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イベントを開催すれば商店街は活性化する? -町屋ラボ5月の活用に思うこと-

2024年5月、町屋ラボでは、貸館事業の音楽ライブ、主催事業のフリマイベントを開催しました。

イベントは盛況で、参加者の満足度も高かったと思いますが、開催前後に他の町で商店街活性化に関わる方や、もちろん地域の方も含め、いろいろな方からいろいろな話を聞き、少しモヤモヤがありました。

2つのイベントを紹介しつつ、町中でのイベントに関するモヤモヤについて、考えたことをまとめておきます。


2つのイベントの紹介

じぇんつー おおよそ新潟投銭ライブ

5/13(月)の夜、ハンドパンと打楽器のライブがありました。
主催は、三条市在住のハンドパン奏者、竹山キョんさんと、北海道在住のヤマダノブオさんの即興演奏ユニット”じぇんつー”さん。

2023年に竹山さんに演奏いただいたご縁もあり、今回はユニットで新潟あたりを回るツアーの初回の会場としてお声がけいただき、貸館でご利用いただきました。

ライブは約1時間。静かな夜の小須戸に、普段聞くことのない、リズミカルな打楽器の音色が響きました。なお、建物の性質上音漏れも生じるため、演奏のお二人にも配慮いただき、音量は控えめにしていただきました。

地域の方の他、三条市はもちろん、新潟市の中央区や西区など、普段小須戸に足を運ぶ機会のない方々にも多くご来場いただき、町屋ラボは大入り満員。

玄関は靴で溢れ、文字通り足の踏み場もないほどになってしまいました。

町屋ラボでのオフィシャルな夜のイベント開催は初めてでしたが、大変盛況でした!

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日時 5月13日(月) 19時30分~20時30分
会場 町屋ラボ(秋葉区小須戸3668-3)
主催 じぇんつー
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町屋でフリマ2024春

2019年に開始、不定期で開催している「町屋でフリマ」は、今回は過去最多13の出店があり、町屋ラボと薩摩屋の2軒の町屋を会場に開催しました。

町屋ギャラリー薩摩屋 会場準備の様子

イベントとして定着してきたのか、毎回一定の来場者がありますが、今回は混み過ぎず、暇過ぎない、ほど良い人出だったと思います。

お客様にはゆっくりと品定めをしたり、出店者の方とお話をする時間があったと思いますし、町屋ラボのスペースでは、「実家も金物屋だった、懐かしい」と商品を手に取る方、お母さんへのプレゼントを探す方、以前フリマで入手したものが生活の中で活躍しているとお話くださる方など、いろいろな方がいらっしゃいました。

町屋ラボの様子

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日時 5月19日(日) 10時~15時
会場 町屋ラボ(秋葉区小須戸3668-3)、町屋ギャラリー薩摩屋(秋葉区小須戸3394)
主催 小須戸ARTプロジェクト実行委員会
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町中でのイベント開催への誤解

さて、2つのイベントは盛況でした。

ただ、いろいろな方の話を聞く中で、モヤモヤしたことがありました。それは、イベントが商店街の活性化に繋がるとか、繋がらないという議論についてです。

何にモヤモヤを感じるのか、自分なりに考えを整理してみました。

町中でのイベント=商店街活性化は幻想

町屋ラボは、小須戸本町通りに面しています。より正確に言えば、かつて地域の中心商店街だったエリアの一角にあります。

町屋ラボの前の道路 小須戸本町通りはかつての地域の中心商店街

この寂れた商店街というロケーションと、そこで行われるイベントと言うことで、どうしても「商店街の活性化」という文脈が付いて回ってしまうのかなと思います。

もちろん、そうした地域の空き家を活用しての活動ですから、大きく言えばそのような効果を狙っていないわけではありません。

ただ、実際に個別のイベントとなると、音楽ライブは多くの商店が閉店した夜の開催、町屋でフリマは商店の休業が多い日曜日の開催です。つまり、イベントの来場者は、周辺の商店などでついで買いなどできない状況です。

音楽ライブも、町屋でフリマも、それぞれのイベントにはそれぞれの主催者の目的や事情があって、その開催日時になっています。そして主催者や出店者が時間や資金を出資しているわけですから、最大の目的は主催者や出店者、そしてお客様である来場者のメリットを最大化することになります。

要は、どちらのイベントも「商店街の活性化」などということを、そもそもの主目的にしていない、ということです。

町屋でフリマ、町屋ラボでの木版WSの様子

なお、参考までに終了後に出店者へのアンケートを取ってみたのでそのデータを見ると、皆さん、概ね想定通りの売り上げを確保し、出店の目的もおおむね達成されたということです。そしてもちろん、出店者毎に出店の目的も違っています。

イベントの集客と商店街の売り上げ増加は別問題

それでもイベントの実施による(副次的な)効果として、寂れた商店街に多少の人の流れが生まれるのは事実です。ですが、イベントの集客が、単純に商店街のお店の売り上げ増につながるとは限りません。

そもそもどんなお店であっても、イベントの集客を自店の売り上げ増につなげる努力や工夫をしなければ、イベントの効果は波及しないか限定的でしょう。商品やサービスが、どこででも買える、受けられるものならなおさらです。

それがなければ、どんなに大きなイベントで、どんなに多くの人がイベントに来たとしても、結果はそう変わらないはずです。用事のないお店に人は入らないのです。考えてみれば当たり前ですよね。

イベントの開催に商店街の活性化を期待するお店の方々は、自店の売り上げを増やすため、イベントを利用するためにどのような工夫や努力をされているのか。最終的にはそこが問題になってくるはずです。

地域でのイベントという一括の認識が、多様な活動を制約する危険性

この話は、ターゲットや目的が違うのに「商店街での活動」「地域での取り組み」等と単純化し、一緒くたに捉えてしまっていることに問題があるように思います。

もちろん、町屋ラボの活用にあたっては、地域での活動、そして地域が商店街であるという特性を引用、利用している部分がないわけではありません。ですが、前提として、町屋ラボでの取り組みは有志による自主的な活動なわけです。

それに対して、地域一体の取り組みで!とか、地域のお店の売り上げ増につなげたい!ということを、強く求められるのは、少し違うのかなと。本来そうしたことは、商店街や商工会なりに求めるのが筋ではないかと思う訳です。これがモヤモヤの正体でしょうか。

物事を整理するときに、「町中でのイベント」あるいは「地域での取り組み」というような一括りで認識することは楽ですが、そうした認識だけで物事を捉えてしまうと、地域で行われる可能性のある多様な活動を制限、制約してしまうことに繋がってしまうのではないでしょうか。

なので、町屋ラボでの活動は、そうではない方向で進めていきたいなと思います。

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