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残された時間は、自分のために

やりたいことをしているか。自分のために時間を作っているか。
自分の思いに素直に行動しているか。こう思われるんじゃないかとか、自分のことよりも、子供のため、親のため、スタッフが困らないように、上司に嫌われないようにと自分のことを後回しにしていないか。
迷ったとき、もやもや・イライラしたときに、自分自身に確認します。

命にかかわる病気で、医師からそう長くは生きられないと言われた人と話をしたとき、
「私がいなくなったら、夫が困るだろうし、娘に全部させるのもかわいそうだから私の物は整理した。夫は草むしりなんてできないだろうから、庭も処分したの。」と。
夫が困らないように、残された家族に負担をかけないようにと思って動いていました。優しい方、きっと今まで、家族のために過ごしてきたんだなと思いました。
自分が死んだあとのことばかり心配して、死後の準備にばかりに気持ちが向いて、今を楽しんでいるのかな、もっと自分のことを考えたらいいのにとも。

治療しながら、死に向きあい、家の片付け、身辺整理をしているのに、残された時間について、私の考えを話すことを迷いました。
でも、今伝えないと、私は後悔する。
本人もあとから、あれもしたかった、これもできたかもと思うかもしれないと思い、思い切って話しました。「残った時間を家族や自分が死んだあとのために使うのは、とても大切なことだけど、死ぬまでの間に、自分のやりたいことをしてもいいんじゃない?」と。
「自分のやりたいことぉ?」って、驚いた様子でした。
「やりたいことが難しかったら、大切にしてることとか時間とかは何?」って、聞きました。

それから、しばらくして会ったときに、自分の人生を振り返って、話しをしてくれました。
「子供を育てるのに必死だったし、仕事もパートを少ししたことがあるくらいで、これといって趣味もなかった。子育てが終わって、これからというときに病気になってしまって、こんなものだと思っていた。急にやりたいことと言われて、私は何をしたいだろうって、ちょっと考えたよね。言われてみて、自分のために時間をつかってもいいんだって、思えたわ。大切なのは、家族とか友達と一緒に笑ってることだわ」と。
私が伝えたことを、受け流さずに心にとめてくれたんだと思いました。


長く会えていなかった遠方に住む妹さんに自ら連絡をとって、会ったり、病気で外にでることもできなかったため、久しぶりにお友達とランチにでかけて、疲れるくらい、たくさん話をしてきたんだと教えてくれました。
会いたい人に、会うという希望を叶えていました。
妹さんやお友達にとっても、大切な時間になったと思います。
この時に、思い切ってこれからについて話したおかげで、その後の時間の過ごし方について、具体的に相談し合うようになりました。

私の母は、数年前にガンで他界しました。
入院中、母は「お父さんのご飯が心配だから、早く帰りたい」と、よく漏らしていました。
いつも家を綺麗にし、総菜なども使わず、すべて手作りで、父に食事を作るような人でした。
体調が悪化してからもそんな調子だったので、私は「時間もお金も自分のために使ってよ。旅行に行きたいとか、したいことがあるなら今のうちに言ってほしい」と、話していました。
「それもそうだね。お父さんと車でいろんなところに行ってみたい」と、言ってましたが、その時には旅行にいけるほどの体力はなく、かないませんでした。
もう少し早く母の気持ちを知っていたらという気持ちが残りました。

母が亡くなる直前に、実家に掃除機や寝心地のいい寝具などが届きました。
母は、自分で使うことはありませんでした。きっと、自分が死んだあと、父が困らないように手入れが簡単なものを準備していたのだと思います。
母らしい、ありがたいと思いはするのですが、母の本当にしたいことはできたのかなという気持ちもわずかながらに家族みんなに残りました。

病気になった時、死についてや自分が死んだあとのことなどいろいろと考えます。自分も片付けをしたり、いろいろ準備したりするのかもと思います。

自分の物は自分で片付ける、終活はもちろん大切なことです。片付けだって、元気なうちにしよう、死ぬ前にスッキリしよかと思っても出来なかったりします。

元気なうちから、自分の人生、今自分がやりたいことや自分の気持ちに素直になって行動できるといいですよね。

病気になってからだと、治療が優先されたり、体が思うように動かせなかったり、元気なときにこうすればよかったと、後悔につながることもあると思います。

何かを始めよう、辞めようと迷ったとき、そんな大きな決断じゃなくても日常の中で、もやもや・イライラしたとき、行くか行かないか、するかしないかという時に、他人の都合より自分の都合・自分のご機嫌な状態を優先させていきたいです。

どんなに、自分らしくと思って生きていても、ひとつやふたつの後悔は出てくるのかもしれません。
少しでも後悔が少なくすむように、人生の残された時間を意識した時、周りの人のことよりも、まずは自分のことを一番に考えてほしいと思います。

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