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2022年11月の記事一覧
【書く習慣】柔らかい雨
気がつけば16時をまわっていた。
少し薄暗くなった部屋で
小さなパンケーキを食べる。
そうだ、コーヒーを淹れよう。
少し濃いめのコーヒーが
冷えたつま先まで染み渡る。
足を床にしっかりつけると
なんだか力が湧いてくるみたい。
山の木々や草花と同じように
光に向かって身体を伸ばし、
大きく呼吸して。
明日は新しい芽が出そうだな。
【書く習慣】一筋の光
わたしは闇に溶けている。
手も足も感覚がない。
それどころか身体を感じない。
登っているのか降りているのか。
泳いでいるのか沈んでいるのか。
もうこのまま
自分との境界線もなくなって
自分を忘れてしまうだろう。
静かに溶けて。
いつかまた目覚める事ができたなら。
また会う事ができたなら。
その時はきっと。
【書く習慣】哀愁をそそる
枯葉がひとつ。
はらり、はらり。
もう枝には何も無い。
最後のひとつ。
はらり、ふわり。
木枯らしに連れられて
どこか遠くへ。
ふわり、ひらり。
もう他の落ち葉と
見分けがつかない。
ひらり、ひらり、ひらり。
【書く習慣】鏡の中の自分
冴えない顔ね。
どうしたの?
ふうん、
なんだそんな事?
あなた、
また同じような事で落ち込んでるのね。
大丈夫。
私の目を見て。
いい?
あなたは大丈夫。
今までもこれからも。
あなたのままで
あなたは最高なんだから。
さぁ、
一日のはじまりはじまり。
【書く習慣】眠りにつく前に
窓を開けて
夜を招き入れましょう。
ふわっとカーテンが膨らんで
夜が部屋をいっぱいにしたら
静かに静かに抱きしめて。
夜に包まれて安らぎを感じたら
さようなら。
また明日。
窓からそっとお別れを。
おやすみなさい。
【書く習慣】永遠に
薄曇りの空。
少し灰色がかった憂うつな空から
ひとしずく。
一歩も踏み出せない程の静寂の中。
ぴんと張り詰めた湖面に
ひとしずく。
像の乱れた水面を覗くと
中には薄曇りの空が見える。
そこからまた
ひとしずく。
張り詰めた湖面に
ひとしずく。
像が乱れて
ひとしずく。
【書く習慣】懐かしく思うこと
ジュエリーケースの一番奥。
うさぎのバレリーナのブローチと
黄色の石がついた指輪。
うさぎの耳が折れてしまったのを
パパが接着剤で綺麗に直してくれたっけ。
黄色の石をトパーズだと思い込んで
半ば強引にママから貰ったんだっけ。
どちらもきっと高価なものではないけれど
これからもずっと手放す事はできないだろう。
ふと思い出して眺めては
またそっとケースの奥へしまい込む。
小さい頃に貰った誕生
【書く習慣】もう1つの物語
鏡をそっと覗いてごらん。
瞳に映ったそのまた向こう。
そこにいるのはほんとのあなた?
ガラスの中を覗いてごらん。
光に透かしたそのまた向こう。
そこにいるのはほんとの私?
世界の狭間を覗いてごらん。
時間を跨いだそのまた向こう。
そこにいたのはあなたと私。
こちらにいるのは、
本当の?
【書く習慣】紅茶の香り
冬の午後2時。
何の予定もないひとりの休日にも慣れてきた。
なんて嘘。苦笑い。
手袋せずに出てきたから手が冷たい。
そっか、自分のポッケに入れなきゃ。
苦笑い。
ふらっと立ち寄ったカフェでひと休みしよう。
ケーキセット。
こっちもいいな。これもいいな。
一口ちょうだいはもうできないのか。
苦笑い。
運ばれてきたガラスのポット。
その中で茶葉が舞うのを眺めながら
また苦笑い。
もう一緒には生
【書く習慣】行かないで
春を待ちわびている。
世界が白やピンクに色づき始め
桜の蕾が膨らみ出すと
まだかまだかと期待が高まる。
それなのに。
桜の花が咲き始めると不安になる。
別れがすぐそこに見えている。
満開の桜。散りゆく桜。
美しさと儚さ。
待って待ってと願ってしまう。
もう少し、あと少しだけ。
そしてまた季節が巡って。
私は春を待ちわびている。