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文部科学省の通知では子どもの自殺は防げません。校内でSOSが出しやすい体制をつくることが大切です。

2022年の1年間で自殺した小中学生や高校生は512人と、過去最高になりそうです。悲しい限りです。コロナを理由にやたらと子どもたちの活動に制限をかけてきた教育委員会や学校の罪は重いと考えます。

にもかかわらず、相変わらず文部科学省の3月1日付けの通知「児童生徒の自殺予防について」はショボいです。「本気で自殺を防ぎたいと思っていないでしょ!」と言いたくなるぐらい具体性に乏しい内容で、

「文部科学省は自殺予防について学校に指示しておきましたよ。」というアリバイづくりの通知です。

前屋氏はこのコラムの中で文部科学省が「通知」を出すことで現場を忙しくして、かえって自殺の要因を増やす原因をつくっているという問題を指摘しています。


文部科学省が何を言おうが、校長は一切何も関知しなくてかまいません。文部科学大臣は何も責任をとりませんから。

目の前の子どもたちの責任がとれるのは校長しかいませんから


さて、校長として自殺予防のために何ができるでしょうか。
正直言えば、どういう策が効果があるかはわかりません。
例えば、担任が40人近い子どもの顔を見て、メンタルがどのような状態かを把握し、適切な手立てを講じることなど難しいし、それを校長として教員に要求はできません。それはスクールカウンセラー等心理学を学び、臨床を重ねた人間ならば可能でしょうが。

学校として、校長としてできることは自殺予防については以下の2つだろうと考えます。

1つめは、学校や学級の心理的安全性を高めておくということです。
そのためには、教員自身が心理的安全性が高い中で仕事ができ、穏やかな気持ちで子どもたちの前に立てるように校長が組織づくりをしていかなければなりません。

2つめは、校内で子どもたちが話したいことがあるときに話を聞いてあげられるような体制を整えておくことです。
校内の中に相談箱を設けている学校がありますが、あそこに相談したいことを入れる子どもをほとんど見たことがありません。

なぜでしょうか。
紙を入れるところを誰かに見られるかもしれないから。
気に入らない先生に話を聞かれるかもしれないから。
いろいろと理由は考えられるでしょう。

いつまでも効果の上がらない手立てを打つというのはあまりにも無策です。「うちの学校はいつでも相談できるように相談箱を設けています。」というのは文部科学省の通知と一緒です。

子どもにとって「いつでも」「相談したい先生に」話を聞いてもらえる体制をつくることが必要なのではないかと考えます。

例えば、タブレットの活用です。毎朝タブレットを開いて健康チェックをさせるようにします。その際、話したいことがある場合、先生を指定して話を聞いてもらえるようにタブレットから直接連絡できるようにするのです。

これで必ず子どもが連絡するとは限りませんが、誰かに気づかれずに相談したい先生に話を聞いてもらうことができ、相談箱よりもグッとハードルは下がります。

もちろん子どもが相談したくなるような先生が校内にいるようにしなければなりません。
担任以外でもいろいろな子どもに声をかけて、人間関係をつくるように心がけるようにする必要があります。
そして、担任以外でも子どもが話を聞いてもらいたくなる、相談したくなる関係性をつくるようにしていくことが求められます。

そのためにも、先生自身が生き生きと学校で仕事ができるような土台が無いと、このようなシステムをつくっても空回りします。

したがって、校長が心理的安全性の高い職場をつくっていくことは非常に重要なことだと考えます。

また、校長自身として、子ども一人一人に積極的に会話するようにしていかなければなりません。例えば、子どもの名簿をもって話をした子にチェックして、まだ話をしていない子どものところに積極的にコミュニケーションを図っていく。
そして、その内容を担任と共有することで、校長が本気だというところを見せていくことが大切でしょう。

自殺予防といった大それた感じのものではなく、

草の根的に子どもと学校の職員が会話をしていき、職員の誰かが子どものメンター的な存在になること

それが重要なことなのだと考えます。





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