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母の想いと看護師娘の経験から伝える♯3治療と食事

母のがん治療について、母の想いと娘で看護師の私が経験した、患者の家族としての行動や気持ち、時々看護師としての考えについて書いていきます。

検査の結果、診断は、子宮頸がんでステージはⅡA期ということでした。
診断がつき、治療についての説明を聞き、母は今できる治療をするといって、抗がん剤と放射線治療をすることを決めました。

4月下旬から、始まった抗がん剤治療。

母は入院前に、「病院の食事を食べられるか心配」「においとか、大丈夫だろうか」と、心配していました。
母が子供の頃、給食の器が苦手で、器を見るだけで食欲がなくなったと、以前から話していました。
祖父母の入院の付き添いのときも、病院のにおいや食器が苦手と言い、私たちが食事をしている横で、一人だけ食事をとらないことがありました。
少し神経質なところがあるので、面会に行ったら「食欲がない」「病院では、食べられない」と、言うだろうと思っていました。

病室で、私は恐る恐る、「ごはんは食べているの?」と、聞いてみました。
母は、「食事も治療だと思って、なるべく食べるようにしていた。そうしたら、出された食事、全部食べられたわ」と、良い意味で予想を裏切ってくれました。

抗がん剤治療も順調にすすみ、続けて放射線治療に向けて動きだします。
放射線治療は、入院中の病院では設備がなくてできなかったため、車で1時間ほどのところにある大学病院を紹介されました。

大学病院の放射線科受診に付き添うため、自宅から母が入院している病院まで、車で2時間半かけて迎えに行き、そこから1時間かけて大学病院まで移動。
受診を終えるとまた、1時間かけて入院先に戻り、2時間半かけて自宅に戻る。
この先も、自宅と実家のある街への移動が続きます。
(この時は、このロングドライブも苦にならずにこなしていました、若かった私)

大学病院の放射線科を受診し、入院に向けた手続きをして、地元の入院先に戻るときに、母は「せっかくだから、おいしい物を食べて帰りたい。ごちそうするから」と、言い出しました。
病院の食事もあるのにと思ったのですが、一食くらいいいかと思い、レストランに寄って、昼食を摂って戻りました。

この後、亡くなるまで何度も病院に付き添うのですが、受診の帰りには「おいしい物を食べよう」と。
ある時には、「病院が終わったあと、どこで食事するか調べてきてね」と、言われ、受診後のルーティーンの様になっていました。
私もせっかくだから、行ったことがないお店を探して、母を連れていきました。
私に気をつかい、お礼の意味で食事をごちそうしてくれていたと思いますが、母にとっても治療を頑張ったご褒美の時間だったと思っています。

治療中の食事

看護師として。
おひとりおひとり、病状が違うので、医師の指示に従うのが一番であるという前提でありますが。

抗がん剤治療中の食事は、吐き気や食欲、おなかの調子などに合わせて食べられるものを食べていくのがいいと思います。
特に食欲がないけれど、体力が落ちるのが心配・体重を減らしたくないというときは、口当たりのいいものを食べるのをお勧めします。

好きなものだと食べられるかもしれないので、食べられるように準備しておくのもいいと思います。

見てるだけで、おいしそうと思ったことはありませんか。
食器を変える、色取りをよくする、少量ずつ盛り付けるなど、見た目の工夫をすると、少し違うかと思います。

調理の方法を変えるのはどうでしょうか。
抗がん剤治療中は、吐き気などのおなかの症状以外にも、口内炎ができたり、口の中が痛くなったり、乾燥したりすることもあります。
味覚が分からない・味覚が変わったという方も多いです。
同じ食材でも、小さく刻んだり、とろみをつけたり、味付けを変えたり、煮る・焼く・ゆでるなどの調理方法自体を変えることで食べやすくなることもあります。

治療中、「食べなければならない」「こうしなければならない」と、思うと辛く、自分を追いこんだり、体調が悪くてできないのに、気分が落ち込んだりします。
そんな思いはせず、食べれるものを食べようと、力を抜いて過ごしてもいいと思います。


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