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超短篇小説15 "奇跡の生還イリュージョン"

土曜の夜になんとなく見ていたテレビに中東系の外国人の男が映っている。
どうやら生放送の番組のようだ。


外国語で話しているので、何を言っているかはわからないが、司会者曰く、爆発からの奇跡の生還イリュージョンを男が行うとのことだ。


男は目隠しをした状態で両手両足を縛られ、その上から手錠をかけられ、棺桶のような箱に体を入れられ、箱自体にも鎖を巻かれ、鎖と箱に南京錠を付けられた上に、手錠及び南京錠の鍵はプレス機で完全に破壊された。


これから1分後に箱ごと爆破を行うとのことで、状況を見る限り、とてもじゃないが脱出をすることはできなさそうである。


テレビの司会者のガナリがキッカケで1分間の時間測定開始された。
箱が揺れる様子はあるが、一向に脱出をするような状況にはとても見えない。


10秒、、、20秒、、、と時が刻々と過ぎていく、、、、、、、58、、59、、60!!


箱が大きく爆発を起こした。
爆発によって箱が完全に大破した。


爆発による煙が徐々に薄くなり、箱の方を見てみるが、明らかに人影が残っていた。
どこからどう見ても脱出ができていない。


明らかな放送事故を見てしまったと思った瞬間に
男は大きな声で何か叫び、決めポーズのようなものをした。


よく考えたら、確かに、"成功は"している。

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