教師は子どものためなら何でもやって当たり前?柏市の臨時硬式テニス部のニュースから考える
部活動の地域移行が議論され、試行されている。そんな中、千葉県柏市の中学校のニュースを目にした。自校に部活動はないが、硬式テニスの関東大会に出たいとの生徒の希望から臨時に創部して出場したところ、なんと優勝🏆。しかし、大会の規則で関東大会には常設の部活動でないと出られなかったのだ。学校側は優勝した翌日に生徒・保護者に伝え謝罪したというが、市議会でも取り上げられたとのこと。
学校のミスは、優勝しても関東大会に出られないことが分かった時点ですぐに説明しなかったことである。
想像するに、「まさか優勝しないだろう、だから言わなくてもいいか。」と判断していた。ところが優勝してしまい、引率教師はどうしたらいいか困ったがそのまま帰してしまったのではないか(教頭、校長に相談したかどうかはわからないが)。
報道からしか言えないので、他に事情があったかもしれないが、そのことだけでこんなに大事にされるのは気の毒というか、善意が報われず切ない。個人的には、市議会で問題にするほど責めないであげて、と思う。
今回の件については、そもそも部活動ではないのだから、「市中大会だけでも出られてよかった。」とポジティブにとらえ、謝罪もしているのだから許してほしいものである。
日本中学校体育連盟(中体連)の大会は校長の許可がないと出場できない。校長は子どものためと思うから許可を出すが、教師としては「校長先生、許可しないでー!」と願ったものだ。基本的に全員何らかの部活動の顧問になっているところへ上乗せとなるのだから。
教師といえど、当然その競技のことも知らなければ、どういう手続きが必要かも知らない。手続きを調べて登録したり、保護者と連絡を取って大会に引率したりする。大会に行くと、競技によっては仕事まで分担されていることもあった。私も文化部の顧問だったとき、2つの競技を同時に担当したが本当に大変だった!
まず校長には、要望を受け入れるだけではなく、時には自校の教師の人的余裕がないなど、生徒・保護者に丁寧に説明して断ることもしていただきたい。
そして、生徒・保護者のみなさんには、部活動以外で中体連の競技大会に出場することは、教師にとって負担が大きいことを知っていただきたい。(令和5年から地域スポーツの指導者が引率可能に。詳細は各都道府県により異なるようだが)
最後に、「子どものためなら何でもやって当たり前」という思い込みをやめ、教師が心身ともに健康な状態で子どもたちの前に立てるよう、理解し協力してくれる人が増えることを期待している。心身ともに健康な教師の存在が、引いては子どもたちのためになるのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?