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西野屋の王道! みんな大好き懐かしの「フルーツパン」

■本州最東端の街にあるけど西野屋です

こんにちは、はじめての方は、はじめまして。

本州でいちばん東にある街・岩手県宮古市、三陸鉄道の宮古駅から徒歩5分ほどのところで、「洋菓子・和菓子・パン」を扱う、小さな菓子店を営んでいます。

お店の名前は「西野屋」(にしのや)。

こちらは、当店の自己紹介記事です。まだお読みでない方は、出来たらこちらからどうぞ。

■西野屋の「フルーツパン」とは!?

今回は、当店のパンから代表商品を一つ、ご紹介します。

当店のパンで断トツと言っていい一番人気が、「フルーツパン」です。

フルーツサンドのようなものを連想するかもしれませんが、形はどちらかといえば半球型をイメージしていただくほうが近いです。

ふんわりとした柔らかいパンに、たっぷりのバタークリーム煮リンゴを挟んでいます。
また、パンの表面には、小麦と卵で作った、ソボロ風のボーロをトッピングして食感をアレンジしています。

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いつ頃から作っていたか、正確にはもう分からなくなっていますが、かなり昔から続けている伝統のパンでもあります。
けっこうご年配の方でも、想い出の味、になっている方がいらっしゃるようです。
市内の高校の購買で販売していたりもしますので、学生さんから大人の方まで、幅広い方に親しんでいただいています。

パンに限らず、西野屋の代表商品をどうしても1つに決めろ、と言われたら、やっぱりこのフルーツパンかもしれません。

こちらのフルーツパンですが、パン生地やボーロには、ほとんど砂糖は入っていません。つまり、それだけでは甘味はほとんどありません。
中のバタークリームにも、砂糖は入っていません。

つまり、フルーツパンの甘さは、ほとんどが、煮リンゴの甘さです。
その優しい甘さとバタークリームの香ばしさが、飽きがこない絶妙なバランスを生んでいます。

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■フルーツパンが出来るまで

では、なかなかお見せしたことはありませんが、ここ限定で、「フルーツパンが出来るまで」を、ご紹介します。
といっても、すごい機械とかは使っていません。だいたい、手作りです。

もちろんまず、パン生地を焼き上げます。

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中に挟むバタークリームと煮リンゴを用意します。

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フルーツパン大好きな人にとっては、煮リンゴだけムシャムシャ食べたい、と思う人もいるかもしれませんね。そんな方には、当店のアップルパイもおすすめですよ。同じ煮リンゴ(コンポート)を使っています。

次に、焼きあがったパンに、ナイフで真ん中に切れ目を入れていきます。

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パンの間に、たっぷりバタークリームを塗ります。
……塗ります、というより「盛ります」というほうが近いぐらい、たっぷりいきます!

そして、たっぷり盛ったバタークリームの上に、煮リンゴを敷き詰めます。いかがですか。食べてみたくなるでしょうか?

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これで、完成です!
ふわふわ食感のパンと、サクサクのボーロ、たっぷりバタークリームに、ジューシーな煮リンゴ!

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■バタークリームの秘密

さて、そんなフルーツパンの味のポイントは、大きくは2つ。
中に挟まっている「バタークリーム」「煮リンゴ」です。

まず、「バタークリーム」のことですね。

以前の記事でも書きましたが、昭和の戦争後すぐの頃は、生クリームが品薄でなかなか調達出来ませんでした。
その頃に始めたのが、生クリームの代わりにバタークリームを使うケーキです。
フルーツパンも、その頃に培ったバタークリームの技術を生かして作られています。

フルーツパンを召し上がっている方も、意外と気付いていないかもしれませんが、フルーツパンに入っているバタークリームだけを舐めると、ほとんど何も味がしません。まったく甘くありません。砂糖を入れてないからです。(やってみたことがない方は、ぜひ試してみてください)

ところで、いまさらなのですが、バタークリームとは何かご存じでしょうか。

「生クリーム」は、「牛乳」で作るクリームです。牛乳の脂肪分とタンパク質で出来ています。
「バタークリーム」は、「バター」をメインにして作るクリームです。
当店のバタークリームは、バターの他にもナイショの素材が入っています。

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バタークリームは、普通のクリームよりも、香りや味わいがありますが、生クリームよりちょっとお腹に重たく感じると思います。食べすぎると胸焼けするかも!?

生クリームに比べると安かろう悪かろう、のようなイメージが、どうしても世の中のイメージとしてはあるのかもしれません。
でも、生クリームにはないバターの香りが感じられて、工夫してみると、生クリームとは別物の個性がちゃんとあって、使い方次第ではとっても美味しいんです。

高い安いの金額の違いだけではないですね。バタークリームにはバタークリームが合うお菓子やお料理というものがあると思います。
それで、昔から代々、バタークリームを使ってきた当店が出している答えの一つが、フルーツパンです。

実は、フルーツパンには、中身を生クリームに変えたバージョンもなくはないのですが(ご注文があれば作ります)、バタークリームのほうがやっぱり人気があります。

■煮リンゴ(コンポート)

フルーツパンのもう一つのポイントは、煮リンゴです。

みなさん、リンゴというと青森県か長野県だとイメージするかもしれませんが、青森県のお隣、宮古市がある岩手県もリンゴがとっても美味しくて、たくさんとれるんですよ。だいたい全国で5番目ぐらいの収穫量になると思います。

だいたいの岩手県民がフルーツと言ってまず思い浮かべるのは、やっぱりリンゴ、ではないでしょうか。(釜石だと柿とか、紫波だとブドウ、野田は山ぶどう、など、もちろん色々あるかもしれませんが…県民共通なら、やっぱりリンゴな気がします)

フルーツパンに使っているリンゴは、岩手や青森でもポピュラーで、甘くて美味しいリンゴと言われている「ふじ」です。日本でも世界でもいちばん栽培されているので、皆様のイメージにある「リンゴ」にいちばん近いと思います。

「ふじ」は美味しいですよね。「サンふじ」もバリエーションとしてあります。リンゴと言ったらふじ、という人も多いと思います。
ということで、岩手県の美味しいフルーツ、リンゴを美味しく食べていただくために、煮リンゴを選んでいます。

ちなみに、日本語で言えば「煮リンゴ」ですが、洋菓子でフルーツをシロップやお酒で煮込むものを、「コンポート」と言います。

「ふじ」は保存にむいていて、ご家庭の室温でもけっこう長持ちするんですが、それでも少し古くて酸っぱくなったりパサパサになってしまったときは、煮込むと簡単にとっても美味しくなりますから、試してみてくださいね。
シンプルなのは、お砂糖とお水で煮るだけです。お好みでお酒やレモン汁、シナモンを加えても美味しいです。
また、煮リンゴを凍らせるのも、シャーベットになって美味しいですよ。お手軽なデザートにもいいと思います。

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ということで、「フルーツパン」のご紹介、いかがだったでしょうか。

バタークリームの香りと、煮リンゴの優しい甘さ。
何回でも食べたくなる懐かしい味のフルーツパン。
常連さんでは本当にほぼ毎日食べている人もいます。

宮古市のソウルフードの一つ、と言っていただける場合もあります。
これからも変わらず作り続けていきたいと思います。

当店の商品紹介をしている記事一覧はこちらです。


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