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夏の終わり、ふたりで

実習で1か月以上地元に帰るからしばらく離ればなれになる。

院試が終わった日に会おうとなって、いつもの駅まで電車に乗った。

待ち合わせの時間を過ぎてもなかなか来ないからどうしたんだろうと思っていると、右手に何か袋を持った彼がやってきた。

「おなかすいた!」と言うと「すし買った」と袋を見せてくれた。
いつも列ができている人気のお寿司屋さんで、気になっていたお店だった。今日はおすしでーーーす!とみんなに自慢したい気持ちを抑えつつ家まで歩いた。

私はワサビが食べられないから全てのおすしからワサビをとって食べた。「おすしなんて何年ぶりだろ」と言い合った。トロが2貫入っていて、「こっちのほうが脂がのっている気がする…かも?」と食べ比べた。どれもとてもおいしかった。

「ああ、おなかいっぱいだよ」と寝転がっていると「これ」と差し出してきたのはローソンの一番くじで当たらなかったセーラージュピターのクリアファイルとキーホルダーだった。ほしかったけれど当たらなくて、諦めていたからびっくりした。私のために買ってくれたのだと思うとその気持ちでだけで胸がぎゅっとなった。

私がそのふたつを眺めていると、冷蔵庫をごそごそしていた君が「スイカもあるよ」とスイカの入ったパックを出して言った。私は本当に本当にスイカが好きで思わず叫んでしまった。
彼はスイカがそんなに好きじゃないから一口だけ食べて後は私が全部独り占めした。

夜はスーパーにハーゲンダッツを買いに行った。
私はストロベリーを選んだけれど、彼が選んだチョコチップのほうがおいしかった。

しばらく会えなくて本当に寂しいけれど、こうやって私のためにたくさん準備してくれて応援してくれている君の存在があれば頑張れる。

彼とふたりで食べたおすし、スイカ。スーパーから買って帰ると溶けてしまっていたハーゲンダッツ。どれもおいしかった。

彼がくれたセーラージュピターのグッズはとてもかわいいからちゃんと実家に持って帰ってきた。御守り代わりに持ち歩く。

もう気温もそんなに高くなくて、実家の庭にはコスモスが咲いている。

夏の終わり、君とふたりで過ごせてとても嬉しかった。

駅で少し涙目になっている私を見て笑った君はいつも通りやさしい笑顔で、いつも通りかっこよかった。

私の電車が動き出して互いが見えなくなるまで手を振ってくれていた。

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ちょろい女子大生の川添理来です。