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書籍「どうする?デザイン/ingectar-e著」の制作をお手伝いした話

はじめに

みなさん、こんにちは!

アートディレクターでデザイナーの上司ニシグチです。

複数の企業で紙もの媒体を中心としたデザインやプロモーションまわりのお手伝いをしております。

上司がいないクリエイター向けのオンラインコミュニティー「ONLINE上司」も主宰しています。

おかげさまで、幅広くお仕事をさせていただいているものの、なかなかオープンに公開できるお仕事がなかったりするのですが、今回は胸を張って公開することができるお仕事をさせていただいたので、はりきってnoteを書くことにしました!

クリエイター(デザイナー)のみなさんなら、誰もが1冊は持っているであろうingectar-eさんのデザイン書籍。

「あるあるデザイン」「ほんとに、フォント。」「けっきょく、よはく。」「あたらしい、あしらい。」「3色だけでセンスのいい色」など…出版されるデザイン書籍が、ほとんどベストセラーになっています。

そんなingectar-eさんの新刊「どうする?デザイン」が、ちょうど1週間前(1月18日)に発売されました。

・題 名:どうする?デザイン
・著 者:ingectar-e
・出版社:翔泳社
・形 式:書籍
・発売日:2021年01月18日
・定 価:本体2,000円+税
・仕 様:A5・256ページ

「あれ、違ってた?」とならないために

「おしゃれに」「可愛く」「かっこよく」「シンプルに」など、デザインのクライアントからよく要望される言葉ですが、これらは漠然としていて、受け止め方は人によってさまざまです。あとからズレに気付いて、「あれ、違ってた」ということもよくあります。

本書は、そんなトラブルにそなえて、クライアントとどんな言葉のやり取りをすれば、的確に、効率的にデザインを決めていくことができるかを、架空の事例をもとに解説します。

ヒアリングから、ラフ、提案、修正、校了まで、クライアントとデザイナーの会話をベースに、実戦形式で解説していくので、コミュニケーションでつまづくことが多い方にもわかりやすく理解できます。

本書を活用すれば、デザイナーは「やり直し」がなくなるだけでなく、さまざまな要望に的確に応えられるようになるはずです。

翔泳社のHPより引用

実は、こちら「どうする?デザイン」の書籍のディレクションと、デザインの一部をお手伝いさせていただいたのでした。

私は、ingectar-eさんが手掛けた書籍を以前から購入していたので存在を知っていたのですが、まさか一緒に本を作らせていただける日がやってくるとは、思ってもみませんでした。

一部の店舗では、1/8(金)より先行販売されていたのですが、事前にたくさんの方が反応をしてくださっていたので、作り手としては見ていてとても嬉しかったです!(先行販売限定で、ingectar-eさんのオリジナルポストカードが付いていました)

こちらの「どうする?デザイン」は、コロナウイルス真っ只中の昨年(2020年)6月から、約半年の時間をかけて制作をさせていただきまました。

制作をしていく中で考えたことや気をつけたこと、使用したツールや資料などを交えつつ、振り返りとして綴っていければと思います。

ingectar-eさんに、感謝の気持ちをこめて…

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きっかけは、5月の【業務委託デザイナー募集】ツイートでした

「どうする?デザイン」の制作のお手伝いをさせていただくきっかけとなったのは、こちらのツイートでした。

私が主宰している上司がいないクリエイター向けのオンラインコミュニティー「ONLINE上司」のSlackの中で、「オススメ情報共有室」というチャンネル(その名のごとく、オススメな情報を共有するチャンネル)があるんですけど、その中で参加者の方が上記のツイートを紹介してくださったことがきっかけでした。

その際に、改めてingectar-eさんの詳細をHPで確認してみたところ、所在地が大阪の「高槻市」と書いてありました。

私の勝手な思い込みで「出版されているデザイン会社さん=東京(関東)」というイメージがあったので、所在地が「大阪」と知ったときにはすごく驚いたのですが「高槻市」と書いてあったことで、さらに驚きましたのでした。

なぜかと言うと、「高槻市」は私が住んでいる市でもあり、自宅から比較的アクセスしやすい距離感にあったため、このような奇跡的な出会いにより急激な親近感が生まれてしまい、勢いにのせてメールをお送りしたのでした(笑)

数日後に、ingectar-eの代表である寺本さんと直接お話をする場をもうけていただくことになり、「どうする?デザイン」のお仕事をお手伝いさせていただく運びとなりました。

現在は、書籍のデザイン制作のお仕事だけではなく、幅広くデザイン制作やプロモーションのお手伝いをさせていただいています。

余談ですが、ちょうどそのタイミングで、ingectar-eさんから「3色だけでセンスのいい色」という書籍が発売されたので、ありがたく献本をいただいたのですが、その感想を何気にツイートしたものがたまたまバズりまして、内心「かなり早い段階で貢献ができたのでは!?」と思った次第です(笑)

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翌6月に「どうする?デザイン」の制作がスタートしました

翌6月のある日に、別件で寺本さんと打合せをしているときに「次に発売する予定の新刊があるんですけど、本づくりのサポートをお願いすることってできますか!?」という嬉しいお誘いをいただいたので、二つ返事で引き受けさせていただきました。

私自身、今まで紙もの媒体を中心にデザインをしてきているので、本(冊子・カタログ)を制作した経験はありましたし、3年前(2018年)には「なにわクリエイターズ」名義で出版させていただいた「隠れ大阪人の見つけ方」という本で、ディレクションをさせていただいたこともあったので、本の作り方がわからないといった不安は、特にありませんでした。

ただ、ingectar-eさんの書籍になるので、デザインや本のクオリティーはもちろん担保しないといけませんし、何より「ingectar-eさんらしさ」をしっかり表現しないといけないので、しばらくの間はingectar-eさんの本を読みこんで、徹底的にデザインのテイストを頭に叩きこむところから始めました。

言いまわしにおいては、すべての書籍にを通して、いわゆる「ingectar-eさんのクセ」を抽出していました。(後々チーム内で共有しました)

【ingectar-eさんの言いまわしのクセ】
・ちょっと違うかな
・思うんだけど
・選んでみた
・かったかも!?
・ないのかな・・・
・感じないな
・感じが欲しい
・してみた
・雰囲気がでてきたね!
・出てきた!
・いい感じ
・オシャレですね
・よかった!
・だなぁ〜
・○○みも出た!
・どうかな!?
・できるんですね〜

お仕事として、最終的には「本をまるまる1冊完成させる」というのがゴールになるので、話を聞いてみるとデータをInDesignで落とし込まないといけなかったんですね。当たり前と言えば、当たり前ですが(笑)

実は、私がInDesignを使いこなせないということもあり「これは一人で制作をすることはできない」と感じて、かねてより信頼を寄せていたでざいん姉さんにお願いして、制作のサポートをしていただくことになりました。

でざいん姉さんは、ONLINE上司のグラフィックデザイン課のチーフをお任せしている間柄なので、個人的にも絶大な信頼を寄せているのですが、実はでざいん姉さんも前述したingectar-eさんの募集ツイートを見て知っていたようでしたが、タイミングを逃してしまってエントリーができなかった…ということを後から聞きまして、結果的には「願ったり叶ったりになった」と嬉しいご報告をいただいております(笑)

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どのような準備をして、書籍の制作に挑んだのか

まず最初に、寺本さんから「どうする?デザイン」のコンセプトや制作方法、進め方などを詳しくレクチャーいただいた後に、でざいん姉さんとふたりで打合せをおこないました。

普段からお互いディレクションもデザインもやってきているので、「仮に何かあったとしてもフォローし合えますし、何より初めてのことなので、このあたりは臨機応変にお互い助け合ってやってきましょう!」という感じでスタートしました。

ingectar-eさんとのリアルで打合せができる距離感にある私が「ディレクター」として、最終的にはInDesignで落とし込む作業をしてもらわないといけないので、でざいん姉さんが「デザイナー」として制作していくこととなりました。

そして、コミュニケーションツールは、普段からONLINE上司で使用しているSlackでおこなうこととし、すぐさま新たなSlackのワークスペース「どうするデザイン」が誕生したのでした。

[どうする?デザインのマメ知識]
当初のタイトルは「どうする?デザイン」ではなく「どうするデザイン」で「?」がない状態のタイトルでした。

Slackのチャンネル構成ですが、事前に寺本さんからいただいていた台割をもとに、章ごとにカテゴリー分けされたチャンネルを用意して、その中でやりとりをすることにしました。

最初は章ごとに分けていなかったんですけど、途中で「分けた方がやりやすようですよね!?」となり、変更したのでした。このあたりも、実際にやってみないとわからないことが多かったので、試行錯誤をしながら進めていきました。

私の役割はディレクションなので、こちらの「どうするデザイン」のワークスペースでのデザインのやりとりを経て、ingectar-eさんとの別のワークスペースで、やりとりをおこなっていました。

データのやりとりは、ingectar-eさんも使用されていた「Dropbox」を使用するようにしました。データを共有するのもすごく簡単で重宝しましたので、すごくオススメです!

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また、ingectar-eさんとご近所さんというメリットを最大限に生かし、できる限り直接足を運んで打合せをおこない、わからないことや疑問に感じたことはずべてメモとして残して、打合せのときに直接伺うスタンスでおこなっていました。

また、章やカテゴリーがどこまで進んでいるかを示すための進捗管理は、別途Googleのスプレッドシートでおこない、進み具合を見える化することでお互いの進捗を共有するようにしました。

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どのようにして制作を分担して、進めていったのか

ingectar-eさんは、個人的にはじめてお仕事をさせていただく会社かつ「書籍の制作」という長い時間を要する案件だったため、距離的にも身動きが取りやすい私が「ディレクション」に徹して、福岡に住むでざいん姉さんは「デザイン」に徹するというのが、最初に取り決めた役割分担でしたが、進めていく上で様々な課題も見えてきました。

「どうする?デザイン」は、紙面の構成上「ラフ → 初校 → 再校 → 三校 → 校了」の5つの項目に分かれ、そのプロセスを紙面展開していく書籍なので、まずはこの工程をどうやって効率良く分担していくかを考えました。

本来の順序とは逆になってしまうのですが、まず最初に「校了」のデザインの完成させるところから始めました。

このあたりは、ingectar-eさんにも相談しながらやっていたのですが、初校(改善の余地のがあるデザイン)からデザインを作成するのは、我々のキャリア的をもってしてもなかなか時間がかかる作業だったので、最初に「校了」のデザインを作成してしまってから、よくやってしまうデザインの修正パターン3つを逆展開(逆算)させて、整合性がとれるように紙面で調整するという方法で、デザインを作成していきました。

この逆算するようなデザイン展開は、今までやったことがなかった(ほとんどのデザイナーがやったことないと思いますがw)ので、個人的にもとても勉強になりました(笑)

この「校了」のデザインのイメージは、必要に応じて(実際には全作例の1/3ほど)私の方でざっくりとイメージラフを書き起こし、でざいん姉さんにお渡ししてデザインしてもらっていました。

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これらのイメージラフをもとに、でざいん姉さんが制作した「校了」のデザインを私がこんな同じでチェックをして、さらにブラッシュアップをかけて完成させていきました。

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その後に「校了 → 三校 → 再校 → 初校 → ラフ」の順で、デザインを逆展開してもらい、ブラッシュアップの過程をビジュアルに落とし込んでいってもらいました。

同時に、ブラッシュアップ時の思考や考えをクライアントとデザイナーの両者に会話として落とし込まなければならなかったのですが、これをどうやって言語化するのかをすごく悩みました。

事前に両者のやりとり(台本)を作ってやってしまうと、デザインがとんでもない方向に進んでしまいそうですし、実際にデザインを制作していない私の原稿本意でデザインを進めるのは現実的ではないと考え、でざいん姉さんがブラッシュアップのビジュアルを作ったのちに、その思考や考えを簡単に言語化してもらうようにしました。それを私が肉付けして、会話として成立されるといった手順で進めていきました。

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デザインイメージと文字を展開させた後は、ingectar-eさんチェックが入るため、私の方で下記のようなテンプレートを事前に作成したこちらのシートに落とし込んでもらいました。

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このような流れを経て全ての一次原稿が完成し、InDesignへと落とし込む作業へと移っていきました。

完成した紙面はこちらになります。

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「校了→三校→再校→初校→ラフ」の順で逆展開していく中、最後の「ラフ」の部分は私が担当させていただきました。

普段からデザインのラフを書いたり、作品の添削をしたりすることも多いので、このあたりは楽しく書かせていただきました(笑)

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これらのラフも実際のところは、完成した「初校」に対してラフを書くという逆手順になってしまっているので、本来であればありえない順序なんですけど、本として成立させるためにも、この逆算をして制作しているということがわからないように、ラフもちゃんと最初に考えて書いている風になるよう、かなり意識して書きました。

また、表紙デザインは同時並行でingectar-eさんがデザインされていて、このようなかたちで表紙デザインの進捗も伺いながら、制作を進めていました。

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途中経過はTwitterでもアップされていて、たくさんの方に見ていただいていたようです。

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制作を進めていく中で立ちはだかった壁

とはいえ、はじめて書籍の制作のお手伝いをしているわけなので、経験したことのない部分も多く、特に「どうする?デザイン」に関しては、ingectar-eさんの他の書籍に比べても紙面の文字量が多く、難易度が高いことは事前に伺っていました。

何よりやりとりの解像度やスケジュール感、やりとりにかかる時間や求められるデザインのクオリティーなど、かなり試行錯誤であったため、いくつかの壁が立ちはだかったのも事実です。

そのあたりを少し深掘りしていければと思います。

①もともと計画していた入稿日に間に合わず、ご迷惑をおかけした
事前にいただいていたスケジュールを元に制作を進めていたのですが、ingectar-eさんに提出しないといけない作例とテンプレートの制作に思いのほか時間がかかってしまい、もともと予定していた初校の日に間に合いそうにないことが判明し、最終的に入稿日をずらしていただくことになりました…その節は大変ご迷惑をおかけしました。

②このままでは入稿日に間に合わないと感じて、サポートをお願いした
入稿日を伸ばしてもらったとはいえ、個人的に苦戦したのがデザインの部分や取りまとめではなく、クライアントとデザイナーの会話を考える部分でした。
普段のデザインワークでもコピーや文章を考えることはありますし、こうして文章を書くこともぼちぼちあるので、めちゃくちゃ苦手ってわけでもないのですが、会話を考えるというのは個人的には難易度が高く、文章を考えるのが得意なAKIさんにサポートしていただきました。
また、でざいん姉さんの実務のサポートとして、紙面の中で最後の「納品」部分のビジュアルづくりをにしかわさんにサポートしていただきました。お二人のおかげで、何とか初校に間に合いました。

③割と進んだ段階で、ページの見え方がおかしいということに気がついた
制作を進めていくうちに、最初にingectar-eさんからいただいていたデザインテンプレートと合わないカテゴリーが出てきました。
それは、紙面の前半にある「名刺」や「ショップカード」のカテゴリーにおいて「メインの写真選考をどうするか?」の部分に、写真が不必要であることや、後半に出てくる「ロゴデザイン」のカテゴリーところは写真が必要でなかったりと、割と後の段階で気がついてしまい、ページネーションの再編からレイアウトの変更などを余儀なくされました。

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早めに気づいておけば良かったと反省しています。

④すでにできあがっている「ingectar-eらしさ」を意識する大変さがあった
最初の段階から出版された今でもずっと頭にあるのですが「ingectar-eさんらしさ」というか「ingectar-eさんの世界観」を大切にしないといけないという気持ちがありました。
あくまでingectar-eさんの著書であるため、我々がサポートする側であること、このあたりをものすごく意識していました。

中に出てくる作例のクオリティーが落ちたりやテイストが違ったり、言い回しや色の使い方がズレていたりなんかすると、今までingectar-eさんの書籍を購入したことがある方が見たときに違和感を覚えてしまいますし、今までとなんか違う…と感じとられたりしてもいけないので、そのあたりはかなり意識していていました。
でざいん姉さんがアップしてくれたデザインを添削したりするときや、文字の関しての言い回しを修正するときも、このあたりのことをかなり意識してやっていました。
ですので、普段我々がおこなうデザインのテイストでもなく、ingectar-eのデザインに寄せて制作するといった工夫もしていました。

⑤制作が佳境を迎えていたタイミングで、父親が亡くなりました
プライベートなことではありますが「どうする?デザイン」の制作が佳境を迎えていたタイミングで父親が亡くなりました。
その影響で少しだけ制作が止まってしまったのでご迷惑をおかけしてしまったのですが、みなさんのサポートもあり何とか乗り切ることができました。

父親は「どうする?デザイン」の制作がスタートした6月からすでに体調を崩しており、私も病院に行き来する日々がずっと続いていたので、父親が亡くなったことに対して、正直なところ精神的にもかなりグロッキーではあったのですが、プロであればどんな理由であれ仕事は完遂しないといけないので、すぐに仕事に復帰して何とかがんばることができました。

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「どうする?デザイン」を通じて私が学んだこと

「どうする?デザイン」の制作工程は前述した通りなので、それ以外で学んだことを言語化しておきたいと思います。

①チームで作り上げることの手応えと難しさを感じたこと
当初は、でざいん姉さんと二人で制作をするつもりでしたが、最終的には4人でチームとして作り上げることになりました。会社であれば、私が上に立ってすべて指示(ディレクション)をして、その通りにやってもらうといった動きになると思います。
しかし、今回サポートいただいたみなさんは経験も豊富な方たちばかりだったので、暗黙の了解で進めることができる部分も多くてすごく助かりましたが、逆に色んな手法や進め方を知っている分、どれがベストなのかを調整するのに、思いのほか時間と労力がかかりました。
どんなツールを使って管理した方が効率的か、どのように進めたら手間がかからないかなど、その都度建設的な議論を交わしてベストな方法に着地していたため、色んな意見や方法を聞くことができて、とても参考になりました。

②読み手のことを考えぬいたアイデアと思いを丁寧にカタチにすること
今回はじめて書籍を作らせていただくことになったので、個人的にも本をたくさん買って事前に研究したりしていましたが、そんなことよりも大切なことがありました。
それは、制作していく中で感じたことなのですが、編集さんや著者さんが伝えたい思いをいかにくみ取って、書籍の中で伝えたいことを丁寧にすくい出し、その本質が届けたい読者(ターゲット)に伝わるようにいかにカタチにしていくか、ということでした。
これは、ingectar-eさんと制作していく上で、ヒシヒシと感じることができました。特に、印象に残っているのが「本をつくるときに大切なのは、手に取って読んだときに "本に豊かさを感じるか" なんですよ」という寺本さんの言葉でした。
この「豊かさを感じるか」という感覚は、きっと書籍だけの話ではなく、ものづくりを生業にしている人にとっては忘れてはいけない言葉なんだと感じました。

③書籍を市場に流通させる以上、売らない(売れない)といけないということ
「どうする?デザイン」が出版されて1週間が経過しましたが、今このタイミングで思うこととして、一人でも多くの人たちに手に取っていただきたいということです。
とはいえingectar-eの書籍なので、私がここまで気合い入れなくてもいいかもですが、個人的に関わったものはいち作り手として売れてほしいと思いますし、多くの人たちに見てほしいという気持ちは、どんなクリエイティブやデザインを手掛けても、変わることはありません。
実際に「どうする?デザイン」の制作をスタートさせてから、お店に並ぶまでの間に本書に関わった人たちの数は、ものすごい数になるかと思います。
本書のアイデアや企画を考えた編集さんやingectar-eさん、それをディレクションする人、デザインをする人、文章を考える人、画像を合成したりレタッチする人、入稿データを作る人、校正をする人、印刷をする人、本を断裁する人、製本する人、本屋さんに運ぶ人、販売してくれる人、宣伝してくれる人、手に取ってくれる人などなど。本当にたくさんの人たちが関わって本がお店に並んでいます。
そんなことを考えると、たくさんの人たちの手に届けることが、携わった人たちにとっての最良の答えであり、目指すべきことだと思いました。
制作するときに、寺本さんと何度も打合せをさせていただきましたが、本づくりに関しての愛情や良いものを届けようとする思いがヒシヒシと伝わってきて、すごく勉強になりました。

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お知らせ

今週の木曜日、1月28日にingectar-eさんが主催する「どうする?デザイン 出版記念トーク」に参加いたします。

「どうする?デザイン」の企画背景や制作秘話、裏話などをingectar-eの代表の寺本さんと一緒にお話できればと思っていますので、今からすごく楽しみにしています。

お互い関西人で地元が同じということもあり、カジュアルな感じで楽しくお話できるといいなと思っています。

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・題 名:どうする?デザイン 出版記念トーク
・日 程:2021年1月28日(木)
・時 間:21:00〜22:30
・内 容:「どうする?デザイン」の企画背景や制作秘話、裏話など
・登壇者:ingectar-e代表 寺本恵里上司ニシグチ
・ツール:YouTube Live(https://youtu.be/3Z3bFvEE8vg

オンライン(YouTube Live)での生配信されますので、是非リアルタイムでご視聴していただけると嬉しいです!

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さいごに

ひとつのツイートに私がメールを送ったことから、こんなにステキなご縁に恵まれ、ひとつの書籍のデザインをお手伝いすることになるとは、正直思ってもみませんでした。

昨年からコロナウイルスの影響で生活様式がかわり、なかなか先が見えずに不安になることも多いですが、常に前向きに考えて行動をしていくことで、開ける未来もあるのだなと、今回の「どうする?デザイン」を通じて、改めて感じることができました。

書籍のタイトルが「どうする?デザイン」ということで、個人的にも「おい、ニシグチよ…これからデザインとどう向き合っていくんだい!?」と聞かれているような気がずっとしていました。

制作途中に父親が亡くなり、コロナウイルスで自宅待機を余儀なくされる中、はじめてかつ長期的なお仕事でチームを取りまとめる立場。

失敗ができないこの状況は、正直なかなかのプレッシャーではありましたが、嬉しい出会いがあったり悲しい別れもあったりの2020年。今こうして「どうする?デザイン」がお店に並んでいる様子や、SNSでツイートしてくださっている様子を見て、ようやく今ホッとしている感じです。

次は、自分の名前が前に出るかたちで書籍を出版させていただくことになり、今回の経験を生かして執筆を進めている最中ではありますが、おかげさまで書籍の制作に関してのノウハウも蓄積されているので、自信を持って進めることができています。

「どうする?デザイン」の制作においてはすごく大変ではありましたが、責任を持ってデザインをしてくれたでざいん姉さん、細かいところまで文書を作ってくれたAKIさん、画像の合成やレタッチをしてくれたにしかわさん、色々なところでフォローしてくれたONLINE上司のみなさん。

そして、編集をしてくださった翔泳社の関根さん、ingectar-eのスタッフのみなさま、何よりこのようなチャンスをくださり、終始温かい目で見守ってくださったingectar-eの代表の寺本さん…すべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました(_ _)

少しでも多くの方々に「どうする?デザイン」を手に取っていただき、それぞれのデザインの現場で本書をお役立ていただけると嬉しいです!

読んでくださり、どうもありがとうございました(_ _)

令和3年1月25日(月)
上司ニシグチ

いつも読んでくださりありがとうございます! サポートいただいたものは、飼っている犬のミーちゃん(♀)のご飯代として、大切に使わせていただきます!(^_^)