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弱肉強食の世界を生き抜く知恵

弱肉強食の世界を生き抜く知恵
ニューサウスウェールズ大学の研究

この世は弱肉強食である
弱いものは強いものに狙われるのが、世の理である
しかし、ちょっとした工夫で、強者から狙われにくくすることができる

ボツワナの北西部にはオカバンゴ・デルタという世界自然遺産に登録されている自然が広がっている
そこでは、地元の人が畜産に勤しんでいる
しかし、畜産業者を悩ませていることがある
それは、ライオンに家畜を補食されることだ
柵で囲ったり、致死性のない道具を導入するにもコストがかかる
発展途上国の畜産業者が導入するにはハードルが高い
そこで、研究者は代替手段を考えた

研究者は14の群れから2061頭のウシを集めて、ウシのお尻にマークを描いた
683頭は目のマーク
543頭は×のマーク
835頭は何も描かない

その後、4年間にわたって調査を行い、お尻にマークを描くことに意味があるのか調べた

結果、目のマークの効果は絶大だった
目のマークが描かれたウシは、一頭も襲われることがなかった
何も描かなかったウシは15頭がライオンに補食された
×のマークが描かれたウシは4頭が補食された

お尻に目のマークを描くだけで、圧倒的にライオンから身を守れる

目を見ると、どうしても視線を意識してしまう
これは人間でも同じで、自転車の盗難が相次ぐ駐輪場で、目を描いた看板を設置しただけで、被害が激減した事例もある
カラスにも目の看板は有効である
ゴミ捨て場に設置した所、カラスが近寄らなくなり、ゴミが荒らされることがなくなった

人もライオンも視線を気にすると、大胆な行動ができなくなり、行動が抑制される
逃げるウシと、追いかけるライオン
お尻に目があれば、それが視界に入り、無意識かどうかは不明だが避けるのだろう
そのため、目のあるウシではなく、目のないウシがターゲットにされた

ただし、動物は慣れる生き物である
目のマークに実害がないことを学習されたら、目のマークの意味もなくなるだろう
新しい、抑止力を見つける必要がある

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参考文献
Artificial eyespots on cattle reduce predation by large carnivores
https://www.nature.com/articles/s42003-020-01156-0

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