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大阪と熊野古道をつないだ道・熊野街道の再現を目指す。和歌山大学と日本ユニストの共同研究とは

こんにちは、日本ユニスト広報です!
日本ユニストは2022年1月より、和歌山大学と熊野街道についての共同研究を開始しました。今回のnoteでは、産学連携に至った背景や研究内容についてご紹介したいと思います。

熊野街道とは

熊野街道とは、平安時代より大阪から熊野本宮大社を目指して人々が歩いた道のことです。始まりは大阪・天王寺の窪津で、そこから和歌山・田辺へと巡礼の道が続いていました。大阪府南部や和歌山県北部には巡礼の拠点となった宿場町が点在していましたが、今はその跡がほとんど残っていません。街道沿いに点在する熊野の神を祀った社「熊野九十九王子」も、すべて現存しているわけではないのが現状です。

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なぜ和歌山大学と共同研究?

日本ユニストは世界遺産・熊野古道を泊まり歩く宿「SEN.RETREAT」を運営しています。今は古道沿いで2カ所の宿を運営しているところですが、将来的には熊野街道の宿場町を再現し、昔と同じ行程を約10日間かけて完歩するツアーを開催したいと考えています。

1千年以上の歴史を持つ熊野街道を現代に再現するためには、正確なエビデンスが必要です。ただ、熊野街道や熊野古道について調査した学術研究や文献は少なく、現状では今後のサービス開発の参考となりうる情報が不足しています。そこで、熊野古道についての知見を有する地元大学と協力することで、文化・宗教・芸能などの観点から熊野街道の実態を明らかにし、観光商品を開発することとなりました

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「熊野街道めし」開発、宿場町再現を目指して

プロジェクトチームは現在、中世巡礼者がどのような食事を食べたかや、どのような祭りが地域で行われていたのかを探るべく、調査を進めています。
第1回のフィールドワークは今年3月に、熊野街道の出発点だった窪津王子や四天王寺、住吉大社の界隈で2日間かけて実施しました。

〈1日目〉 「四つの王子と界隈」
王子    【窪津王子】【坂口王子】【郡戸王子】【上野王子】
主な訪問先 「大阪歴史博物館」「四天王寺」

〈2日目〉 「三つの王子と界隈」
王子    【阿倍野王子】【津守王子】【境王子】
主な訪問先  「住吉大社」「南宗寺」

フィールドワーク1

初日は窪津第一王子から上野王子に至る古道を調査しました。古道を歩くだけではなく、近辺の博物館や寺院など歴史的建造物に関するガイドを和歌山大学の先生にしていただきながら、地域の文化がどのように育まれてきたのか調査しました。2日目は、阿倍野から堺市まで王子周辺を中心に調査を進めました。実際に歩くことで、中世巡礼者の気持ちを追体験でき、文献などで得た知識以上の価値を得ることができました。

第2回目となるフィールドワークは、和歌山県湯浅町や日高町で今夏にも行う予定です。地域ごとの特色を踏まえて導き出された研究結果は、「熊野街道めし」などの商品開発や宿場町の再現に生かし、和歌山や大阪の地域振興につなげていきます。得られた情報は資料化し、次世代に伝承する予定です。

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観光学・地域研究・民俗学の観点から熊野古道に迫る

研究主幹は、和歌山大学 紀伊半島価値共創基幹 価値共創オフィスの小川雅則特任教授に務めていただいています。
当初大学に研究依頼が寄せられた際、「なぜ大阪の不動産会社が熊野街道にかかわっているのだろう」と不思議に思ったそうです。その後当社から事業内容を説明したところ、紀南だけでなく紀北も巻き込んだ観光振興のビジョンに全面的に賛同していただき、共同研究の実現へと繋がりました。
小川先生に本プロジェクトへの思いを尋ねたところ、以下のような答えが返ってきました。

和歌山大学には熊野古道を専門に研究している先生はいませんが、本プロジェクトには観光学や地域研究、民俗学など多様な分野の先生4名に集まっていただきました。色々な視点から歴史ある熊野街道を見ることで、魅力的なストーリーを持つ観光商品を最終的に開発できるのではないかと考えています。
国立大学の最大のミッションは、研究の成果を地域に還元し、地域の持続可能な発展に貢献すること。日本ユニストの事業内容を最初に聞いた際、まさにここに合致すると感じました。研究内容を地域発展へとうまく落とし込み、価値を生み出していきたいと思っています。

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おわりに

和歌山大学×日本ユニストの共同研究は、走り始めてからまだ半年ほどです。約150kmもの道のりをたどるのは決して簡単ではありませんが、産学双方の力を合わせて地域の魅力を発信できる観光商品を作り上げたいと思います。今後もフィールドワークの報告など研究活動の進捗をnoteで発信できればと思っているので、ぜひまた読んでいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!☺


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