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思いと数字を入れた経営指針書を全社員に毎年配布。創業58年の建設会社・てらすの組織づくりを聞いてみた

こんにちは、日本ユニスト広報室です。
普段からさまざまな企業とお付き合いしている当社ですが、各訪問先で学びとなる話を伺う機会が日々あります。そこでこの度、当社が力を入れている「不動産」「地方創生」「DX」の3つのテーマに関連する方々に、代表や社員があれやこれやを対談形式で伺う連載を始めることとなりました。

記念すべき第1回目は「不動産のプロに聞く」と題して、兵庫県宝塚市の建設会社・㈱てらすの寺本達也社長に、組織作りや後継者育成などについて日本ユニスト代表の今村がお話を伺いました。

㈱てらす 寺本達也社長

ゼネコン勤務を経て、2015年に㈱てらすの代表に就任。総合建築や不動産の売買仲介・賃貸管理、分譲住宅の企画販売などを幅広く手掛ける。1代目の叔父、2代目の父に続く3代目社長。創業は1964年。
不動産業・建設業などの甲南学園OB団体「甲南リアルターズ倶楽部」の会長も務める。

経営指針書に思いと数字を入れ込む

今村:寺本さんは3代目の社長だそうですが、入社した頃の会社はどんな状況だったんですか?

寺本:私は2002年に入社して、2015年に社長に就任しました。入社した時点ですでに創業40年ほどたっていたので、常連のお客さんもいて経営は安定しているんだろうと思っていたのですが、実際は必死で受注を取っている状況でした。中小は大手のように大量仕入れができないので、価格競争でどうしても劣ってしまうんです。そこで、まずは地元・宝塚との関係づくりに力を入れるようになりました。今も街の活性化が会社としてのライフワークになっています。

今村:創業年数が長いからと言って、すべてが出来上がっていたわけではなかったんですね。寺本さんに最初にお会いしたとき、毎年度ごとに作成して社員全員に配布している経営指針書を見せていただきましたよね細かい数字とともに思いも込めて作成されていて、感銘を受けました。

寺本:ありがとうございます。経営指針書では、以下のようなことを説明しています。

・新しい年度を迎えるにあたって社員に伝えたい思い
・中期、長期の経営計画
・前年度の振り返りや反省
・新年度の目標数値、人員計画
・新年度のチームごとの目標

自分の思いが強すぎることもあって、経営指針書をもとに全社員の前で説明する場を設けていたのですが、最初はなかなか社員さんに理解してもらえなませんでした。なので、思いだけでなく数字も資料に落とし込むようにしました。2011年に作り始めてから社員の意識は少しずつ変わったように感じていて、長期的に見れば組織作りに良い影響をもたらしたと思います。手間はかかりますし、すぐ利益に直結するようなことでもありませんが、社長になる前から取り組み始めてよかったです。

今村:経営指針書を作ろうと思ったきっかけは何かあったんですか?

寺本:きっかけは、兵庫県中小企業家同友会に入会し、「経営指針を成文化して、それを10年続けたら会社が良くなるよ」と聞いたことです。当時は離職率が高くて、今振り返ると自分は社員を思いやっているようで、自分の我を通してばかりだったんです。まだ社長に就任していなかった頃でしたし、会社をどう良くしたいのかもわからなかったけど、とにかく会社を良い方向へ持っていきたくて、作り始めました。最初は1人で突っ走っていたけど、資料作成も総務チームの力を借りるようになり、今は全社員で作成しています。

ただ、冊子を作ったからといって、それだけではうまくいくわけではなく、どうやって活用して考えを浸透させるかが大事だと思います。てらすの場合は、全社員が集まる場で、冊子を用いながら私の口から思いをしっかりと伝えるようにしています。

他社訪問と採用説明会には部下を帯同

寺本:日本ユニストは、取締役の山口さんや企画開発事業部の田中さんの存在が大きいのではないかと、社外から見ていて感じます。経営者を全面的にバックアップしてくれる信頼できる人がいれば、色々と物事を進めやすいのではないでしょうか。経営者は先を見据えすぎると失敗してしまうこともありますが、そんなときも助言してくれるような心強い存在なんだろうなと思います。

今村:そうですね、自分の協力者が組織内にいるだけで、組織の安定性は抜群に増すと思っています。ところで、会社として先を見据えたとき、経営者と社内とで温度差やギャップが生じるケースは往々にしてあるかと思いますが、その差はどうやって埋めていますか?

寺本:私は他社を訪問する際に、社員を連れて行くようにしています。そうすれば、少なからず自社を客観的に見れるようになって、視野が広がると思っているからです。もう1つは、採用説明会でに同席してもらうこと。求職者に向けて私自身が思いを訴えかける場なので、一緒に聞いてもらえればマインドが伝わると思っています。

今村:なるほど、外部の人を交えた場で思いを伝えているんですね。

経営者は現場から離れよ

寺本:経営者=スーパー営業マンという会社は多いけど、これは早い段階でやめた方がいいと私は常々思っています。社長はいずれ老いて実力がなくなってしまうから、属人的なままだと会社全体の業績が落ちてしまう。なので、独立されたらどうしようとか考えずに、営業チームに全面的に任せて会社を引っ張る形にするのが最適だと考えています。

今村:それは全く同意します!ただ、部下に任せきるのはとても勇気のいることなので、私の回りでもこれができている人は少ないです。現場を離れて経営に徹することは、先のことや起きもしないリスクのことを考えることが多くて、ともすると「社長って何もしてなくない?」と思われかねません。そうなると、結局下に任し切れない状態になってしまうこともしばしばあります。

寺本:営業から離れると、社長って暇になるなと私も最初は思ってましたが、今では社員も自立しているので、任し切れるようになりました。日本ユニストでは、組織をうまく回すための施策などは何か行っていますか?

今村:目標管理ツール「OKR」を活用して、経営理念や戦略を下に落としていっています。社長1人が旗を振ってもうまくいかないと思っているので、社内全体が一丸となって動ける仕組みを作るようにしていますね。
日本ユニストはもうじき、新たに会社の方針を決めないといけない時期に入っているのですが、何かアドバイスがあれば伺いたいです。

寺本:数字と思いどちらも等しく伝えることでしょうか。その両輪があってこそ、バランスを保ちながら前に進めると思っています。

社長と違う思考回路を持った人をNo.2に

今村:日本ユニストはかつて、営業マンが個人プレーを行うことが多く、チームとして利益を出すという意識も高くありませんでした。でも、「個人営業を脱し、チーム戦を行うこと」を掲げたら、徐々に組織としてうまく回るようになっていきました。最終的には、「社長がいなくても回る組織」を目指していきたいと思っています。

寺本:きっと、全面的に信頼できる取締役の存在が大きいんでしょうね。てらすでも、私に次ぐNo.2の人材を育成しているところなのですが、私のそっくりさんではなく、違う考えの人がいいと思っています。その上で私の思いを汲んでくれるなら、問題ありません。

今村:同じ脳みそではなく、違う思考回路を持っている人が近くにいると安心ですよね。色々とお話を伺ってきましたが、最後に、会社を経営する上で特段大事にされていることを教えてください。

寺本:まず一番は社員の幸せです。ここを疎かにしては何も成り立たないと思います。あとは地域貢献。地域のお役に立てば、次第に会社の居場所が確立されてきます。てらすは価格力も施工力も他社に負けない実力で、働いている人間は本当にピカイチです!

今村:そう言い切れるのは素晴らしいですね。当社にも通じるものがあって大いに共感しました。本日は対談してくださり、ありがとうございました!

おわりに

第1回目の「不動産のプロに聞く」、いかがでしたでしょうか?今後は不動産に限らず、日本ユニストが注力しているさまざまなテーマに精通している方々と、精力的に対談を行っていきたいと考えています。
次回の記事も近日中に公開予定ですので、ぜひお楽しみに!最後までお読みくださり、ありがとうございました✨

てらすさんにあった手のひらに座れる椅子✋


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