「とんび」/あのとき私の父が泣いてた理由
小さい頃、ドラマで「とんび」を観てた覚えがある。
ドラマでは内野聖陽さんがやっさん(お父さん)役を、佐藤健さんがアキラ役をやっていた。 今回観た映画では、阿部寛さんがやっさんで北村匠さんがアキラ役だった。
泣くとは思っていたけど、まさか声を出して笑うとは。
笑かしにはきてないけど、やっさんの不器用さが、もう、変わることなく不器用で(褒めてる)、可笑しくて。でも暖かくて、町のみんなも暖かくて、笑いながら涙腺ゆるゆる。
結果からいうと映画館で観てよかった。
友達が誘ってくれてなかったら、ドラマで見たことあるし、まあいっか~と流すところだったから、このタイミングで「とんび」を観たのも何かの縁かな~と思ったり。
そう思ったのも、ドラマがやってた当時、 普段ドラマをあまり見ないお父さんが毎週欠かさず観て、 こっそり涙を流してたことを知ってたから。
ドラマの内容より、「え、お父さんが泣いてる!!!」って心の中でびっくりしてた。
大きくて、頼もしくて、怒ると怖いお父さんが泣くのを初めて見たからだ。
あのとき何を思って泣いてたんだろう。今なら少し分かった気がした。
きっとお父さんはアキラを自分と重ねていたんじゃないかな。
私のお父さんは幼い頃に父を亡くしていて、お母さんとお父さんという内容は違えど、同じようにシングルで一生懸命に育ててもらったことに思いを馳せている気がした。
同じように田舎町だったし、お寺さんで遊んでいたとか、よく面倒を見てもらったとか、そんな話も聞いていた。物語の中でも照雲という和尚さんがすごくいい役どころで、この人がいなかったらグレてそうだなと思うほど。親の代わりに一緒に背中を温めてくれる手がすごく心に響く。
私が思うに、物語でアキラが成長していくに連れて、私のお父さんはアキラ目線からやっさんの親目線で観ていたんじゃないかと思う。
子どもが大学、就職と巣立っていくところ、急に結婚話になるところ。心配だけどそんな素振りを見せない、見せたくないところ。
映画でいうところの物語の佳境に入っていくところ、上京からの結婚、深く言わないがまた映画館で観たい。それくらい全俳優さんと演出がよかった。
ドラマを観て泣いていたのを隠すように、私が結婚するなんて言ったらきっと、お父さんはまたこっそり泣くんだろうな。うれし涙だったらいいな。
悲しくないのに、なぜか涙がでてくる。ここが泣くポイントかっていう感じもなく、観てる人それぞれが何かを感じたところで涙がでてくる。だから私は序盤から何回もツーーと涙を流してしまった。でも気が付くと笑ってる。
いいなぁこんな町、こんな大人たち、素敵だな。
自分の年齢やライフステージによっても見方が変わるような、何回観ても心温まる物語だと思う。
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