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【映画】PERFECT DAYS

映画「PERFECT DAYS」
最後のシーンは、静かにだけど、大きく感情を揺さぶられた。

映画を観たあと、すぐにパンフレットをじっくり読む。
いろんな感情が交差する。

感んじた思いを、ひとつずつ考えてみた。

あらすじ

こんなふうに生きていけたなら
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、
静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、
同じ日は1日としてなく、
男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。
木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。

映画「PERFECT DAYS」公式サイトより

映画は芸術


この映画で、「映画は芸術」と感じた。
映像が表現するもので感情が動いた。
よく見る東京の風景も、木々の揺らめき、太陽の光、川の流れ、箒で掃く音、役者の表情、流れる音楽、それぞれが芸術作品であり、重なりあうことで作品が濃くなっていく。

引き算の美


映画全体が、説明し過ぎず、引き算し、無駄をそぎ落としている。
シンプルだけど、おしゃれではない。
古いアパートに本とカセットデッキと植物。
だが、悲壮感などはない。

セリフはほとんどないが、「平山」なのか「役所広司」なのか、どちらか分からないが、引き込まれてしまう。
映画の最後は、「役所広司」の演技にやられた。(ここは役所広司の演技がすごいと思った)
役者の顔をみているだけで、こんなにいろんな感情が湧き出るものなんだろうか。
小さな波が何度も押し寄せてくるというか、満ちてくるという感じだ。

住む世界


平山は一人のようで、毎日さまざまな人との接点がある。
みんなそれぞれ、違う何かを抱えている。

平山の同僚タカシ、タカシの親友、タカシが熱を上げている女の子、ホームレスの踊るおじさん、姪っ子、平山の妹、居酒屋さんのマスター、バーのママ。
週末のカメラ屋さんに古本屋さん。
みんな、それぞれの人生があり、いないといけない人達。(どの俳優さんも個性が光っていた)

平山と妹、生き方が違う二人のシーンを観て、
職業・住まい・外見など、自分が得た情報だけで、その人を判断することって、多々あるんじゃないか。
自分はどうだろうと考えたら、居心地悪い。

ひとりひとり違う。
みんな違う世界で生きている。
みんな違っていいと理解している。

平山の様に、誰かと比べたりせず、自分の価値観で幸せを感じ、シンプルに生きるのを理想だなと、思った。

幸田 文

平山が古書店で本を買う。
木の様な生き方と表現される平山が購入した本は、幸田文の「木」

私は2021年に、幸田文の「きもの」という本をはじめに読んだとき、「言葉の選び方に、感服した」と、その時の感想を書いている。
それから、いくつかの作品を読み、繰り返し読んでいる。

この映画を観る前に、「木」を読み始めた。
「木」の生涯、朽ちる様子、「木」から家族への思慮。
その表現は、静かでありながら、強さを感じる。
まだ読んでいる途中だが、「平山」と「木」が重なる部分だ。
幸田文の「木」を選ぶところが、目のつけどころというかプロの仕事ってこうなんですね。

音楽、映画の軸となる東京のトイレの取り組みと、もっと掘り下げたいことはたくさんあるが、ここまでにします。

これからは、今日も「PERFECT DAY」だと思って過ごしていきたいです。


I'm feeling good.


ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースと
日本を代表する俳優 役所広司の美しきセッション。
フィクションの存在をドキュメントのように追う。

ドキュメントとフィクションを極めた
ヴェンダースにしか到達できない映画が生まれた。

カンヌ国際映画祭では、
ヴェンダースの最高傑作との呼び声も高く
世界80ヵ国の配給が決定。

第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞
エキュメニカル審査員賞受賞
第96回米国アカデミー賞国際長編映画賞 日本代表
第36回東京国際映画祭 オープニング作品

映画「PERFECT DAYS」公式サイトより


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