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「ヒトは何でアートしちゃうんか?」生死の狭間で絵を描くクロマニョン人になりきって考えてみた【極私的考察】

「セラピー」という言葉が、胡散臭く思われてしまう風潮。
もはや定着してしまっている感じ、ありますよね。

でもでも、めげずに。いってみよう!【極私的考察】シリーズ!

前回はコチラ→


第二回目は、「ヒトは何でアートしちゃうんか?」です!
今回も手に負えないデッカいテーマを、堂々とやってしまいます。言葉は自由。

なお、一般的な「アートセラピーとは何ぞや?」を知りたい方は、
wikipediaがなかなか充実しているので、入り口としてはオススメ。定義や歴史の詳しくはそちらにお任せするとして。

目次
1. アートセラピーを知った日
2. サバイバルな毎日に、絵を描いていたクロマニョン人
3. 生き延びるため、アートこそが必要

1. アートセラピーを知った日

アートセラピーという言葉は、二つに分かれます。
「アート」「セラピー」

それぞれ良く知っている単語だけど、二つを繋げると、
「アートでセラピー??」うん、分かるような。分からないような。
私が初めて知った時は、そんな感想でした。


本屋でパッと目に入ってきた表紙に「アートセラピー」の文字。
(何だそれ?分からない、でも惹かれる。)
直感でその本を買って、夢中で読みました。

…その美大生の頃、昼も、夜も、絵が描きたかった。

食事や、おしゃれや、バイトや、デートよりも(彼氏ごめん)、
絵を描きたくて仕方が無かった。無性に。

そんな日々の中で、私の中にある疑問が湧いてきました。
「なぜ私は、絵を描かずにいられないのか?」

でも、私だけじゃない、見渡せば周りにそんな美大生がわんさか居て。
アートというジャンルが世の中にはあって。アーティストなる職業もある。

ちまちまと日本画を描いているだけの一学生には、大きすぎる問いでした。
「ヒトにとって、表現するって何だ?アートって何だ??」

2. サバイバルな毎日に、絵を描いていたクロマニョン人

いや、待てよ。そもそも。
人類は言葉を持つ以前から現在まで、表現を続けてきた。
世界各地、どの文明でも、絶えずに。

例えば、ラスコーの洞窟画。
15,000年前、旧石器時代後期のクロマニョン人が描いた絵。

野生には多くの危険が待ち構え、生き延びるのも困難な毎日。
その日々のさなかに、真っ暗な洞窟の天井へ、小さな灯を頼りにして土や樹液で作った顔料で描く。

…ちょっと、待って?
それってサバイバルで必死な時に、画材を手作りしてまでやること?!

アート表現しても、
・おなかは満たされない
・獲物もとれない
・お金にもならない
・モテる訳でもない

では、
何がアート表現へと彼らを駆り立てたのか?


3. 生き延びるため、アートこそが必要

その答えを探し求めていた時に、私に答えをくれたのが「アートセラピー」でした。

例えば。
・表現する中で、人は自分で自分を癒すプロセスを持つことができる。
・アートを無意識の世界の表象として、自分自身のより深い部分と対話することができる。
・もう一人の自己としてのアートを媒介にして、他者とのより開かれた関係性を築くことができる。

…これがアートセラピーの力。


クロマニョン人の気持ちになりきって考えてみると、

常に生きるか死ぬかのストレスの中、岩壁にゴリゴリと木の枝で顔料を擦り付ける感触や、線や形を残す行為が「はー、この時だけは命の危険とか忘れて没頭できるわー」というような、発散やリフレッシュになっていたかもしれません。

はたまた「今日は狩がうまくいかなかったけど、明日こそはこんな大きなヌーを仕留めてみせるぜ!」と、岩壁に理想のヌーを描いては、イメトレしていたのかもしれません。

さらには、岩壁に残った線を見ながら「へーお前ってこんな世界の持ち主なわけね」「へへ、せやねん、意外と繊細よ俺」なんて、仲間とともに言語が無い中でも、互いを知るような交流をしていたかもしれません。


そんな妄想を膨らませていたら、洞窟画を描いていた彼らも、
サバイバルの毎日を生き延びるため、アートこそが必要だったのではないかと思いました。

そして、私も。生き延びたかった。
「自分で自分を癒していたんだ」と気づけた瞬間でした。


この気づきは、ものすごいアハ体験でした。
腑に落ち感が衝撃的で、その後、アートセラピーを専門的に学ぶきっかけにもなりました。


「アートで”セラピー”」

ヒトに、アートに、生き延びていくための力がある。
こんなにも素晴らしい力があることが教科書に載ってないなんて。もったいない!


なお、これは極私的考察の一つのアイデアとして書いた記事ですので、色々ツッコミどころあるかと思いますが、ご了承くださいませ。
この切り口以外にも様々な角度から「ヒトは何でアートしちゃうんか?」が語れるはずだし、お一人ずつ聞いてみたいくらい、めっちゃ面白いテーマだと思います。

(この文章は、私の過去のアメブロ記事を加筆修正したものです。こちら→
https://ameblo.jp/arts-therapy/entry-11995398985.html)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーで。最後に、愚痴言っていいですか…(長文、読み飛ばしていいヤツです)

海外では、大学や大学院でアートセラピーを専門に学べるカリキュラムがあります。その学びを修めると、国家資格「アートセラピスト」を取得する事もできます。そうして帰国した方でも、日本では、なかなか就職口ないんですよ(私は日本にいながらカナダの資格を取れるプログラムに在学中で、かなりラッキーなタイミングだったと思います)。日本は、心理関係の職に対する認知度と信頼度が異常に低い。政府が線引きや資格制定してない事情も大きく作用しているかと。やっとこさ2018年9月に公認心理師が国家資格になったけども、それでもポストの確保がないと。そもそも就職口がない=食べていけませんやん。現状、複数の心理関連の資格取得して、幾つもの施設や学校を掛け持ちして、何とか暮らしていける収入なんですよ。それも家族養えるレベルじゃないです。共働き必須レベルです。これじゃ、優秀なスポーツ選手が海外へ行ってしまうパターンになってしまいますよ。大学、大学院レベルで学ぶアートセラピーって、マジで勉強量すごいですからね、キャンパスでの履修以外に実習時間1000時間越えですよ。それを母国語以外でやり遂げてきた方達に、日本で活躍して頂きたいではないですか。そんな優秀な人材を、みすみす埋もれさせてしまうなんて、どげんかせんといかんですよ(終わり)



ありがとうございます。サポートは、日本画の心理的効果の研究に使わせていただきます。自然物由来の日本画材と、精神道の性質を備える日本画法。これらが融合した日本画はアートセラピーとなり得る、と言う仮説検証の為の研究です(まじめ)。