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【イベントレポート🍎第1弾】~日本の農業でグローバルに戦う3社に聞く~世界から見た日本の農業のポテンシャルとは

こんにちは。日本農業の人事の國澤です。
今回は先日行いましたオンラインイベントのレポートをお送りいたします📣全3回を予定しており、今回は第1弾🍎です!

突然ですが、
皆さんは、日本の『農業』にどのようなイメージを持たれているでしょうか?

各地に広がる田園風景の季節ごとの景色や、社会科で習った二期作や二毛作といったワードを思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、日本の農業が抱えている課題、例えば農業就業人口が2010年から2019年の間に92万人も減少している点や、農地面積もピーク時の1961年と比較すると169万ヘクタール減少している(2021年時)点についてご存知の方も少なくないかもしれません※。
※農業就業人口…農林水産省「農業センサス」「農業構造動態調査」より
 農地面積…農林水産省調べ

先述した課題だけに目を向けると、衰退の一途とたどっているかのように思えるかもしれませんが、一方で日本の農作物のクオリティは海外でも高く評価されており、その輸出額は右肩上がりで伸長。
2022年の農産物の輸出額は8,870憶円、アメリカを除くとその多くは中国や台湾、ベトナム、韓国、シンガポール、タイなどアジア諸国が占めています※。
※2023年2月3日農林水産省「『2022年の農林水産物・食品の輸出実績』について」より

では一体、日本の農業は世界に向けて、どのようなポテンシャルを秘めているのでしょうか?
そして、そのポテンシャルを最大限に発揮するにはどうしたら良いのでしょうか?

先日、この「日本の農業のポテンシャル」に着目し、流通のプロフェッショナル・オイシックス・ラ・大地のGlobal Executive Officer 高橋大就氏と、生産のプロフェッショナル・あさい農園 代表取締役CEO 浅井雄一郎氏、そして日本農業 代表取締役CEO 内藤祥平の3名によるトークイベントを開催しました。
モデレータを務めていただいたのは、コンサルティング会社で10年近くあらゆる業界のクライアント企業の価値向上を追求し、その後、子供のころからの夢であった農業の道を選択した木村 敏晴氏。
イベントには100名以上の方から申し込みをいただき、非常に盛況な会となりました。今回はその内容をご紹介いたします。

はじめに、木村氏から自己紹介とともに各登壇者とのつながりについて説明いただきました。
先述の通り、木村氏はコンサルティング会社で10年勤務した後、30代になってから子どもの頃から好きだった農業の仕事に就きたいと考え、農業法人に転職。その後、やはり自身で立ち上げたいと考え長野県の軽井沢の近くでにんにくなどさまざまな野菜を生産し、卸していました。日々の活動の中で農家同士のつながりができ、国内だけではなく海外進出にチャレンジすることに。中国で多様な野菜を生産したり、インドネシアで米を生産したりといった活動に取り組まれ、さらに一兆円規模のメーカーと農業の自動化に関する新規事業などにも携われています。

今回登壇した3名の中でも、高橋氏とは中国で野菜を生産していた際にオイシックスShanghaiとの連携を図る中で知り合い、また浅井氏とは農業の自動化の新規事業を推進する中で知り合いました。内藤とは、長野のリンゴをフィリピンに輸出する際にご縁があり、今日に至っています。

木村氏はこの日がモデレータ初挑戦にも関わらず、スムーズな進行で3名の登壇者からは“オフレコ”な話までたっぷり引き出してくださいました。

大きく異なる日本とアメリカの農業への考え方-“生業”と“ビジネス”-


まずはアイスブレイクとして「日本と海外(特にアメリカ)の農業の違い」について、木村氏から内藤に質問が向けられました。
内藤は、日本の農業について「良し悪しは別として、日本は農業を『生業(なりわい)』と捉え、家族経営で品質にもこだわり、その土地に根差して就農しているケースが多数」とし、海外の農業については「一方で特にアメリカは完全にビジネスとして農業が確立されています。私自身、大学生の時にアメリカの大学の農学部に留学していたのですが、その授業では当たり前のようにM&Aについて学びます。ケーススタディも豊富に知識として身に着けることができますので、ビジネスとしては優れています。資金面でもファンドなど大銀行が農業法人に数億から数十億の資金を投資しますので、やはり規模が大きく違います。大規模な農業法人が果たす役割も、生産だけではなく販売や選果、あるいはブランドを持つといった幅広いビジネスを展開し、その結果人材も豊富に集まります。ただ、実際にアメリカの野菜や果物を食べると、そこまで美味しくはないですね」と、日本との大きく異なる点について言及しました。
これに対し木村氏も、「カリフォルニアのトマト畑では何百ヘクタールもの農地で、硬いままのトマトをそのままトラックに積んで、おそらく半数は廃棄になっているのではと思われる状態を見たことがあります。本当に規模やノリが違う。日本は葉や花を取るなど、色々と手間と時間をかける。どちらも良し悪しはあります」と返答。そのうえで、「日本もビジネスとして確立することができるのか?」と、日本の農業は家族や家という単位でのビジネスで捉えられがちなところを、どのようにすればアメリカのような大規模なビジネスにすることができるかを問いかけました。

日本の農業がビジネスとして大成するための課題とは

「良し悪しではないと言ったものの」と置きながら内藤からは、「今の生業としての農業は結果的にあまり良い状態ではないのではないかと考えます」と発言。「生業としての農業は産業として機能していないので、その結果、耕作放棄地が多く生まれています。また、人材の問題もあります。若くして農業に入る人もいますが、非常に限定的で、この状態が続くと日本の農業は変わらなければならないと考えています」と日本の農業の課題について述べる一方で、「すでにビジネス的な農業に日本はなり始めています」とし、「その中で最大のポテンシャルは、やはり品質。これは小規模の農家の方々が品質を追い求めて研究開発を行ってきた成果です。品種から作型、様々な技術がセットとなり整えられている点は非常に良いところと言えます」と答えました。これに加え、輸出におけるアジア地域へのアクセスの利便さも利点として挙げた上で、日本の農業はビジネス的な要素を取り入れることはおおいに可能だと考える、と話しました。

日本の改善点は「生産性の向上」と「スケールの担保」


さらに内藤は、日本の農業が“生業”から“ビジネス”に変わる上で必要な点について、「そのために日本が改善しなければならないことが大きく2点あります」と、以下のように整理しました。
1.生産性の向上
現在の日本の農業は、世界中の生産性が高くて効率的な農業と品質や価格で戦うことになります。たとえ高い品質があろうとも、ある程度の価格優位性や物量の安定性は必要です。そのために、生産性を向上していかなければなりません。
2.スケールの担保
農地面積や生産性の向上、流通を良くするという点に加えて、小規模の農家が世界のマーケットで戦うには限界があるため、スケールを確保する必要があります。当然、資金を集めたり、優秀な人材を確保したりすることも必要です。
何より、日本でもある程度農地を集約化することは可能なので、そのような要素を組み合わせることが日本の強みとなり、やりがいがありきちんと儲けることもできる、ビジネス的な農業に変容していくことは大いに可能。


第1弾🍎のレポートはここまでです!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

「アメリカの農学部の学生って意識高いな~」って最初思っていたのですが、そうではなくて日本では農業はビジネスとしてまだまだ捉えられていなくて(特に学生とか)、仕事として熱量かけるものとして見られてないんですね‥
本気で”日本の農業の構造改革”に向き合っているニチノウメンバーとして、人事という立場ではありますが、愚直に向き合い続けたいと強く思いました😤‼️

さて、次回の第2弾では上記の改善点を踏まえた参加者全員でのパネルディスカッションの様子からお送りします!📣


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