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DUDEN2020①       言葉拾われて辞書に載るまで -生と性を得て-

ドイツの国語辞典

この夏、発売された最新のドイツ語国語辞典。

DUDEN 28. Auflage (2020) 

発売当日、「ドイツは今日発売のDUDENの話題で持ちきりでしょ」嬉々として言った私に、ネイティブから帰って来た反応は半紙よりはるかに薄いものだった。(ちなみにDUDENの厚さ6cm😶)。

ドイツ語を学ぶのに独独辞典を使われる方はご存知だと思いますが、DUDENは、日本の国語辞典にあたる、ドイツ語の国語辞典です。今回出版された28版には、3000語が増語されており、さらに言葉におけるジェンダーについて初めて明記されているなど、前評判ではかなり期待させる内容になっていました。今まで正書法はずっとオンラインでいいと思っていましたが、今回はそんな背景もあり購入してみました。

収録語数は15万語弱。ちなみに日本の国語辞典には小学生向けの4万語弱くらいから一般向け9万語くらいまでですので、そこそこのボリュームになります。DUDENは12冊のシリーズから成り、類語辞典、起源辞典、文法辞典、ことわざ辞典や清く正しいドイツ語辞典(!)などそれぞれの巻に分かれていて、今回購入したのはその中の正書法の巻です。

さて、今日はDUDENに新しく収録される新語について書こうと思います。

Duden新語

DUDENに新しく収録される言葉は、雑誌や新聞、小説から取説にいたるまで、紙媒体や電子媒体で実際に使用された言葉を集積したデータベース(コーパス)に取り込まれまれたものの中から選出されます。具体的には、その中から一般に流布したと認められたもの(多くはデータベースにある様々なメディアに重複して何年にもわたり見られる言葉など)を編集者が拾っていくことによって日の目を見ます。DUDENコーパスは、いわばドイツ語の膨大な記憶装置とも言えるもの。

今も宇宙のように膨張を続けています。

一方で、死語になったと認められるものは辞書から消えていきます。

さて、そんな過程を経て今回はどんな新語が収録されているのか実際に見てみましょう。

Covid-19 (ちなみにCoronavirusは既出)

Lockdown

Reproduktionszahl(再生産数), 

Friday for Future

Influencer

Netflixserie(serieはseries、シリーズのこと)

・・・ドイツ語?

(DUDENに英語多いと批判あり)

2020年、コロナの年。今まで耳なじみのなかったコロナ関連の新しい言葉たちが瞬く間に世界の共通認識となったことを考えると、その言葉の再生産数もまた、ウィルスにのそれに勝るとも劣らない勢いを持って世界中に広まったことになります。ネットワークで繋がる世界で、言葉が広まり共通認識が生まれるまでの時間が格段に短くなっていることを複雑に思うところもあったり、またそのスピードに改めて衝撃を受けました。

性の問題

さて、話は戻りますが、辞書に載る新単語が名詞の場合、ドイツ語には文法上の性をつけなくてはなりません。新しい単語の性って誰が決めるの?言語の神様のようなたっとい人でもいて、その道の権威を従えて厳粛な雰囲気の中おもむろに、

「中性!💡」

「ははぁ〜!🙇‍♂️」

みたいな感じで一同ひれ伏しありがたく頂くものなのでしょうか😅。

どんなに新しい言葉にも大概ルーツってものがあります。多くはそれをもとに、またはそれから連想させられるイメージをもとに性も決まっていきます。そんなわけで、性を2つ持つ単語もあります。またそれらの単語は、時代がそのうち性をいずれかに決めてくれることも少なくありません。

テクノロジーの進化、特にITテクノロジーによって生まれた新しい言葉がここ20年数年増え続けているのは日本語でも感じるところですが、ただでさえ性を覚えるのが大変なのに毎年新出単語が増えていって、その性も覚えなきゃなんないんかいっ!と思っているドイツ語学習者の皆さま、お気持ち察します。

単語の性が覚えられません。私にもいくつか、必ず迷う単語があります。しかも十数年も同じ単語で迷います。。名詞の性に例外のない規則性が存在するわけでもなく、そんな中で名詞の性を頭に叩き込むのって苦痛でしかないです。新出単語の学習なら意味を知るという収穫がありますが、名詞の性を覚えるというのは学習のモチベーションを極めて初期の段階で(遅くとも3日後くらい)にはゼロにさせる破壊力を持っていますね。

朗報

名詞の性には、1つに限らないバイセクシャル的なものや、時代とともに変化するものもあります。絶対的と教わった名詞の性には、実は不確かで流動性のある側面があるということを知って、みなさんのドイツ語への親しみにつながるといいなと思います。

今回はDUDEN2020から、新しい単語や名詞の性について書きました。















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