運動できる環境を提供することを意識しており、まさにスポーツ少年団の理念に沿った活動を実践している。

運動遊びを通じた子どもたちの動きづくり

運動遊びを通して子どもたちはコミュニケーションを積極的に取っている。

 わいスポは子どもたちの「動きづくり」や「多様な動きの獲得」を目的に運動遊びを中心に活動しており、楽しさの中にハードな運動量の遊びもある。遠藤さんは、運動遊びは日本スポーツ協会が考案したアクティブ・チャイルド・プログラムの他コーディネーション運動を参考にすると言うが、わいスポオリジナルの運動遊びも数多くあり、既存の運動遊びにルールや道具を足して子どもたちがどんな動きをするかなどイメージしながら運動遊びのメニューを工夫しているそうだ。そういった指導者の工夫が子どもたちの楽しさに繋がり、毎年、100名以上の団員が登録している理由ではないだろうか。
 また、運動遊びの他に剣道やバドミントンなどの競技体験会を実施するなど、他団体との交流も積極的に行っている。わいスポでの競技体験会を通じて本格的に競技を始めた団員もおり、わいスポが競技の入り口にもなっている。

卒団後の関わり

 団員が小学校卒業などを機に団を離れても、子どもたちに混じりながら一緒に運動遊びを行ったり、指導に携わる中・高校生の OB・OG もいる。特に夏休み期間中に行われる「お楽しみ会」では多くの OB・OG が応援に駆け付ける。
 このように団の活動にかかわり続ける OB・OG が多いのがわいスポの特徴でもある。取材日も帰省中の大学生が指導にきてくれていた。遠藤さんに聞くと、卒団後も気軽に遊びに来て、子ども達と一緒に体を動かしたり、時には学校のこと、プライベートなことなどを相談する者もいるという。わいスポは OB・OG にとって単に「楽しかった空間」だけではなく、「心地よい空間」なのではないかと感じた。

昨年度の「お楽しみ会」は多くの関係者で賑わった。

団員の声

近藤 一花さん(小5)
お兄ちゃんがわいスポに入っていたのがきっかけで私も入りました。
色々な遊びをするけど、その中でもドッチボールや鬼ごっこがとっても楽しいです!先生たちはいつも優しくて、とってもスポーツが上手!

村山 心菜さん(小2)
私もお兄ちゃんが入っていて、楽しそうだったのでわいスポに入りました。
遠藤先生は声が大きい、大塚先生はやさしくて面白いです。
しゃべったことがないお友達もいたけど、すぐ仲良くなれました。
いつも汗びっしょり。でも楽しいです!

「運動遊び」や「アクティブ・チャイルド・プログラム」のススメ

 「運動遊び」を中心に活動するわいスポは、県内で一番団員が多く、A・B・S の3グループはそれぞれ定員を設けているが、子どもたちや保護者の口コミによって毎年定員以上の申込があると遠藤さんは話す。
 最近、最初から単一種目型の単位団に入ることにハードルの高さを感じている子どもや保護者もいると聞く中、まずは「運動遊び」やアクティブ・チャイルド・プログラムなどにより運動やスポーツの楽しさを体験し、そこから様々な競技種目の団へ進むことが可能になると、より多くの子どもたちがスポーツの楽しさを享受できるようになるのではないか。
 また、単一種目をメインの活動とする団でも低学年や初心者に向けに「運動遊び」や種目につながるレクリエーションなどを取り入れることで、新たな団員確保や活動内容の充実につながるのではないだろうか。
 わいスポの人気ぶりをみるとそこにヒントがあるように思える。

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