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【イベントレポート🍆第2弾】~日本の農業でグローバルに戦う3社に聞く~世界から見た日本の農業のポテンシャルとは

こんにちは。日本農業の人事の國澤です。
さて、今回も前回に続いてオイシックス×あさい農園×日本農業によるオンラインイベントのレポート第2弾🍆となります!

第2弾は、
日本の農業が“生業”から“ビジネス”に変わる上で、改善しなければならないこととして内藤が挙げた生産性の向上、スケールの担保の2点を踏まえたうえで、参加者全員でのパネルディスカッションの様子からお届けします!

「流通の観点から“ノーロジック&パッション”で」―高橋氏


木村氏より、自己紹介を促されたお二人のうち、まず高橋氏から、「もともとは(外務省で)安全保障に関わる仕事に就いていましたが、外からの脅威よりも日本の経済、特に農村の疲弊にほうが日本にとってより差し迫った脅威なのではないかと危機感を抱き、地方経済の中でも一次産業の中で何か貢献できないかと考え始めて転職をしました。自分で農業×海外で起業をしようと思い、そのための修行としてコンサルティング会社に入り、3年経ったところそろそろ時期が来たかな、と思ったところで2011年3月11日の東日本大震災が起きました。震災をきっかけに東北に入り、『東の食の会』を立ち上げ、さらに農業×海外も同時に行うべくオイシックスの海外担当の代表になり、香港と上海の事業を立ち上げました。こうして東北に食産業という接点から関わりを持ったのですが、東北そのものと東北の食の“好き”が高じて福島県の浪江町に2年前に移住しました。今ニュースにもなっている処理水が放出されている付近の請戸漁港に水揚げされる美味しい魚や、東北の美味しい野菜を食べながら、オイシックス・ラ・大地のGlobal Executive Officerっていう仕事とアメリカのビーガンのミールキットの会社の経営をやりながら東北の食をブランドとして世界に発信しています。私自身は農業はやっていないので、流通の観点から、ノーロジック&パッションだけで今日は話していきたいと思っています」と、最後は熱い気持ちで締めくくっていただきました。

「研究開発型の農業カンパニーを目指す浅井農園」-浅井氏

そして次に浅井氏からは、「私は農業法人の社長として今日は参加しています。浅井農園をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ここでは『研究開発型の農業カンパニー』を目指しています。正面から話すと少し恥ずかしいのですが、やはり農業は生産だけをしていればいいという時代はもう終わったと思っています。農家の人の中にも大学を卒業して就農した優秀な人材がたくさんいます。私自身は農家の五代目に生まれたこともあり、農業の仕事に就いていますが、やはり自分たち農家の固定概念や壁を越えていきたいと考えています。その中で、日本農業の内藤君のような新星が現れたことをきっかけに、そろそろ次の世代に何か貢献していかなければならないと思い、大学の非常勤講師をしたり、国際農業奨学金制度のナフィールドミングスカラーシップのネットワークにジョインしてもらうようにサポートしたり、様々な活動をしています。私も、ノーロジック&パッション、そして『現場』から、色々と話をしていきたいと思っています」と、農業の現場ならではの発信が期待できる自己紹介をいただきました。

木村氏からの「研究開発型として、言っていただける範囲で今行っている実験など紹介いただけますか?」という質問に対しては、時折関西弁を交えながら「ほんまはめっちゃ言いたいんですけど、今特許出願中なので言えないんですわ。ただ、世界初の技術開発を生産者自身が生み出していくというところに価値があると思いながら取り組んでいます。浅井農園で作っているトマトも、ベースの技術はオランダのものですが、日本の良い技術をインテグレーションしながら得られたものがいつの間にか世界初の技術として世界に貢献できるようなレベルまでたどり着くのに、真剣に15年かけてきました」と、具体的な話はできないけれども、と添えつつ答えていただきました。

「事業を作ることは簡単ではない。でも作りたい事業は色々ある」-木村氏

全員の自己紹介が終わったところで木村氏から、どのようにして日本の農業が今後グローバルを見据えながらビジネスを作っていけば良いのか、という話をメインとして、まずは『皆さんにとって“農業”とは?』という点について各登壇者に投げかけました。
木村氏自身は、数千億円が動くような企業のM&Aとは全く異なる経済感覚が農業にはあり、作る喜びもさることながら、いただく(食べる)喜びも金融ビジネスとの価値観と全く異なる。その点に魅力を感じており、新規事業も多く浮かぶが、失敗も重ねている。事業は簡単ではないが、「やりたい」と思う事業が多数あるのは農業である、と農業の魅力について真っ先に語りました。

「食や農業・漁場に関わることに『矛盾』がない」-高橋氏

高橋氏にとっての「農業」は、「もともと自分自身のルーツが岩手、田舎のほうなので、農村・山村の疲弊みたいなもの、それらが廃れていっているのを見ることが情緒的につらかったという点が挙げられます」と情緒面について語り、さらに「それでもずっとこの産業に関わり続けているのは、シンプルに『矛盾がない』ということが大きくあります。自分自身が農業や漁業、食というものに関わっていく、それらを生業として生きているという点について『これって本当に大事なのかな』と疑問を感じることが無くいられるということはすごく大きいと思っています」と、自身が一次産業に関わることを“矛盾がない”と表現されました。

さらに、「ミクロ的にもマクロ的にも自分個人というものにとって、農業が、漁業が、食文化が、というものが大事であることについて疑念が全く無く、日本全体・社会全体に対しても絶対に重要なことである点において一縷の疑念も抱いていないことはすごく大きい」とし、「それは私のパッションではありますが、ある研究でも、農業あるいは農業や食に関わることに携わっていると幸福度が上がるというデータが出ていて、それは自分自身の体感とシンクロする部分があります。もちろん仕事なので大変なこともありますが、疑念を持ってしまうと続けることが難しくなることもあると思うのですが、その疑念がないということで大変な時でも続けられると思っています」と、“パッション”を持って熱く説明されました。

「アメリカの農業に触れて実家とのギャップに憧れと危機感を抱いた」-浅井氏

浅井氏にとっての「農業」はやはり現場で生きる方からの想いでした。
「農家に生まれて、農業というものが当たり前にある中で、自分自身の場合、高校生のときは父親の仕事が農業であることを誇らしくは言えなかった」と、ちょっとした暴露とともに、「でも、19才の夏に初めてアメリカの農業法人でインターンシップをしたときに、ビジネスとしての農業に触れて、自分の家の『家族の農業』とのギャップに憧れと危機感を抱きました」と留学を経ての心境の変化を述懐し、「そこから、自分の実家の農業もビジネスの農業としてカッコよくしたい、たくさんの仲間と一緒に働きたい、そう一念発起したことが私自身の『農業』の原点です」と話されました。
また、日本の農業を「今がチャンス」と発言。
「世界の人口は増えているのに、日本だけではなく世界中の農家が減少していて、一人の農業者・一農業経営体が負う社会的な責任が非常に大きい。そして、エッセンシャルな仕事である。その点について、自分たちなりのアプローチで付加価値を高めて産業化したい、それが私の農業観です」と、現場の方ならではの観点を伺うことができました。

「やりたい新規事業が次々と出てくることが農業の魅力」-内藤

「共感するところがあると思いますが内藤さんは?」と木村氏から内藤に振られると、「似ている部分は多いですが、農業を始めた理由と、楽しく毎日7年間続けている理由は少し異なります」とし、「農業を始めた理由はすごく感覚的なところにあります。畑に行くと気持ち良いなぁ、とか、日本の地域には様々な祭りがあったり、色々な食べ物があったりして良いなぁ、とか。あとは大学生のときにブラジルに行ったときは1万ヘクタールを全部俺がやってるんだぜ、と言っていたあいつはカッコよかったなぁとか。農業ってなんか良いな、というのが始めた理由で、今でもよくやっぱり面白いなという感覚になります」と述べました。継続理由については、「農業は新規事業に困らないという点」とし、他の業界では競合が多いですが、農業は競合という考え方よりは「みんなで一緒に解決していく」機会が多く、その改善する余地も多いため次々と新規事業が思い浮かぶ、と農業の魅力を語りました。

「2週間ずっとセロリの脇芽をもぎ続けたことは今でも夢に出る」-木村氏

全員がストレートな想いを語ったところで、木村氏が「農業で大変だったこと」を質問。木村氏自身は「長野で農業をやっていたとき、セロリの漬物が美味しかったので、セロリを1反分植えました。事前に漬物屋に売り込みに行ったところ、『ある程度の大きさであれば買うよ』と言われ、7,000株ほど育てました。ところが、セロリのあの白くて太い茎が育たない。いつまでたっても脇芽が出てくる。調べると、脇芽をもぐと栄養が中心に集中して太く育つとあったので、2週間ずっと脇芽をもいでいました。今でも夢に出てきます」と、笑いながら話しました。

「『肉加工品』の内容を言語化し、輸出成功に導いた」-高橋氏

少し笑いをまじえたところで、高橋氏にもと木村氏が振ると、「私は農業事態はやっていないのですが、流通もけっこう大変なことがあります」と、自身の経験を振り返りながら、「特に輸出で国境を越えるということは本当に頭が痛いことが多くあり、例えば香港。香港は自由貿易なのでほぼ規制が無いのですが、肉加工品は良いけれど肉は動物検疫が必要となったときに、どこからが『肉加工品』なのかが言語で規定しづらい。それまで、必要以上に禁止されていた肉加工品を、規制当局と戦って変えていき、現在は輸出できるようになりました」と流通の視点から大変だったことを語ってくださいました。

「農地がどうあるべきか、自身の重要なテーマ」-浅井氏
「消費者にとって何が良いのか、本質的に考えながら誤解や既成概念と向き合う」-内藤

次に浅井氏からは、「10年くらい前に大きな挑戦をしました。20ヘクタールの園芸団地を4人の仲間と一緒に作ろうとしたのですが、地権者をまとめることができずに5,300万円を無駄にしてしまいました。そういった、農地がどのようにあるべきか、ということが私自身のとても重要なテーマです」といった農地の在り方に対する考えが、そして内藤からは、タイにおけるリンゴ販売の事例とともに人々の誤解や既成概念について次のように説明をしました。
「最初、タイに向けてリンゴの売り先が決まったのですが、日本では需要が高いはずの蜜入りリンゴが検品で切られてしまったことがありました。タイの消費者やバイヤーの概念の違いで、日本の蜜入りリンゴがタイなどの東南アジアでは日持ちがしない『ウォーターコア』と呼ばれる欠陥品として扱われてしまいました。
ただ、そのあと試食をしてもらい、時期的に日持ちも問題ない、といったコミュニケーションをとることで、『ウォーターコア』を『ハニーコア』として小売店などを説得したところ、ちょっとした人気商品になりましたね。
こうした誤解や既成概念が国や農家ごとにあるので、何が消費者にとって良いのかを本質的に考えながら愚直に話し合ったり、工夫したりすることが大事だと思います。実際に農地を扱ったり工場運営をしたりするとこのようなことは日常茶飯事なので、一つずつ丁寧に行っていくことは大変ですが、面白いところだと常々感じています」。


長くなってしまいましたが、第2弾🍆のレポートでした!
個人的には内藤の発言にもあった、”農業は競合という考え方よりは「みんなで一緒に解決していく」”という発言がとても刺さりました。🤔
競合が出てきたら生き残るために戦う、というほかの産業では当たり前に起こることが、農業だとむしろ「一緒に社会課題に向き合って」「一緒に社会課題を解決」していく大事な仲間となる、ということですね😤

さて、次回の第3弾で終わりにはなりますが、今回の最大のテーマである「日本の農業のポテンシャル」について、3人が語ります!
次回もお楽しみに☺

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