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3.11

東日本大震災から10年が経ちました。


当時僕は高校3年生で、

卒業式を終えて来月から大学生になるタイミングでした。



当時の記憶

地震が起こった瞬間何をしていたかというと、

カラオケ店のアルバイトの休憩中で、

一人で屋上のプレハブ内でご飯を食べていました。


すると

海の上で船が揺れるような、

「ゆら~ゆら~」っとした揺れを感じて、

「今日は風が強いのかな?」ぐらいに思ったのを覚えています。


アルバイトの終礼時に店長から

「宮城の方が大変なことになっている」という話を聞いて、

休憩中の揺れは地震だったことに初めて気づきました。

京都も揺れを観測していたのです。

それくらい規模が大きかった。


当時の事を思い出すのはそのくらいか、

テレビはずっと”AC”のCMが流れてたという記憶ぐらいで、

津波の映像とか、原発事故とか、

リアルタイムで観てたはずなのに、

その時どう感じていたかはほとんど覚えてない。


慣れ親しんだ思い出深い高校を卒業し、

未知の世界である大学生になることを目前にしていて

毎日ふわふわとした時間を過ごしていた

東北に友達も縁もなかった17歳の僕としては

”遠い場所での出来事”の感覚だったのだろうと思います。



大学生になって

大学生になってから、色んな生き方、思想、哲学に触れたり、

人に会ったりして

”世の中”というものに少しずつ触れていく中で、

原発事故の問題しかり、イデオロギー的な部分も

色んな人から影響を受けて過ごしてきました。

僕は反原発だし、未だに原発事故については

未解明の部分が多いし、

「安全です」的な情報は基本信用してないです。



初めて福島へ

そんな中、去年の9月、初めて東北地方へ、

福島へ、いわきへ行ってきました。

いわきへUターンした友達に会うのがメインだったのですが、

原発事故のことも考えたくて。


ちょうど東日本大震災・原子力災害伝承館も開館してすぐで、

行くことができました。

率直な感想としては、

「原発事故はあったけど今は大丈夫になってきている」という

メッセージを伝えたいんだろうなと感じた一方で、


原発建設当時の1970年代は、

それまで出稼ぎに行かなければならなかった福島の人たちが、

原子力発電所という働き口ができたことで、

福島で家族と一緒に暮らせるようになったのも事実で、

確かに原発からの恩恵もあった

という文面があったのもすごく印象的で。


だからこその恩恵と事故の悲惨さのコントラストが何とも言えなくて。


そして地震による被害よりも原発事故によって

避難したり、生活環境を変えないといけなかった人達を思うと、

”今は何も被害は出てないけども危険です、目に見えないけど”

という理由で住み慣れた環境を離れるって、

納得いかないものがありそうだなとも思って。



初めて福島という場所に来て、

いわき、浪江、大熊、富岡、広野、楢葉、双葉など

ニュースで耳にしていた場所にも行って。

復興を目指す浪江でのツアーで、

震災を伝える小学校校舎跡、港で話を聞いたり。


震災当時のままバリケードがされていて、

「降車禁止」の看板が出ていたり、

「帰還困難区域」があったり、

でもちょっと離れたら普通に生活があったり。

その日は新しくできた

道の駅なみえに県外ナンバーもたくさん来ていて、


もうよくわからない感覚だった。混乱した。

「何が危険で、何が安全なのか」と。



混乱の中で

震災から10年経った今日、10年前を振り返ると

ずいぶん世界や社会や世の中、日本について

見え方も広がってきた感覚がある。

「世間知らず」の高校生だった当時からすると、

やはり自分も大人になったんやなと思わされる。



先にも書いた通り、

今もなお原発事故が収束していない中で、

国の安全基準や情報は基本信用していないし、

かなり斜めに構えている自分がいる一方で、


いわきには、地元に想いをもってUターンした大事な友達がいる。

純粋にその場所で、明るく、

楽しい暮らしをしていこうとしている人たちがいる。


そんな人たちに、

「危ないよ、住まない方がいいよ」と言えるだろうか。

何が危険で、何が安全か確かな物差しもない状況で。




大それたことを言うかもしれないが、

他人事になりそうな人にとっても、

日本で暮らす以上、影響は必ずどこかにあるはずで、

それぞれが考える必要のある事柄だと思う。


僕は福島に行って以降、

じわじわとそれについて考える時間ができているし、

でも整理がついていないし、

安全な暮らしはどういうものかを考えるし、

自分はどう生きるかを考えている。


10年は節目でしかなく、

日々少しの合間でも、震災について考えることで、

自分の住んでいる場所や、暮らし方、

生き方を見つめる人が良いなと思う。

自分も含めて。



熊本もそうだが、東北でも

復興に尽力してきた、している人たちがたくさんいるし、

そんな人たちを見ると頭が下がる。

人間の底力を感じるし、

自分に喝を入れられる気分だ。

底から立ち直った人は強い。


今日の一日に感謝を。



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