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アメリカの小売業界におけるVRの利用事例

こんにちは。日本XRセンター代表の小林大河です。本日はアメリカの小売業界におけるVRの活用事例について解説します。

VRトレーニングが普及する背景を知る上で、アメリカのDXを考えることが欠かせません。アメリカの小売業界においてDXが進む背景には、いくつかの要因があります。

  • eコマースと競争圧力
    eコマースの世界では、小売企業が他地域のプレーヤーと競争するようになりました。 アマゾンは、配送スピード、顧客サービス、パーソナライズされたショッピング体験を高水準に提供しており、他の小売企業は追いつくために多額の投資を行なっています。

  •  AIの進化
    ビッグデータの収集・分析能力と生成AIの進化で、レコメンデーション、在庫管理、チャットボットやバーチャルアシスタントによる顧客サービスが進化しています。

  • オムニチャネルの統合
    消費者は、すべてのチャネル(オンライン、店舗、モバイル)で一貫したショッピング体験を期待しており、これらの統合を進めるためのDXが進んでいます。

  • 効率化とコスト削減
    在庫管理、サプライチェーン、オペレーションなどの業務を自動化することで、効率を高めます。特に追跡管理が改善され、遅延の削減とコストの最小化が可能になっています。

  • COVID-19への対応
    多くの小売企業は実店舗の閉鎖に直面し、DXを加速させ、ECとタッチ決済は不可欠になりました。

それらDXが進む中、全米に店舗を持つ小売チェーンでは、対面での研修が限界を迎えていました。特にウォルマートは世界で最多の従業員(230万人)を抱えており、対面研修の代替としてVRが導入されています。

ウォルマート

世界で4,700店舗、年商5000億ドル(75兆円)、従業員230万人(うち90万人は米国外)で、世界一の小売チェーンです。その多数の従業員を研修するのは非常に大きな悩みでした。
今では、ウォルマートの店舗に17,000 台の VR ヘッドセットが設置され、約140万人のアソシエイトがVRトレーニングを受けています。

VR導入以前には、eラーニング、200のトレーニングセンターで対面ロールプレイ、先輩店員とのOJTでトレーニングを行っていました。
その中で、お客様との会話やホリデーシーズンの動き方など、先輩がいないと難しいトレーニングからVRを活用しました。

結果として、VRトレーニングを受けた従業員の満足度は30%向上し、テストでは70%の確率で高得点を獲得しました。
例えば、VRを導入する前は最新機材を立ち上げるために、eラーニング、実地トレーニング、立ち上げキットでのトレーニングで構成される1日がかりのトレーニングセッションを各新規店舗で実施していました。
これが、VRにより約15分に短縮され、コーチが店舗に出向く必要もなくなるという大きなメリットを享受しています。

VRトレーニングの内容
全てのトレーニングをVRにしたらいいというわけではありません。ウォルマートでは、必要最低限のルールから始まりました。いまでは、ソフトスキルのコンテンツが多くなっています(例:店長が遅刻常習の従業員への厳しいフィードバックを練習)。ブラックフライデーの混雑した店内を再現、レジに到達する前にモバイル端末で顧客のチェックアウトを手伝う方法、最新機器(ピックアップタワーなど)の使い方と管理方法などが最もよく使われています。

体験者の感想
「ある人は視覚的に学ぶし、ある人は聞いて学習します。これは、そのすべてを与えてくれます」
「VRを体験し、自分がその中にいて意思決定をしているように感じることで、売り場に出ることがとても心地よく感じられるのです。」


スプラウツ

全米で400店舗、年商60億ドル(9,000億円)、従業員35,000人の中規模スーパーチェーンです。日本の多くのスーパーはウォルマートよりもこちらの方が規模感としては近いでしょう。

スプラウツのVR以前の研修とその課題
VR以前は、通常のトレーニングはトレーナーが店舗を巡回して実施し、対面式でトレーニングを行っていました。新入社員オリエンテーションでは、スプラウトの価値観から安全性、顧客サービスまでを、対面で教えていました。
「大変だったのは、23の州にチームメンバーがいて、全員が同じ方法でトレーニングを受けていることを確認することでした」(ストアオペレーション担当副社長)。
さらに、新入社員が実際の顧客で練習することは、顧客サービスを損なうという問題もあります。
その上、パンデミックの対応で、これまで以上の複雑な店舗オペレーションが必要になり、既存従業員の再研修に加え、追加人員のため何千人もの従業員を雇用し教育しなければいけなくなりました。

そのタイミングで、スプラウツはVRがロールプレイを効率化できることを知りました。

  • 場所に関係なく、標準化されたシナリオを体験し、自分のペースで学習できます。

  • 熟練のマネージャーも時間の経過で甘くなっていた規律を修正する再教育コースを受けます。

  • トレーニング時間の短縮により、残業も削減できます。

Verizon

1億1千万人以上の加入者を持ち、年商1,260億円(18兆円)、店舗数1,600、従業員15万人を要する米最大の携帯事業者です。

Verizonは、各従業員に対して、別のシナリオを提供しています。

  • 店舗スタッフ
    せっかちや不機嫌な顧客とのやり取りの中で、感情をコントロールしながら、デスカレーションする方法、アクティブリスニング、判断を会社の価値観に沿って行う研修があります。一方で、顧客の視点に立って学ぶことで、共感力を磨くシナリオもあります。

  • コールセンター
    VRで再現された顧客の自宅内に移動し、生活を体験します。実際のカスタマーサービスを提供する前に、顧客側の体験や感情を知ることができます。

  • 新任マネージャー研修 
    危機管理の対応として、リストラ、チーム内の対立などにおいて、適切な方法で対応することで、問題の発生を回避する方法を学びます。新任マネジャーにとって、VRは心理的安全性が確保された中で練習を可能にしています。最後には、学習者は自己評価のために部下の視点から自分の録画を見ることができます。

  • セールス
    セールスには、準備と商品知識への自信が必要です。VRは、顧客の反応をみること、各商品についてどのように話すか、反対意見にどのように対処するかなどに対応するための反復練習を提供します。

いかがでしたでしょうか。
これらのアメリカの事例を参考に、日本でもVRを使ったトレーニングが普及していくと思われます。

当社(日本XRセンター)の事例でも、大手スーパー向けに災害発生時の現場責任者の動き方を学ぶトレーニングを開発したり、

地震のシミュレーション

ホテルチェーン向けに外国人顧客やカスハラへの対応方法を学ぶVRトレーニングに加えて、

遠隔から顧客対応ができるアバター接客モニターなどの提供をしています。

ご興味のある方は、ぜひこちらまでお問い合わせください(thomas@vrarri.com)。
小売業界のVR事例やケーススタディの資料はこちら
https://shorturl.at/fBHsb

日本XRセンターについて

  • サンフランシスコ、インド、日本を拠点にVRコンテンツを開発(高いクオリティと圧倒的なコストパフォーマンス)

  • 日本を代表するVC、エンジェル投資家、金融機関より1.4億円の資金調達済み

  • 清水建設、大手スーパー、ホテルチェーン、大手医療機器メーカー、大手自動車教習所、著名テーマパークなど実績多数

  • CEO:小林大河

  • 本社: 150-0031 東京都渋谷区桜丘町16-13 桜丘フロントII 3F

  • Youtube: https://www.youtube.com/@vrarri

  • Website: https://www.vrarri.com/

  • お問い合わせ:thomas@vrarri.com

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