よいものをたくさん見るのが物事の基本
好きな本は、何度でも読む。そのときの気分で、あ、あれが読みたい、どうしても今すぐ読みたい、と本屋さんや図書館に走ることがある。ないと、びっくりする。だって、基本だから。あるのが当たり前な本なのに。図書館だと、書庫にあったり、他の分館だったり。今すぐ読みたいのに。
気分。
穏やかで丁寧な文章を読みたい。派手でない、落ち着いた時間の流れ。素直でまっすぐな。誰もが通ってきた日常だけど、それはその人だけのもの。
スコーレ No.4 宮下名都
家族がいて、友だちがいて、好きな人がいて、仕事がある。
麻子は、昭和・大正の香りが漂う、古道具屋「マルツ商店」の長女だ。祖母と、父母と、三姉妹の家族だ。
以前読んだとき(2010年)は、少女、女性の瑞々しい恋の表現にドキドキしていた。初めて男の子を好きになった瞬間の『どうして、わかったんだろう。ただ、彼がわかった。あの子を特別だと感じたこと』
「くねくね』というのもいい。男の子を好きになって急に「くねくね」しだした、友だちの真由。妹の七葉に言う。
もしも私がくねくねしてたら、教えてくれる?
大人になったときの恋
もうだめだ、と思った。どうしてこの人の言うことが、こんなふうにひとつひとつ胸に飛び込んでくるんだろう。おいしいものを食べて、音楽がかかっていて、お酒があって、ふたりでいる。もうだめだ、と思う。何がだめなのか、わからない。わざと他愛のない話をしてたくさん笑った。
今回感じたことは、培われていく目、成長、学びだ。麻子が、自分の育った古道具屋を愛し、それをまっとうしている、と思った。
よいものをたくさん見るのが物事の基本
骨董も、映画も、本も、仕事も、人も。
恋においては、それが『よいもの』だとはわからない。その真っ只中にいるときは。
人もそうかもしれないけど、大人になって、今いい年した私は、多少それはわかるかもしれない。
私にとって、必要かそうでないか。
いまだにまちがえてしまうことももちろん、ある。
だけど、自分自身を信じてそのときに自分がよい、と思った方向にいこう。
麻子もきっと、スコーレ(学校)はまだまだ続いている。
私も いくつかのスコーレがこれからもあるだろう。
なるべくよいものをたくさん見ていきたい。
スコーレとは、スクールの語源のギリシャ語で、学び、遊び、余暇という、3つの異なった意味を、たった一言で表す言葉だ。ここでは、家族、恋愛、仕事、結婚と4つだ。