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TKC#3 Fake it till you make it -東京藝大の実習-(過去日記vol.3)

過去日記第3話です。

前回の日記では東京芸大の日々を書くつもりが、会社を突然やめて東京藝大に行ったため、住民税を払うための金策について赤裸々に綴ってしまった。今回こそ、東京藝大での日々を書きたいと思う。受験の参考にきっとなるはずだ。

僕が通っていた頃の東京藝大はとにかく実習がメイン。座学もあるんだけど。とにかく実習。僕は当時28歳(29歳になる年)だったので、大学を出てそのまま大学院に進学した人よりも6個年上だったのだけど、同級生には年上もいたし、むしろ23歳の人たちは少なかった。僕と同じように、一度社会に出たけど、何かしらのチャンスを掴むため(作品を作るため)ここにやってきたという人が多かった気がする。大袈裟に言うと、学校で学ぶといった意識よりは、リールを作りにきた、といった意識だろうか。結構ギラギラしてるな、と思ったのが第1印象だった。

前回書いた通り、2011年は311があった年で僕の大学院の入学式は残念ながら中止になった。なので初日は馬車道にある校舎にみんな集まってガイダンスを受ける的なことをした記憶がある。そこでの印象が、思ったよりギラギラ、だったわけ。

そのギラギラ藝大はガイダンスも程々に座学がチョロチョロ始まるんだけど、基本的には映画の一線で活躍中の先生たちの映画論を映画を見ながら聴いたりとか、講義っぽいものが平日に普通に行われる。あまりかじったことのないジャンルの映画を見て学ぶことができたので貴重な時間だった。

結構衝撃的だったのは、同級生の監督たちの過去作品を見たとき。その時多分初めてインディーズ映画というものを見たので結構驚きました。まずみんな血が好きだなと。童貞が好きだなと。そして画面が暗いなと。一番衝撃的だったのは、橋の映画だった。2人が橋を渡るかどうか話しているだけの数十分の話。無茶苦茶退屈なんだけど、見れてしまったし、今でもこの映画のことはよく思い出す。不思議な体験をした。

そんな「学校」っぽいことは通常運転で行いつつ、ギラギラ藝大は実習が矢継ぎ早に組まれる。まずはGWに短編映画を撮影する。確か撮影は2日で予算は10万円とかだった気がする。

ここで問題が1つ起きる。そういえば、僕は映画を作ったことがない。映画の仕事はしていたけど、ビジネス側面が強く、撮影現場に行ったことはあるけど、実制作をしたことはない。CMも撮影現場にはいたけど、実際の制作はしたことがない。制作の方達がケアしてくれる側にいたので、僕は現場に行けば、撮影の準備はすでに終わり、撮ってる素材をみる、だけだったから。だから気がつくわけです。映画ってどうやって作るんだろう?何も知らないや、と。(遅い)

これは映画制作に限らないんですが、僕は大切にしていることがあります。わからないことがあったら、知ったかぶりをします。ナニソレ的なことがあったら、一瞬知ったかぶります。そしてGoogleでバレないように調べるor知り合いに聞いて、知ったかぶりで誤魔化している間に知るということをよく使いました。

知らない。わかんない。って素直に認めることも大事だと思うんですが、心の中では認めて自省して、でも口には出さないのが大事だなと思っています。口に出すと、なんか言い訳になってしまう気がする。

この自分のやり方を正当化するために、今回の記事のタイトルをFake it till you make itとしました。これは英語のことわざですが、まさに僕が書いたような意味ですね。TEDのトークでもこの考え方は話題になりました。でも話題になったのは2015年なので僕の方が4年早いですね。(ドヤ)

なので、僕がこの考えを言うのはTEDを見たからじゃないです。英語のことわざとして知ったわけではないんです。ちょっとインテリっぽいこと言いますけど、この考えはシェイクスピアの戯曲から影響を受けているとかいないとか。「As You Like It  / お気に召すまま」というお話しがあるのですが、その中でこんな台詞があります。

All the world’s a stage, And all the men and women merely players: They have their exits and their entrances; And one man in his time plays many parts, His acts being seven ages.

日本語訳はこんな感じ

全世界は一つの舞台であって、すべての男女は、その役者にすぎない。それぞれ舞台に登場してはまた退場していく。人はその時々にいろいろな役を演じる。舞台は年齢によって七幕に分かれているのだ。

人生にとって大切なのは、今の自分ではなく、なりたい自分は何かってことだと。なりたい自分をまずは演じることが大事だと、シェイクスピアは言っているような気がして、ソレで僕はこの「知ったかぶり」を重用するようになりました。

誤解して欲しくないのは、本当の「知ったかぶり」はよくないってことです。それは大事故の元でしかないです。知ったかぶりで判断するとよくないけど、"一瞬だけ”知ったかぶりをして、時間稼いで、判断ポイントを後ろにする、ことを言っています。とにかくその場で一瞬知ったかぶりをするが、同時に判断ポイントを遅らせ、その時間的猶予で調べるor聞く、でなんとかする。これが正しいワークフローです。これなら事故らないです。

僕はGoogleとあと広告代理店時代にお世話になった制作プロダクションの方達に無茶苦茶質問をしてまずこの実習を乗り切りました。あの時、知らない、で済ませていたら、きっと僕は一生映画制作を知らないままだったかもしれません。

しかしながら、これは中々な告白をしています。当時の同級生たちがこれを読む可能性があるわけですから。ばれますね。まあでも10年も前の話です。時効です。

実習の中身全然書いてません。このGW実習では2本の短編映画を作りました。次は1つ上の学年の人たちの商業映画を手伝って、その後に16mmフィルムで映画を作るという感じで映画制作の日々が続きます。

その前に僕はひょんなことから夏にUCLAに行きます。
そして、ロサンゼルスの皆さんと出会うのでした。次回はその辺を。

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