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新作『〇(ボール)』解説

今回、自主制作アニメ『〇(ボール)』について解説します。

1.制作した経緯

キッカケは”# Hashtag Animation Fes 2024 ”に参加することでした。
自分なりの作品を多く人に見せる場所として出たい意欲があり、以前からも参加していました。今回も参加宣言をして今年に入って制作を取り組みました。

去年末はAA動画祭2023やモーション年賀状での制作・公開をしていました。なので、本格的に始めたのは開催1週間前でした。

2.手法変更

今回、”# Hashtag Animation Fes”で参加するのは3回目となります。過去2回はロトスコープによる手描きアニメで参加しました。『coffee break』や『Letter』は実際に撮影して、撮影した映像を数十枚の画像に変換して作画した手法でした。自分から見た主観視点によるシーンを多く使用していました。3回目もロトスコープをしますが、同じやり方をするのはネタやアイデアに限界がありました。また、撮影するパターンや演出に限りを感じました。そこで今回は自ら撮影することがなく、無料素材からワンシーンをロトスコープで作画してアニメにするスタイルに変更しました。また、自分のイメージで描きやすいエフェクトアニメを取り入れました。

3.こだわった点

今回は前半と後半で雰囲気がガラッと変わっているので、それぞれに解説したいと思います。

(前半のシーン)

前半は飛び跳ねるボールをシーンです。前述で書いていましたが、エフェクトアニメを描きました。水滴等を自分が描いてみたいイメージで作画して、後半のシーンに繋げやすいのはどれか考えた結果、飛び跳ねるボールにしました。作画時はサイズを1080×1080の正方形にして30fpsの約1秒のエフェクトアニメを作りました。バウンドしている様子を見せるため、正方形のエフェクトアニメをサイズ変更したり、開始時との重なりを調節したことで2枚、4枚で一つの動作になるようにしました。後半のシーンへ繋げた後、起承転結の起がなかったので、追加で〇(ボール)が出現するシーンを作画しました。付け加えたことでリレー形式のような流れに繋がりました。

(後半のシーン)

後半はモーショングラフィックス(MG)のイメージからストーリー系の手描きアニメに変化します。流れとしてはボールを蹴って、キーパーが止められず転倒し、シュートが決まって喜んでいる様子を描きました。
今回はAdobe Stockの無料素材から動画をピックアップして、Photoshopで作画しやすいようサイズ・fpsを調節してエンコードしました。
エンコードしたトレース元の素材動画はPhotoshopに読み込み、1秒あたり15枚で作画しました。以前は輪郭線をハッキリとさせた絵タッチでしたが、今回は粗めでザックリとした描写にしたいので塗りつぶした絵タッチとなります(前のやり方は時間がかかりすぎるので楽にしたい点もあります)。

無料素材の動画を参考に作画した素材のワンカット

作画した素材はAfterEffectsで読み込み、映像に変換しました。本来なら作画の素材を加工せず、全体的付け加える仕上げ作業となります。
ただ、今回は作画のタッチがあっさりしていたので、エフェクトで一工夫しました。

まず、AfterEffectsのエフェクトである『ラフエッジ』を使って輪郭を崩してみました。

AfterEffectsの『ラフエッジ』を加えた作画カット

軟らかみが増して、動作を加えたことで滑りが増したように見えました。
背景として平面レイヤーをつけて、『塗り』・『色かぶり補正』などで配色を変えました。

配色をした状態のカットシーン

Adobe stockから紙質のある画像を取り込み、描画モードや不透明度の変更しながら、配色のRGB設定を調節して、雰囲気に合わせました。

紙質のある画像を取り込ませたカットシーン

プリコンポーズを何度も行い、最後に調整レイヤーでハイライトなどを調節しました。この状態だとイマイチだったので、エフェクトの『反転』で配色を入れ替えました。そうしたらしっくりしました。

完成したカットシーン。しっくりしました。

4.気をつけた点

配色バランスや人物の大きさに気をつけました。
特に人物の大きさは元の素材動画のサイズにズレがあり、今回は3種類を使用しました。シュートしている動画、キーパーが転倒する動画、踊っている動画、それぞれ人物の大きさが異なりました。なので、違和感を減らすよう微調整しました。また、前述で描かれている作画でのアニメサイズは正方形なので、画面途切れがないように画面配置も調節しました。

5.タイトルの意図

タイトルは完成間近まで考えていました。『Ball』と言った英語表記にしましたが、絵だけで印象を残したかったので止めました。BGMととの同期でラスト1秒にタイトルを入れることになりました。そんな中で『〇』から跳びはねて始めて、ボールとなって蹴られる流れで『』と言うタイトルに固めました。ただ、英語圏では『〇』は使わないようでした。分かりづらい点があったので呼び方を「ボール」として付け加えました。
結果として、全体的なイメージが浮かびやすくなりました。

最後に

以上で解説終えます。今回も完全新作での参加となりました。
# Hashtag Animation Fes 2024 は現在開催中です。

参加期間は2月14日までです。2022年1月1日以降に完成した作品かつ15秒以上15分以内の作品なら参加可能です(前回、前々回に参加した作品はNG)。

開催されて1週間が経過しました。例年より開催の遅れが影響しているのか作品数が少ないです。締切が近づくと多くの人が参加してくるので、それに期待をかけます。
有志となりますが、現時点(1月21日12時)で参加されている作品をtogetterでリストしました。

作品が増えてきたら更新したいと考えています。

では、今後イベントが盛り上がる事を楽しみにしています!

オマケ

『◯(ボール)』のワンシーンを別にアレンジしてループアニメーションにしていました。
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