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ヘイトとナショナリズム

ヘイトが止まらない。

    正確には“極右政党”に過ぎない自民党や維新の議員や候補者では、もはやヘイト発言をするのは当たり前だが、曲がりなりにも立憲民主党から立候補しようとしたのだから、この候補者も所謂、リベラル的考えを持っていた筈。それでもヘイト発言を平気でしてしまうのだから、問題は根深い。

    考えてみれば、徴用工裁判の問題はまだしも、自衛隊機へのレーザー照射問題に至っては、マスコミは勿論、リベラルも野党もほぼ例外なく、韓国側の言い分を一切認めずに韓国を非難していた。それも両者の言い分を正確に分析して判断するのではなく、“韓国は嘘つきだ!”で一蹴してしまうのだから、これもヘイトの一種と言ってもいいのかも知れない。

   そもそも「善隣友好」とはいうものの、どの国も近隣諸国とは仲が悪いのが当たり前。国境を接していれば必ず領土問題は起きるし、歴史を辿れば戦争をしたことがあるのも普通。国民同士も好感よりもライバル意識や嫌悪感を持つことも少なくない…とはいえ、そういった「好き嫌い」と「差別」や「ヘイト」は全く別の問題。

    そう、差別やヘイトの根底にあるのは、単なる好き嫌いでなく「レイシズム」…相手をただ嫌悪するだけではなく、相手よりも自らが優っているという優越感から蔑んだり、蔑むことで優越感を持ちたいという意識だからだ。そういう意味では、マスコミが日々、垂れ流す“日本スゴイ!”と「レイシズム」は表裏一体ということだし、それこそ日本の「ナショナリズム」は中国や韓国に対する差別とヘイトによって裏打ちされていると考えていいのかもだ。

   「富国強兵」や「文明開化」といったスローガンと一緒に明治維新政府が掲げた目標が「脱亜入欧」であったように、“アジアは西洋より劣っているので日本は西洋を目指す。そして、それをアジアの中で日本だけが成し遂げた”…これこそが今にまで続く日本の「ナショナリズム」、“日本スゴイ!”に繋がる日本の誇りの正体と言ってもいいだろう。

     『魯・墨(ロシア・アメリカ)講和一定、決然として我より是を破り、信を夷てきに失うべからず。ただし章呈(法規)を厳にして、真偽を厚うし、 其の間を以って国力を養い、取り易き朝鮮、満州、支那を切り随え、 交易にて魯・墨に失うところは又土地に満鮮にて補うべし』                       吉田松陰「獄是帳」

   twitterでも紹介したが、これは松下村塾で“維新の英傑”を育てた吉田松陰の書いた一文で、“欧米は自分たちより優るから従属して、その間に国力を養い、欧米に盗られた分を自分たちより劣る中国や朝鮮、満州から取り戻そう”という内容。正にこの吉田松陰の考えがそのまま明治維新政府、それこそあの敗戦まで続く大日本帝国の政策になっていったのだ。

   この吉田松陰に代表されるようなアジアに対するレイシズムと白人コンプレックスが入り混じった「ナショナリズム」が、明治維新から続くこの国の「ナショナリズム」だし、何も考えずに“日本スゴイ!”などと言って浮かれ、この悪しき「ナショナリズム」を意識しないでいると、中国や韓国に対する「差別」や「ヘイト」が必然的に浮かんでくるのが、この国の姿なのかもだ。

(因みに、この吉田松陰は幼い頃から日本を神の国であると教え込まれていて、水戸学を学んだり、国家神道や皇国史観の原型に近い考えを持った人物なのだが、この辺りのことはこちらにも書いたので宜しければ、ご一読を)

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